011-No.004-Code:A.B.D. 第三中間報告
※注意、この報告書は横書き書式として制作されています。
改訂版でも、この報告書は横書きのままになります。
011-No.004-Code:A.B.D.
西暦2011年 事件004番 種別 人為・生物・災害(Artificial・Bio・Disaster)
【011/4/10 第三中間報告】
今事件に於ける各所の経過報告については別紙参照。現時点での集積データをまとめるものとする。
また今回の報告には、現時点では証明不可能な情報を含むものとする。
【発端】報告:穂月、マルタ
この事件の発端はFA社の経営悪化とL.G社との確執を含む起死回生の策だと思われる。
近年の戦争の小規模化・分散等によるFA社の損害は大きく、トドメを刺すように009-No.021-でのLG社との大規模戦闘による被害があった。
ウィルスの入手経路こそ不明だが既に中東支部及びロシア支部において、工作員の捕縛に成功している。
発生まで悟られないようにか、機密レベルをかなり高く設定していたようで工作員は殆ど情報を持っていなかったが、使用前のウィルスを確保できている。
【発生箇所】報告:穂月
多くの国の首都及びLG社支部の置かれている都市のほか一部の街がテストとしてか先行投入されている。
事件発覚は3月25日から3月28日の間に集中している。
【感染者】報告:無月龍人、Dt.セレア
この情報に関しては、殆どが無月氏の証言によるものである。
主に血液・体液によって感染し、感染の進行と共に体内の変化に耐え切れずに一度死亡し、活性化した細胞によって半ば生き返る。
再生能力が大幅に上がるが血圧が高くなるため出血が止まりにくい。また、筋力が異常発達する、三半規管が壊死する、等の症状が見られる。視力は低下しないが認識力が下がる為、大きな動きのないモノには反応しない。
死亡及び餓死者化までの時間は個人差が大きい。
また、ウィルスとの適合状態によって対象は変質し、爬虫類系形質を発現したり、時に骨格レベルでの変異を引き起こす場合もある。また、全体的に巨大化傾向がある。
StarveDead(スターヴデッド・StDスタッドと呼称)餓死者
仮称:空の正式名称。感染者の大部分がStDになる。
予想される被害者に対して異常に彼らが少ないことから調査された結果、5人に3人程が食いつくされている事が確認された。飢餓状態になると凶暴性が増し、周りのモノを見境無く食べようとする。それは同じ彼ら同士でも関係がない。
嗅覚と聴覚を以外の感覚器官が衰退しており、判別能力も低く種類に関わらず刺激の大きさに左右される傾向にある。
Marauder襲撃者
身軽で強襲してくることから。
真っ黒な炭に似た光沢の肌が特徴。身軽さを活かした立体攻撃をしてくるが、平地だと少々すばしっこいだけ。変異体と思われる。
StDでは壊死している三半規管が正常なままであり、また多少頭も周るようだ。ただし、知性と呼べるようなものではない。
比較的数が多く、感染者の5%程度が変異していると思われる。肌の色が黒く光沢があるほど能力が高いようだ。
Cleaver引き裂く者
長く鋭い爪から。緑っぽい色の鱗を纏った人型。
爪は鋭く硬く、長さは10cm~30cm程にもなる。力、早さ、共に高く、頭もいいが本能的で短気。首だけになっても動きまわり変異体の中でも異様なほど生命力が高い。
個体数は比較的多く、感染者の1%程度が変異していると思われる。素体となった人間により能力が大きく異る。
Volkano火山(仮称:朱鬼)
朱い肌を持つ鬼型の化物。
頭部に僅かに二本の角があり、その周りが薄い鱗で覆われている。名前は肌の色とその瞬発力から。
変異体の中でも感染者が死亡せずに生きたまま意識を乗っ取られ全身を作り替えられた結果、運動性能の異常な上昇が見られる。変異種の中ではかなり頭がまわり、また索敵能力が高い。強敵である。
極めてエネルギーコストが悪く、1、2日捕食出来ないだけで餓死する。
Gigas巨人
大きさは様々だが各地で確認された全く無表情な巨大人型変異体。
他の変異体に見られる爬虫類系の形質が発現しておらず、ロシアにて捕縛した工作員がCodeを知っていた事から人為的に巨大化したものだと思われる。体格がそれほどゴツくなく動作速度が殆ど人間と変わらない為大きさ故に非常に厄介な敵となる。動作速度が人間と変わらないのは5m前後までのようで、無月氏が遭遇した10m級の個体は若干鈍重だったようだ。
変異体では見られる表情の変化が全く無く、非常に不気味な印象を受ける。また、目線が殆ど動かないため認識されているか分かり辛い。
小型のもので3m程度大型の物で10m以上のものも確認されており非常に危険。
ただし、耐久性はさほど高くないようだ。
ロシアにて大量投入されたようだが、たたま居合わせた機械化連隊に排除されている。それでも連隊の2割程度の被害は受けたようだ。
筋肉ダルマ 名称未定
いつの間にかこの呼称が定着している。
樽のように肥大した体躯、心拍に合わせて脈動する全身に走る血管。体に対して二回り以上大きくなっている頭には目も鼻も耳もない。鼻の辺りに空いた2つの丸い穴とその下で三日月を描く朱い口。のっぺらぼうと言って差し支えないほど凹凸がない。
4体が確認されたのみだが、非常に能力が高く危険。大きさは2~3m程度と朱鬼に近いが、攻撃性・耐久性共に高く、バトルライフルクラスの銃弾でも大きなダメージを与えることが出来ない。また、主力戦車クラスの重量物を突進によって弾き飛ばすなどその膂力は凄まじい。
一方で朱鬼と比べ、動きは荒く単調で思考能力も乏しい。
異様な存在感を放ち周囲を釘付けにする能力がある。これによって釘付けになった対象は、一時的に認識力が低下する。
無月の遭遇した一体と本社に出現した一体は即座に始末されたが、アメリカ・ワシントンD.Cでは州軍に数百人規模の大きな被害を出し、イギリス・ロンドンでも確認不可能な程多くの被害を出している。
【被害】報告:エレノア
死傷者
死者・行方不明者は47名。負傷者は重軽傷合わせ211名。
施設被害
カナダ支部でギガースの襲撃による支部本棟の1割程度。
本社の正面ロビー周辺。
各地の民間開放していた空港施設。
その他施設は、補修・清掃程度で使用可能。
車両被害
HSLA以下の車両の内、2割程度に損傷がある。廃車は4台。
それ以上の車両については廃車1台。軽微な損傷3台。
【物資】報告:穂月
現在、消耗率は15.7%
事態収拾のために必要とされる物資は70%近くと予測されるため、今後補給、又は生産の見通しを立てておく必要がある。本島制圧は、ほぼ完了しているので工場の稼働を急ぐ。人員は普通作業員に加え、戦闘可能な正規作業員を配置し、防衛に当たるものとする。
【その他】報告:穂月
FA社の戦略級拠点を調べているが、ダミーと思われる情報が多く難航している。
場合によっては各国情報機関との連携を強化し、迅速な事態解決を目指す事になる。
また、未確認の変異体の存在が予想されるため、第三戦術兵装にて任務に当たること。