仔たんぽぽたちのたびだち
さいた。さいた。
たんぽぽのお花がさいた。
きいろくてかわいい、たんぽぽのお花がさいたよ。
お花はさいてしばらくすると、ゆっくりぎゅっと閉じていく。
するとまたゆっくりと開いていき、こんどはふわふわとしたまっ白でかわいらしいわたげたちが出てくる。
仔たんぽぽたちが、生まれる。
ふうっ、と。
やさしくてあたたかい風が吹くと。
ちいさくてかわいいわたげたちが、いっせいにとんでいく。
ふわりふわふわ。
ふよりふより。
たんぽぽたちは、風にのってとんでいく。
たびだ。たびだ。
僕はだれよりもたかくとぶぞ!
私はだれよりもいちばんとおいばしょにいくんだ!
風にのり、たかくたかく吹き上げられながら。
お母さんたんぽぽからはなれて、仔たんぽぽたちはそれぞれべつの、とおいとおいどこかへ向かってとんでいく。
あたらしいばしょへと、とんでいく。
やがて、仔たんぽぽたちは土におち、土のなかですよすよと眠る。
そして、仔たんぽぽたちは土の中からぴょくん!とかわいい2枚の葉を出した。
晴れた日は、たいようさんにぽかぽか当たり。
雨の日は、雨水をごくごくのみ。
ゆっくりゆっくり、仔たんぽぽたちはにょきにょきと大きくなっていく。
そして仔たんぽぽたちは、きいろくてかわいいお花をさかせる。
りっぱなたんぽぽになる。
たんぽぽたちはきいろくてかわいいお花をさかせると、ゆっくり閉じてまた開く。
新たな仔たんぽぽたちが、ふわんと生まれる。
そしてまた風が吹いて、新たな仔たんぽぽたちは、空へととんでいく。
仔たんぽぽたちは、それぞれのばしょへ向かってとんでいく。
こうしてたんぽぽたちは、ひろいこのせかいをたびするのだ。