第1話: 葉月の挑戦状
シーン1: 帰宅と挑発
夕暮れ時の地方都市。五十嵐家のリビングは、ソファやテレビが置かれた平凡な空間。窓からオレンジ色の光が差し込む。高校生の五十嵐隼人、17歳、バスケ部のユニフォーム姿で玄関から入ってくる。手に部活の汗で湿ったタオル。
隼人: 「ふぅ、疲れた…やっと部活終わった。麦茶、麦茶…と」(カバンをドサッと床に置き、冷蔵庫へ向かう)
リビングのソファに、弟の五十嵐葉月、11歳が寝転がっている。ショートカットの黒髪に大きな目、ゆるいTシャツと短パン姿。ニンテンドースイッチを手に、格闘ゲームをプレイ中。画面から「K.O.!」の音が響く。
葉月: 「ふーん、お兄、テストどうだった?まぁ、いつも通り微妙な点数でしょ?」(ニヤリと笑い、コントローラーをカチャカチャ)
隼人: (冷蔵庫から麦茶を取り出しつつ)「お前、相変わらず口悪いな。で、なんで俺のテストのこと知ってるんだよ?」
葉月: (ソファから身を起こし、ニヤニヤ)「だって、お兄の答案、机の上に置きっぱなしだったもん。国語、52点?小学生のボクでももっと取れるよ?ざぁこ♡」
隼人: (ムッとして麦茶を一気飲み)「お前、人の答案勝手に見るなよ!ったく…で、お前はどうなんだよ?宿題終わったのか?」
葉月: (胸を張って)「ふっ、当然!ボク、とっくに全部終わらせたから。ほら、お兄とは頭の出来が違うの♡」(ゲーム画面で勝利ポーズを決めつつ)
隼人: (イラッ)「はいはい、偉い偉い。で、ゲームばっかしてないで、なんか用事手伝えよ。母さんたち遅いんだから。」
葉月: (目をキラキラさせて)「ふーん、じゃあさ、お兄。ゲームで勝負しない?負けたらお兄のアイス全部没収ね!どう?や・る・気?」(コントローラーを差し出す)
隼人: (ニヤリ)「ハッ、小学生に負けるわけないだろ。いいぜ、受けて立つ!」
テレビ画面に格闘ゲームの対戦画面。キャラ選択で、葉月は派手な剣士キャラ、隼人は筋肉質なファイターを選択する。
シーン2: ゲーム対決とメスガキの洗礼
テレビ画面でバトル開始。葉月の剣士キャラが素早く動き、コンボを決めまくる。隼人のファイターは攻撃をスカされ、どんどんダメージをくらう。
葉月: 「おっと、お兄、ガード遅っ!ほら、こうやって…(ボタンを連打)ドーン!くらえ、必殺技!」(画面で剣士が強攻撃を繰り出し、隼人のキャラが吹っ飛ぶ)
隼人: 「うおっ、なにこの速さ!?お前、いつこんな上手くなったんだよ!」
葉月: (ニヤニヤ)「ふふん、SNSでプロゲーマーの動画見て研究したの。お兄、ゲームのコツ調べたことないでしょ?」
画面に「K.O.!」の文字。葉月の勝利。葉月はソファで跳ね上がり、勝利のVサイン。
葉月: 「よっわ〜!小学生に負けるとか、お兄、恥ずかしくないの?ざぁこ♡」(舌をペロッと出す)
隼人: (コントローラーを握り潰しそうになりつつ)「くっそ…もう一回だ!今度は本気出すぞ!」
次の試合。隼人が必死にボタンを連打するが、葉月は涼しい顔でカウンター攻撃。葉月の剣士が華麗なコンボで隼人のキャラをKO。
葉月: 「はい、2連敗~!お兄のアイス、いただきー!」(ソファから飛び降り、冷蔵庫へダッシュ)
隼人: (追いかけて)「おい、待て!アイスは俺のデザートだぞ!葉月、やりすぎだ!」
キッチンで葉月が冷蔵庫からチョコアイスを取り出し、パクッと食べる。隼人は呆然。
葉月: (アイスを舐めながら)「んー、美味しい!お兄、負け犬の遠吠え乙でーす♡」
隼人: (頭を抱えて)「…なんで俺、こんな弟に振り回されてんだ…」
シーン3: カレーの対決
隼人がキッチンでカレーの材料を切って、夕飯の準備中。葉月はスマホの画面を見ながらソファに寝転がる。
隼人: (エプロン姿で玉ねぎを切りながら)「葉月、スマホもいいけど、夕飯手伝えよ。母さんたち遅いんだから。」
葉月: (スマホをいじりつつ)「えー、お兄だけでいいじゃん。ボク、忙しいし~。ほら、フォロワー増えた!(スマホを見せる)」
隼人: (呆れて)「忙しいって、ただSNSやってるだけだろ。ほら、ジャガイモ剥けよ。」
葉月: (ニヤリと立ち上がって)「ふーん、じゃあさ、お兄のカレーとボクのカレー、どっちが美味しいか勝負しない?負けたら明日の家事全部やるってことで!」
隼人: (自信満々に)「お前、カレー作ったことあんのかよ?いいぜ、受けてやる!」
キッチンで二人が別々にカレー作り開始。隼人は真面目にレシピを見ながら調理。葉月はスマホで「簡単カレーレシピ」を検索しつつ、隠れて高級レトルトカレーを温める策略。
葉月: (鍋をかき混ぜながら)「ふふん、お兄のカレー、めっちゃ地味な匂い。ボクの超絶スパイシーカレーには勝てないよ~」
隼人: (鼻で笑って)「お前、口だけは一人前だな。味で勝負だ!」
時間が経ち、テーブルに二つのカレーが並ぶ。隼人のカレーは家庭的な見た目、葉月のカレーは妙にプロっぽい色合い。両親が帰宅し、試食タイム。
母: 「へえ、二人でカレー作ったの?いいね、どっちも美味しそう!」
父: 「よし、じゃあ公平にジャッジするぞ。まず、隼人のカレー…(一口)うん、安定の味!ちょっと味薄いけど、家庭の味だな。」
隼人: (ガッツポーズ)「よし、勝てる!」
母: 「次、葉月のカレー…(一口)お、おいしい!スパイスのバランスが絶妙!まるでレストランみたい!」
葉月: (ニヤニヤ)「ほらね、お兄。ボクの勝ち~!料理もざぁこ♡」(ウインク)
隼人: (愕然)「は!?お前、絶対なんかズルしただろ!レトルトだろ、それ!」
葉月: (涼しい顔)「証拠は?お兄、負け惜しみ乙でーす♡」
両親が笑い、隼人は頭を抱える。葉月は勝ち誇った顔でスマホをいじる。
シーン4: バスケ部の後輩とピンチ
次の日、隼人のバスケ部の後輩・西村と山本が五十嵐家に遊びに来る。リビングでゲームやお菓子を楽しむ。
西村: 「五十嵐先輩、いつも部活でカッコいいっすね!次の試合、絶対スタメンでしょ!」
隼人: (照れつつ)「まぁ、普通に頑張ってるだけだよ。で、お前ら宿題終わったのか?」
自分の部屋から出てきた葉月が、リビングでの会話に気づき乱入。
葉月: (ソファに飛び乗り)「ふーん、お兄のバスケ?めっちゃ地味だよね。ボクでも勝てるよ、こんなの!(バスケのポーズをわざとダサく真似る)」
山本: (笑いながら)「えw 葉月くん、めっちゃ毒舌!でも、可愛いから許す!」
葉月: (ニヤリ)「ほら、お兄、後輩の前でもダサいってバレちゃったね♡バスケで勝負してみなよ、ボクと!」
隼人: (イラッ)「お前、いい加減にしろよ!バスケはゲームと違うんだぞ!」
西村: (興味津々)「お、面白そうっすね!先輩、葉月くんと1on1やってくださいよ!」
隼人、渋々了承。家の裏庭にある簡易バスケットコートへ移動。
シーン5: 1on1と兄弟の絆
夕陽が差し込む裏庭。簡易バスケットゴールが立つ。葉月は動きやすい服に着替え、ボールを手にニヤニヤ。隼人は本気のバスケユニフォーム。
葉月: 「お兄、準備OK?小学生のボクに負けたら、部活引退レベルだよ?」
隼人: 「ハッ、舐めんなよ。1on1、5点先取な。手加減しないぞ!」
試合開始。隼人が圧倒的なフィジカルでドリブル突破。葉月は素早い動きでディフェンスするが、隼人のダンクで1点目。
葉月: 「ちっ、さすが高校生って感じ?でも、まだまだ!(ボールを奪おうと飛びつく)」
葉月、意外なスピードでボールをスティール。シュートを狙うが、隼人のブロックで失敗。観戦中の後輩たちが「すげえ!葉月くん、めっちゃ動ける!」と盛り上がる。
葉月: (息を切らしつつ)「くっ…お兄、ちょっとカッコいいかも…いや、でも負けない!」
試合は4-2で隼人リード。葉月が最後のシュートを放つが、ゴールに届かず。ボールが転がり、葉月が悔しそうに地面を叩く。
葉月: 「うっ…くそっ…!(目が潤む)」
隼人: (ボールを拾い、ニヤリ)「ほら、どうした?小学生が高校生に勝てるわけないだろ?」
葉月、ムッとして顔を背ける。後輩たちが拍手しつつ「葉月くん、めっちゃ頑張った!」とフォロー。
隼人: (葉月の頭をポンポン叩く)「でも、よくやったな。結構ビビったぞ、お前の動き。」
葉月: (赤面しつつ照れ隠しで)「…ふん、別に!次は絶対勝つから!お兄、覚えてなよ!」
夕陽の中、兄弟が小さく笑い合う。後輩たちが「五十嵐兄弟、最高っすね!」と盛り上げる。
シーン6: 夜のひととき
夜、葉月の部屋。ぬいぐるみが並ぶ可愛い部屋で、葉月がベッドに寝転がり、スマホでバスケの動画を見ている。ドアをノックし、隼人が入ってくる。
隼人: 「おい、葉月。まだ起きてるのか?明日、ゲームセンター行くか?」
葉月: (スマホを隠して)「ふーん、お兄が誘うなんて珍しいね。まぁ、いいよ。どうせまたボクが勝つけど?」
隼人: (苦笑い)「はいはい、調子に乗るなよ。…で、さっきのバスケ、楽しかっただろ?」
葉月: (少し照れて)「…まぁ、ちょっとだけね。(小声で)お兄のダンク、実はちょっとカッコよかった…って、別に褒めてないから!」
隼人: (笑って)「お前、ほんと素直じゃねえな。ま、いいや。おやすみ、葉月。」
葉月: 「…おやすみ、お兄。」(布団をかぶり、微笑む)
(つづく)