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✂ 第10章 ✂ 決断(1)

 

 一流のスタイリストとアシスタントを計15人集めるという難題に加えて、もう一つ心を重くしていることがあった。

 速攻カットの社長との関係だった。

 あれから干され続けているのだ。

 毎日会社へ行ってはいるが、これという仕事がない。

 上司は社長だけなので、指示が出るのを待っているが、呼ばれることもなく、電話もメールもない。

 それに、周りの社員からの冷たい視線も気になる。

 経理部のスペースの窓際に机を置いているのだが、〈あの人何をしているのだろう?〉という視線を感じるのだ。

 それはそうだ。一日中机に座って経営専門紙を読んだり、パソコンとにらめっこしているだけなのだ。会議に出ることもなく、昼食はコンビニ弁当を食べて誰とも会話を交わさない人間に不審な目を向けるのは当然だろう。


 こんな状態が続いているので、精神的にかなり参っていた。

 大きな失敗やコンプライアンス違反をしたわけではないので解雇されることはないが、年収1,000万円に見合う仕事はまったくできていない。

 給料泥棒と同じなのだ。

 退職願を出すことも考えたが、その後の当てがあるわけではないので、その度に思いとどまっていた。

 夢丘の進路が定まっていない状態で無職無給になるわけにはいかない。

 といって、このままの状態が続けば、いつか心に闇が訪れるようになるだろう。

 それは避けなければならない。

 でも、解決策はない。

 社長に直談判するという考えもあることはわかっているが、それをすれば、辞職を促されるに決まっている。


 といって……、


 結局、堂々巡りなのだ。

 今日も心に蓋をして、仕事をする振りをしなければならない。

 それしかできることはないのだ。



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