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花火大会に雨を降らせたくないから ~雨男の僕に絡んでくるゲーマー先輩~

作者: 柳ミル
掲載日:2026/08/03

『楽しい花火大会に誘われないようにする』

というのが僕の16年間の人生を表す一言。


嬉しくなると雨が降る、という雨男。

花火大会に誘われたら嬉しくなって雨が降り、中止になる、ということがよくあった。

少しの雨だったら決行だけど、土砂降りなのだ、毎回。


それから、僕が学んだこと。

『友達を作らない』

『人を避ける』


高校生になっても、それは変えない。

もう、嫌われたくないから。


というのに、


「よかった、雨が降らなくて」

浴衣姿で、その先輩は言ってくる。

いつもだるそうにしている顔を、微笑ませて。


高校1年生で、この先輩と出会い、今日は久々すぎる、花火大会の参加。


嬉しくならないようにしよう、せめて土砂降りは避けよう。

「今日はゲーム持ってないんですか?」

ぶっきらぼうに言いながら、僕は強く決める。




『15分後に打ち上げ花火が始まります』


「やっぱゲーム出来ないのはだるいな」

「じゃあお金返してくださいよ。

たこ焼き代、お面代」

「後輩だろ? 後輩はお金を出すものだ」

「こんな先輩は嫌だ」

と、ため息。

「まあまあ、だから、晴れてるじゃん」

「他に方法はあるはずですよ?」

つい、ジト目。先輩はおかしそうに「ふふふ」と笑う。


「ほら、花火見に行くよ」

「はいはい」


打ち上げ花火なんて、もう見ないって思っていた。

上がっては咲く花たちを見ながら、考える。


嫌われたくないから、避けていた。

お祭りも、人間関係も。

もう、自分はずっと1人なんだ、て。


『傘貸してくれたじゃん』

濡れるのが可愛そうだったから傘を貸した。

それだけなのに。

この人は、嬉しそうに、微笑んで言ってきて。


思い出し、気持ちを抑えながらも、手を握りたいって願ってしまう。

この人が好きだから、恋してるから。


せめて、この花たちが咲く間だけ。


後輩だし、雨が降ってきたら嫌だし。

この先輩は僕のことをどう思っているか、分からないから。


「…!?」

僕の心を悟ったのか、手を握ってくる。

だけど、顔は火の花たちに。


何も考えないよう、僕もその花たちに集中した。




「降ってきた降ってきた」

「すみません」

花火が終わるとすぐに雨が降ってきた。

土砂降り。

天気予報は晴れだったから、多分僕の集中が切れたってことが原因なんだろう。


近くにあった建物の屋根で、雨を避けている。


「傘あります、2本」

「相合傘しようよ、折角だし」

「何の折角ですか」

「デート」

「…」

これ以上僕のテンションを上げさせないでほしい。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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