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第4話:隼人に彼女!?

シーン1: 街角での衝撃

土曜の昼下がり、地方都市の賑やかな通り。色とりどりの看板やディスプレイが並び、買い物客の声が響く。五十嵐葉月、11歳、ショートカットの黒髪に大きな目、キャップを被り、カジュアルなTシャツとデニムの短パン姿で、アイスキャンディを舐めながら歩いている。手に小さなショッピングバッグを持ち、鼻歌まじりにウィンドウショッピングを楽しむ。

葉月: (アイスをペロリ)「んー、いい天気!母さんに頼まれた買い物も済んだし、ちょっとゲーセンでも覗いちゃおうかな~♪」

葉月がスキップ気味に歩いていると、ふと、前方の広場に見慣れた背中を発見。Tシャツにジーンズ姿の、五十嵐隼人、17歳が立っている。葉月がニヤリと笑い、声をかけようとする。

葉月: 「おーい、お兄…!」(手を振ろうとした瞬間、凍りつく)

黒髪ロングヘアの可憐な少女が、ふわっとしたワンピース姿で隼人に駆け寄ってくる。少女はニコニコと笑い、弾んだ声で話しかける。

少女: 「ごめーん!待ったー?」

隼人: (軽く笑って)「いや、俺も今着いたところ。ちょうどいいぜ。」

葉月、アイスキャンディをくわえたまま固まる。慌てて近くの看板の陰に隠れ、目を丸くして二人を覗き見る。

葉月: (心の声)「お、お兄の彼女!?そんな…いつの間に…!?(胸を押さえ)な、なんでボク、こんなモヤモヤするんだ…!?」

隼人と少女が「行こっか?」「うん♪」と楽しげに並んで歩き出す。葉月は看板の陰からじっと見つめ、アイスがポタポタと地面に落ちるのにも気づかない。

葉月: (独白)「本当にお兄の彼女かどうか、確かめなきゃ…!」(キャップを目深に被り、マスクをポケットから取り出して装着する)



シーン2: 葉月の尾行大作戦

商店街の通り。隼人と少女が肩を並べて歩く。隼人は少し照れ臭そうに、少女は楽しげに話しながら進む。葉月は少し離れた距離から、電柱や店の看板を盾にコソコソと後をつける。

隼人: 「それにしても…どこに行ったらいいのかな。俺、こういうのに疎くてさ…」

少女: (クスクス笑い)「あれ?決めてなかったの?それとも私とデートのつもりだった?♡」(上目遣いで微笑む)

隼人: (顔を赤らめ)「ち、ちげーよ!ただ、ちょっとその…悩んでただけだから!」

少女: (笑いながら)「あはは!照れてるー!隼人、顔真っ赤じゃん!」

葉月、電柱の陰で耳をすませ、眉をひそめる。

葉月: (心の声)「何かよく聞こえないけど…デートとか言ってなかった!?お兄、ボクに黙ってホントに彼女と…?(胸がモヤモヤ)うー、なんかムカつく!」

隼人たちがショッピングモールに入っていく。葉月もマスクを直し、スネークのように身を低くして後を追う。モール内は明るく、雑貨店やカフェの賑わいが広がる。

隼人と少女が小物を扱う雑貨店に入る。色とりどりのアクセサリーやキーホルダーが並ぶ店内。葉月もこっそり入り、棚の陰から二人を観察。

隼人: (シルバーのブレスレットを手に取り)「こういうの、似合うかな?ちょっとシンプルだけど…。」

少女: (目をキラキラさせて)「うん、すっごくかわいい!それ、絶対いいと思う!」

二人が談笑する様子を、葉月は棚の隙間からガン見。

葉月: (心の声)「お兄…あの人にデレデレしすぎじゃない?(イライラ)何!?アクセサリー!?彼女にプレゼントでもする気!?」

隼人たちがレジで商品を購入し、袋に入れて店を出る。葉月は慌てて後を追い、モールの通路で尾行を続ける。

隼人: (首をかしげ)「なんかさっきから、誰かに見られてるような気がするんだけどな…。」

少女: (笑って)「えー、気のせいじゃない?隼人、気にしすぎ!」

葉月: (心の声)「ちっ、バレそう…!あー、もう!次はどこに行くつもり?(二人の親密そうな背中を睨む)ボク、絶対見届けてやる!」



シーン3: トイレでの騒動

モールの通路を歩く隼人と少女。隼人がふと立ち止まり、男子トイレを親指で指す。

隼人: 「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」

少女: (うなずき)「あ、私もー」

隼人が男子トイレに向かう。少女も何気なく後をついて歩き出し、トイレの入り口に近づく。葉月は遠くからその光景を見て、目を剥く。

葉月: (心の声)「な…なんで!?男子トイレに二人で!?どーゆーこと!?(頭を抱え)ま、まさか…!二人で個室のトイレに入って、人目が無いのをいいことに、あんな事やこんな事を…!?(顔が真っ赤に)」

葉月、わなわなと震えながら、怒りに任せてズカズカと隼人たちの方へ歩き出す。男子トイレの入り口前で隼人が振り返り、少女に気づいて慌てる。

隼人: 「おいおい、こっち男子トイレだぞ?何やってんだ、カナちゃん!」

少女: (ハッとして)「あっ!つい前の調子で…ごめん、ごめん!(照れ笑い)」

その瞬間、葉月が猛ダッシュで駆け寄り、キャップを脱ぎ捨て、マスクをずらして叫ぶ。

葉月: 「なに考えてんだ、この変態ーーッ!!お兄のスケベーー!!」(隼人の頬にビンタ)

隼人: (頬を押さえ)「ぐはっ!?は、葉月!?お前、なんでここに!?」

少女: (呆然)「え、なに!?葉月ちゃん!?」

葉月: (涙目で指を突きつけ)「問答無用ー!!ボクに黙って彼女とイチャイチャして…サイテー!(もう一度手を振り上げる)」

隼人: (慌てて腕でガード)「か、彼女!?ちょっと待て!こいつはただの……男だよ!俺の幼なじみの!」

葉月: (動きが止まり)「え…?ええーーっ!!」

少女がクスクスと笑い、隼人が頭をかきながら、ため息。モールの通路にいた買い物客がチラチラとこちらを見る。

隼人: (額に汗)「とにかく、ここじゃ何だから…移動しようぜ。近くの公園で話す」



シーン4: 誤解の解消とサプライズ

モール近くの小さな公園。木々の緑が揺れ、ベンチに隼人、葉月、少女が座る。隼人が気まずそうに説明を始める。

隼人: 「ったく、葉月、お前も昔よく一緒に遊んだだろ?俺の友達のカナちゃん。ほら、渚奏太(なぎさかなた)だよ」

少女、つまり奏太が葉月にニコッと微笑む。黒髪ロングのワンピース姿で、声は穏やか。

奏太: 「葉月ちゃん、久しぶり!大きくなったね!渚奏太だよ。覚えててくれると嬉しいな」

葉月: (目をパチパチ)「あのカナちゃん…?うそ、めっちゃ女の子っぽくなってる!(驚愕)お、驚いたぁ…」

隼人: 「だろ?高校に入ってから、カナちゃんこういうスタイルになったんだ。最初は俺もビックリしたけど、カナちゃんはカナちゃんだからな。で、今日はさ、俺がプレゼント選びで悩んでたら、カナちゃんがオシャレに詳しいってんで手伝ってもらってたんだよ」

葉月: (首をかしげ)「プレゼント?誰の?」

隼人: (少し照れながら)「お前、来週誕生日だろ?黙っててサプライズであげようと思ったけど、こんなバレ方するとはな…」



シーン5: 兄弟の絆

隼人がポケットから小さなラッピングの小包を取り出す。葉月は目を丸くして小包を受け取る。開けると、雑貨店で隼人が手に持っていたシルバーのブレスレット。シンプルだが星形のチャームが揺れる可愛いデザイン。

隼人: (笑って)「お前になら似合うと思ってさ。ちょっと早いけど、誕生日おめでとう、葉月。」

葉月: (ブレスレットを見つめ、顔がパァッと明るくなる)「お兄…!(ハッと気づき、そっぽを向いて)べ、別にうれしくないけど!お兄がくれるって言うなら、もらってあげる!」

葉月、ブレスレットをギュッと握りしめ、頬が赤くなる。奏太がクスクスと笑い、隼人も苦笑い。

奏太: 「ふふ、葉月ちゃん、昔っから素直じゃないよね。隼人、いい弟持ってよかったね」

隼人: (頭をかいて)「ハハ、まぁな。…で、葉月、お前なんで俺のこと尾行してたんだよ?」

葉月: (ムッとして)「だ、だって!お兄が女の人とイチャイチャしてると思ったから!ボク、ほっとけなかったんだよ!(小声で)…お兄、ボクに黙って彼女とか作ったら…なんか、嫌だったし…」

隼人: (少し驚き、柔らかく微笑む)「ばーか、カナちゃんはただの友達だ。…でも、お前がそんなに心配してくれるなんて、ちょっと嬉しいな」

葉月: (顔を真っ赤にして)「なっ!う、うるさい!別に心配してない!(ブレスレットを握り直し、小声で呟く)…でも、ありがと…お兄。」

隼人、ニヤリと笑い、葉月の頭をポンポンと叩く。奏太が二人を見て微笑む。公園の木々がそよぐ中、夕陽が三人を優しく照らす。

葉月: 「ふん!でも、次はボクも買い物に連れてってよね!お兄に買って欲しいもの、いっぱいあるんだから!」

隼人: (笑って)「はいはい、調子に乗るなよ。ま、せっかくだから、今日は俺がハンバーガーでも奢ってやるよ!」

3人が再びショッピングモールの方へと歩いて行く。葉月がブレスレットを腕につけ、キラリと光る星形チャームを見ながら小さく微笑む。こうして兄弟の絆が、また一歩深まったのだった…。(つづく)

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