↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

アンドロイドがいる日常

葛藤

作者: Crazy_Yashiro
掲載日:2026/10/18

個体A

(生物分類:猫・雑種)

(個体識別:体長 46.5cm・肩高 22.3cm・尻尾長 23.8cm・色紋様 キジトラ 白混・毛づや 良好:雇い主飼い猫ウメ・一致率96.2%)

(個体状態:警戒36%・好奇心71%・定点凝視状態)


個体B

(生物分類:昆虫)

(個体識別:体長0.3mm・色紋様 乳白色・個体特定不能 チリダニの可能性89%)

(個体状態:秒速0.1mmで移動中)


搭載されている高性能レンズから入ってくる映像を、AIが解析している。


私は、先月からこの家に出向してきたお手伝いアンドロイドだ。主な任務は子育て補助、家事全般の補助である。


今日は、雇い主であるこの家の両親が仕事で出かけた後、リビングの清掃を実施している。メイン任務対象のヒイラギさん7歳女児は、まだ二階自室にいて、物音から判断するとつい先程起きてベッドから抜け出し、今部屋のドアを開けて階下に向かってくるようだ。


掃除をしていると、この家の飼い猫であるウメが、リビングの床の一点を凝視しているところに遭遇した。


物音を立てぬよう静かに近づいてみると、視線の先には小さなチリダニがいる。ウメは人間に比較して視力は弱いはずなのに、チリダニが少しずつ動いているのを優れた動体視力で感知したようだ。


ドンドンドンドン!


どうやら、ヒイラギさんが階段を降りてきているようだ。


ヒイラギ「ルナー!ルナー!」


ルナとは、ヒイラギさんが私に着けた、私の呼び名だ。


ヒイラギ「ちょっとルナ、何やってんのよ!」


ヒイラギさんは、行動も言葉遣いも少し乱暴だ。


ウメはヒイラギさんが来ても、チリダニに集中していて微動だにしない。


私もウメに並んでチリダニを観察している。ここでヒイラギさんに返答したり、急に振り返ったりしたらウメが驚いてしまうだろう。


ヒイラギ「ウメ!あんたも何見てんのよ!何もいないじゃない」


たぶん、ヒイラギさんにはこのチリダニは小さすぎて見えないのだろう。


ヒイラギ「ルナ!あんた何で返事しないのよ!ウメと同じところジッと見て、何かあるの!!」


私は返事をすべきなのだろうか?契約条項には、(娘からの指示は、服従ではなく社会通念に照らし合わせて判断し行動を起こすこと。)と記載されている。しかも最終行に(娘は言葉も行動も乱暴につき、時には叱ることも可。)とも記載されている。


ここで私がウメのそばで返事をして、振り向いたりすれば、ウメが驚いて隣のテーブルに飛び乗って、テーブルの上の花瓶を落とす可能性が12%ほどある。そうなった場合、雇い主に責められるのは私ではなくヒイラギさんの可能性が56%だ。


ヒイラギ「ちょっと、ルナ!返事しなさいよ!ウメもいつまでも何も無いとこ見てんのよ!」


ウメはヒイラギさんの大声に慣れてるのか、見向きもしない。一方で私は静かに近づいてきてるから、チリダニに集中してるウメは、私が近くに来ている事に気がついていないだろう。


ヒイラギ「ちょっとー!あんた達いい加減にしなさいよ!」


ここでウメが、右前脚をゆっくり持ち上げるのが見えた。


同時にヒイラギさんの手が私の左肩に触れた。私は身体を動かさず、首だけくるりとヒイラギさんに向けて回した。


その瞬間、私の超高性能マイクに微小な固形物が潰れる「プチッ」という音が聴こえてきた。


ルナ「あ、ヒイラギさん、ごめんなさい。ウメとの会話に夢中になっていて呼ばれているのに気が付きませんでした。何かご用ですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。