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入手した翌日、夢丘が客の立場になって椅子に座った。
富士澤が担当美容師となり、AI翻訳機を右手に持った。
すでに施術の専門用語は担当者が学習させてくれていた。
AI翻訳機は優れものだった。ショートやミディアム、セミロング、ロング、ボブ、ロブ、マッシュ、シースルーバング、パーマ、ストレートパーマ、グラデーションカラーなどのヘアスタイル用語や、くせ毛、直毛、硬毛などの髪質、更に、ナチュラル、モード、カジュアル、エレガント、フェミニン、マニッシュ、爽やか、などのイメージについても正確に変換してくれた。
「これだけのことがわかればほぼ問題ないね。あとは身振り手振りでなんとかなると思うから」
富士澤が合格点を出すと、夢丘も頷きを返した。
「全然問題ないと思います。というより凄いです」
驚くのは無理もなかった。英語だけでなく70言語以上に対応しているし、双方向の自動翻訳機能がある。今までの翻訳機に比べて使い勝手は抜群に良くなっているのだ。
価格も2年間使い放題で1台4万円ほどなので、美容師全員に持たせても40万円ほどで済む。
早速、発注をすることにした。




