(15)
夢丘が目を覚ましたのは、それから1時間後だった。
汗をかいたので着替えたいという。
タオルとパジャマの替えと下着のある場所を聞いて、それを取りに行った。
引き出しを開けて、ブラジャーとパンティが現れると、ドキドキした。
パステルカラーのそれらは禁断の果実のようで、手に取るのがはばかられた。
それでも、持っていかないわけにはいかないので、恐る恐る手に取って、彼女の元に運んだ。
「体を拭こうか?」
どうしてか大胆なことを言ってしまった。
「いや、しんどそうだから手伝おうかと思って」
何も言われていないのに言い訳をした。
でも、彼女は何の警戒もなく受け入れた。
「お願いします」
背中を拭いてほしいという。
わたしは裸をできるだけ見ないように目を半分にして、彼女がパジャマを脱ぐのを待った。
上半身がブラジャーだけになった。
白くてきれいな背中にドキッとしていると、彼女は後ろ手に手を回して、ホックを外した。
「お願いします」
ブラの上に両手を置いた彼女に促されて、背中を拭いた。
「ありがとうございます。あとは自分でやりますから」
タオルを渡して、わたしは背中を向けた。
振り返りたい欲望を抑えながら、そのまま待った。
「もう一つ、お願いしていいですか」
洗濯機の横に置いてある洗濯籠と洗濯ネットを持ってきて欲しいという。
わたしは言われた通り持ってきて、彼女に渡した。
「もう一つ、いいですか?」
トイレに行きたいという。
わたしは彼女の手を取って体を支え、ゆっくりとトイレまで同伴した。
流す音がして、トイレのドアが開いたので、迎えに行き、ベッドまで連れていって、横になるのを手伝った。
「お手数かけて、ごめんなさい」
本当にすまなさそうな声だった。
わたしは強く否定した。
「好きでやっているんだから謝ることはないよ。いつでもどんな時でも支えになるつもりだから、遠慮せずに声をかけて欲しい」
それだけ言って、背を向けた。
照れくさくて、まともに顔が見られなかった。
でも、本音だった。
彼女のためだったらなんでもやる。
そのことをしっかり伝えられたことに安堵もしていた。




