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少女の成長

 ____年月は静かに流れた。


 私はは魔力制御の基礎から学び直した。

 何百回も倒れ、何千回も失敗し、そのたびに立ち上がった。


 魔力が暴走し、森を焼いた夜もあった。

 けれど、師は決して怒らなかった。


「恐れるな。力は心の鏡だ。お前が怯えれば、魔も怯える」


 十年という歳月の中で、わたしの魔法は研ぎ澄まされていった。


 気弱で泣いてばかりだった少女は、次第に力を制御できるようになり、村人たちからもその名を呼ばれ、慕われるようになった。


 ある夜、稽古を終えた私にエルドは言った。


「お前はもう、ただの子どもではない。……立派な弟子だ」


 その瞬間、胸の奥に熱いものが込み上げ、言葉が詰まる。

 涙を堪えながら小さく頷いた。


 父にもらえなかった言葉を、ようやく手にできた気がした。

 私は彼をを、魔法の師としてだけでなく、本当の父のように慕っていた。


 後になって気付いたのだが、彼がかの名高き魔道士だという事実にはそれはそれは驚いた。


 けれど、名声などなくとも、彼は私にとって何よりも大きな存在だったのだ。


 私はこの10年という歳月を経て“自らの力で歩む一人の少女”へと変わった。……と思う。


 彼との暮らしはとても穏やかで、けれど決して怠惰ではなかった。


 朝は早く、鳥のさえずりで目を覚まし、畑に出て土に触れ、草を抜き、芽吹く作物を見守る。


 それから魔力制御の鍛錬。

 炎を手に生み、風を操り、失敗すればまた畑を焦がして彼に「馬鹿者」と小言を言われた。


 午後は村人と共に川へ行き、水を汲み、薪を割り、子どもたちに読み書きを教えることもあった。


 日暮れには彼と二人でスープを作り、食卓を囲む。


「塩を入れすぎだ」

「む、昔よりはマシです……!」


 そんなやり取りが、私の宝物になっていた。


 時に、村の老婆に野草の知識を学び、時に、子どもたちの遊びに混ざって泥だらけになった。


 村人たちはいつしか私を「レナちゃん」「バーネット嬢ちゃん」と、そして子どもたちは「お姉ちゃん」と呼び、孤独に震えていた私の心は少しずつ温かく彩られていった。

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