(3)
夢丘の着替えを待って、パーティールームに移動した。
何が起こるのかと、不安半分期待半分でドアの前に立った。
ホテルのスタッフがドアを開けると、それを待っていたように音楽が流れた。
驚いた。
ウエディングマーチだった。
スタッフが夢丘の手を取って、わたしの腕に導き、腕を組むような格好になった。
そして、ゆっくり歩き出すように促された。
出席者たちは両側に一列になって並んでいた。
その中に宮国もいた。
前を通ると、「おめでとう」という声と共に花が投げられた。
その瞬間、夢丘が口に手を当てた。
目には涙が溜まっていた。
溢れるのに時間はかからなかった。
わたしは一生懸命我慢していたが、それも限界に達した。
溢れるのを止めることはできなかった。
目の前には祭壇のようなものがあった。
そこに神父の格好をした男性が立っていた。
バヌアツ出身だと自己紹介された。
そして、テレビなどでお馴染みのあの場面が再現された。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、愛し続けることを誓いますか?」
「はい、誓います」
そして、促されるままにキスをすると、会場から拍手が起こった。
「おめでとう」という声がいくつも追いかけてきた。
感涙は最高潮に達した。




