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✂ 第7章 ✂ 溢れる想い(1)

 

 神山はMBA取得後、神山VCの副社長に就任し、神山不動産の取締役にも名を連ねた。

 就任直後、神山不動産本社の社長室で図面を広げた神山は、父である社長と、兄である副社長に六本木のランドマークになる日本一の高層ビルの最上階について提案をぶつけた。


「最上階にはライヴレストランを誘致したらどうでしょうか」


「ライヴレストラン?」


 社長と副社長が同時に怪訝(けげん)そうな声を出した。


「そうです。日本一の高層ビルの最上階で極上の音楽と料理を楽しめるレストランです。いけると思いませんか?」


 すると、社長と副社長が互いの反応を確かめるかのように目を合わせたので、「名前も決めています。天空のライヴレストラン『極上』です」と告げた。

 そして、ステージを見下ろすようにテーブルを配置し、昼は東京を一望できるレストランとして、夜は東京の夜景を楽しみながら音楽と食事を楽しめるライヴレストランとして、極上の時間を提供するというコンセプトを付け加えた。

 更に、テーブルや椅子などの調度品だけでなく、天井も壁も床もすべて木製にするという野心的な試みを提示した。


「経営大学院時代の友人に西園寺建設の御曹司がいます。彼は日本美研究所を立ち上げて、高層ビルの中に和を融合する研究を進めています。彼と組めば今までにない斬新(ざんしん)な最上階が創れます」


 神山が胸を張った。


        *


 夢丘愛乃は六本木の美容室でヘアメイクをしてもらっていた。

 それは他店の魅力を探り続けるためのもので、当初1ヵ月に一度のペースだったのが、最近は毎週になっていた。


 今日もまたヒントを一つ掴んだ。

 どうすれば魅力ある美容室を作れるのか、その答えがかなり見えてきたように感じていた。


 満足して店を出て通りを歩いていると、建設中の高層ビルが目に入った。

 でも、その高さが尋常ではなかった。

 のけ反るようにして見ないと上層部分が見えないのだ。

 そのあまりの高さに驚くしかなかったが、首が痛くなってきたので視線を地上に戻した。

 すると、大きな看板が目に入った。『(仮称)神山御殿ビル未来館』


 未来館なんて、面白い名前。

 博覧会のパビリオンみたい。


 夢丘は、ふっ、と笑って、もう一度見上げた。



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