花火大会に雨を降らせたくないから ~雨男の僕に絡んでくるゲーマー先輩~
『楽しい花火大会に誘われないようにする』
というのが僕の16年間の人生を表す一言。
嬉しくなると雨が降る、という雨男。
花火大会に誘われたら嬉しくなって雨が降り、中止になる、ということがよくあった。
少しの雨だったら決行だけど、土砂降りなのだ、毎回。
それから、僕が学んだこと。
『友達を作らない』
『人を避ける』
高校生になっても、それは変えない。
もう、嫌われたくないから。
というのに、
「よかった、雨が降らなくて」
浴衣姿で、その先輩は言ってくる。
いつもだるそうにしている顔を、微笑ませて。
高校1年生で、この先輩と出会い、今日は久々すぎる、花火大会の参加。
嬉しくならないようにしよう、せめて土砂降りは避けよう。
「今日はゲーム持ってないんですか?」
ぶっきらぼうに言いながら、僕は強く決める。
『15分後に打ち上げ花火が始まります』
「やっぱゲーム出来ないのはだるいな」
「じゃあお金返してくださいよ。
たこ焼き代、お面代」
「後輩だろ? 後輩はお金を出すものだ」
「こんな先輩は嫌だ」
と、ため息。
「まあまあ、だから、晴れてるじゃん」
「他に方法はあるはずですよ?」
つい、ジト目。先輩はおかしそうに「ふふふ」と笑う。
「ほら、花火見に行くよ」
「はいはい」
打ち上げ花火なんて、もう見ないって思っていた。
上がっては咲く花たちを見ながら、考える。
嫌われたくないから、避けていた。
お祭りも、人間関係も。
もう、自分はずっと1人なんだ、て。
『傘貸してくれたじゃん』
濡れるのが可愛そうだったから傘を貸した。
それだけなのに。
この人は、嬉しそうに、微笑んで言ってきて。
思い出し、気持ちを抑えながらも、手を握りたいって願ってしまう。
この人が好きだから、恋してるから。
せめて、この花たちが咲く間だけ。
後輩だし、雨が降ってきたら嫌だし。
この先輩は僕のことをどう思っているか、分からないから。
「…!?」
僕の心を悟ったのか、手を握ってくる。
だけど、顔は火の花たちに。
何も考えないよう、僕もその花たちに集中した。
「降ってきた降ってきた」
「すみません」
花火が終わるとすぐに雨が降ってきた。
土砂降り。
天気予報は晴れだったから、多分僕の集中が切れたってことが原因なんだろう。
近くにあった建物の屋根で、雨を避けている。
「傘あります、2本」
「相合傘しようよ、折角だし」
「何の折角ですか」
「デート」
「…」
これ以上僕のテンションを上げさせないでほしい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




