満潮の歌声
枯れ葉がアスファルトを転がる音だけが響き導いてくれた夜道に
ふと見上げると三日月が弧を下にして舟のように
雲間に浮かんでいた
あなたの笑った時の口元のように光ってみえた
満潮であったため川橋スレスレまで川面が満ちて
煌めきながらゆっくりと流れている
川橋の弧上に立っていると
あなたの口元から流れる歌の流れに身を任せている時の感覚と同じになっていた
脈絡の透き間に落ちたり、溺れたりしても
満ち満ちてゆく川面に吹く風が夜空へと掬い上げてくれた
【短歌二首】
君に似た枕を抱き寄せ窓のそと風の音に星の瞬き
満潮の川橋に立てば釣舟に二人乗って月夜の海へと




