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星屑と悪魔  作者: 璃衣奈
3/5

圧倒的光属性

 突然ですが助けてください。



「あなたがっ、あなたがあたしの彼氏をたぶらかしたのね!?」


「いや、知りませんけど」



 放課後の校舎裏からこんにちは。たった今彼氏寝取り疑惑をかけられた由羅李ちゃんです。

 目の前には般若の形相の女の子。私をここへ呼び出した張本人様である。


 ……いやほんとに知らないのよ私。でも実は真相はなんとなくわかってたりする。

 これはアレだ。可愛い私に惚れちゃったこの子の彼氏くんが別れを切り出したんじゃないかな。『星崎さんを好きになってしまったんだ……別れてくれ』みたいな感じで。で、愛しの恋人が突然そんなこと言うから『星崎という女に誑かされたのね!?』となったんだと思う。

 そして悲しみと憎悪に暮れた彼女は、私を直接問い詰めることにした、と。


 …………まあ、あれだよね。美少女あるあるってやつ。実は彼氏寝取り疑惑は初めてじゃない由羅李ちゃんです。

 これで記念すべき七十七回目。ラッキーセブンがラッキーじゃねぇ。



「どう責任を取るつもりなのよ!?」


「ですから、私はあなたの彼氏さんなんて知りませんって」



 ため息混じりに告げると、彼女の顔が一層赤くなる。火に油を注いじゃったらしい。



「惚けないでよ、この、尻軽女!!」



 わあ、ひどい言われようだあ。

 埒が開かないなぁと空を仰ぐ。憎たらしいほど爽やかな青空に、とっても眩しいお天道様。こっちは血の雨予報が出てるっていうのに。

 救世主は現れないのか……と絶望に神を呪ったその時だった。




「何をしているんです?」




 神は、私を見離さなかった!!

 私の可愛さが生んだ奇跡だろうか、絶体絶命の危機にかかった声。心なしか視界が鮮明になった気がする。

 バッと振り向いて救世主のお姿を確認する。


 まず目に入ったのは、甘やかな蜂蜜色の瞳。目尻はとろりと甘く垂れていて優しげ。

 少し長めな柔らかいブラウンの髪は見るからにサラサラしていて、女子の私でも唸るほど繊細。

 甘く整った顔には、柔らかな笑みが浮かんでいた。その様子はさながら王子様のよう。



「か、華道院かどういん先輩……っ!?」


「あれ、僕のこと知ってるんですか?」



 こてんと首を傾げる王子様こと華道院センパイ。たしかこの女子生徒は同学年だから、華道院センパイは三年生か。

 真っ青になった女子生徒が、慌てたように弁明し始める。



「あ、や、あの、あ、あたしたち、ちょっと話してただけで!」


「一方的に大声で詰め寄って、罵倒するのが?」


(全部見てたんかーい)



 そしてそれを笑顔でサラリと言うという性格の悪さよ。ただの優しい王子様ではないらしい。

 女子生徒は真っ青通り越して真っ白。そのまま唇を噛みながら、慌てて走り去っていった。

 それを見送って、優しげな笑みを浮かべた華道院センパイが、心配そうに話しかけてくれる。



「きみ、大丈夫? ごめんね、もっと早く来れれば……」


「いや、ベストタイミングでした。心の底から感謝です」



 いや本当にベストタイミングなんだよ。

 あんまり早すぎると彼女に『あらかじめ取り巻きの男子を用意していたのね!!』と思われていたかもしれないのだ。そう考えると、早過ぎず遅過ぎずで完璧。感謝感激雨あられ。

 なんて素晴らしきセンパイかな。好感度がグングン上がっていくのを感じるね!



「本当にありがとうございました。助かりました」



 にこっと笑って言ったら、華道院センパイもにこっとなって「いや、大事にならなくてよかったよ」と言ってくれた。神様かな?? この圧倒的光属性感よ。

 センパイに対する好感度はもうMAX。これ以上あがると限界突破するわ。



「なにかお礼しますね」


「大丈夫だよ。これからは気をつけてね」



 優しく言って「じゃあね」と去っていくセンパイ。

 断り文句は優しくて気遣いまで鮮やか。なんだか後光が見えてきた。

 そしてしばらくその場で神様と言えるセンパイの光属性に浸って、ようやく気づいた。



「センパイ、私を見て顔を赤くしなかった!」



 こうして無事に好感度は限界突破した。

読んでくださって、ありがとうございます!

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