(3)
翌日、グリーンを身に着けて4人が回転寿司屋に集まった。
西園寺はグリーンのジャケット、
神山はグリーンのパンツ、
宮国はグリーンのシャツ姿で現れた。
わたしはグリーンのハンカチを胸ポケットに飾っていた。
「和差美プロジェクトだからグリーンの物を身に着けろ、なんて誰が言ったんだよ。部屋中探して何もないから、慌ててグリーンのハンカチを買いに行ったよ」とボヤくわたしに耳を貸さないで、3人は品定めに集中していた。
「トロからだな」
神山が中トロの皿を取った。
「俺は、サーモン」
宮国だった。
「僕は~、ヒラメ」
西園寺が舌なめずりをした。
わたしは赤身のヅケから食べ始めた。
*
「回転寿司って日本人の発明だよね」
10皿を食べ終えたわたしに3人が頷いた。
「大阪の寿司屋さんがビール工場のベルトコンベアを見て、考えついたらしいですよ」
口をモグモグさせながら西園寺が言った。
「どこにでもヒントがあるものですね」
宮国が感心したように頷いた。
そう、どこにでもヒントはある。
それを感じるか、感じないか。
それに気づくか、気づかないか。
それを見つけることができるか、できないか。
その違いは、飽くなき探求心と桁外れた持続力が有るか無いか。
何かを真剣に探し求め、求め続ければ、必ずいつか閃きが訪れる。
目を皿のようにし、耳をダンボにし、体中にアンテナを張り巡らせば、必ず幸運の女神に気づき、見つけることができる。
信じて探し求め続けるのだ。
わたしは自らに気合を入れた。




