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8話 初対面のはずが…

そのあとは当たり障りのない話をしていた。


食事を終えて、父親の電話が鳴ると、そこでお開

きになった。


「すまないな、郁也くん、まどかさん、うちの

 子達をよろしく頼むよ。真っ直ぐでいい子な

 んだ。いつも苦労させてしまっていてね……」


「幸樹さん、こちらこそ郁也が迷惑をかけるか

 もしれませんし、これからは二人とも私の子

 供として一緒に育てていきましょう」

『幸樹さんの子達可愛いわ。やっぱりうちの子

 のように自由にさせちゃダメなのかしら?あ

 の子ったらだらしないんだから……』


「ふっ……」


「何笑ってるの?歩夢お兄ちゃんキモっ…」


「なっ…。少しは美咲もしっかりしろって事だ!」


誤魔化すように言うと、そのまま解散なら家にで

も帰ろうとすると、すぐに呼び止められた。


「歩夢、ちょっとまどかさんと郁也くんを家に

 案内してくれないか?美咲は今日は今から友

 達の家だろう?」


「そんなぁ〜、私も家に帰るもん」

『せっかくのお兄ちゃんだもん、早く仲良く

 ならなくっちゃ』


考えが見え見えだった。


「分かった。なら、ついてきて。それからそ

 の前にスーパー寄ってもいい?」


「えぇ、いいわよ。良かったら夕食は私が作

 ってもいいかしら?」


ありがたい申し出だった。


「では、お願いしてもいいですか?」


「歩夢くん、敬語はやめてほしいわ。お母さん

 と呼んでなんておかごましい事は言わないけ

 れど、家族になるんですもの。もうちょっと

 普通に話して欲しいんだけど…」

『やっぱり私じゃ母親には難しいのかしら?で

 も、こに子達に信頼されるような存在になら

 なきゃだわ』



「あ、いや……そう言うわけじゃないんだけど」


「お母さん……まどかお母さんのがいいかな?」


いきなり美咲が言い出した言葉に、まどかさん

の驚きと喜ぶ顔が見て取れた。


「歩夢くんはいつも買い出し専門?俺も結構買

 い物で荷物持ちさせられるからさ、今日は俺

 が持つよ」


「あ、ありがとうございます」


「やっぱりかたいなぁ〜。もっと気楽に話して

 よ?」

『可愛い。困った顔も可愛いじゃん』


ハッと振り返ると、歩夢の行動に郁也は不思議

そうに見てきた。


可愛い?美咲の事……だよな?


歩夢は足を早めると近くのスーパーで買い物を

して荷物を袋に詰めた。


さっき言ってた通りに、郁也が荷物を持つとそ

のまま運んでくれたのだった。


「美咲、お前友達の方はいいのか?」


「お兄ちゃんこそ、友達いないからって私の事

 仲間外れにしようとしないでよね〜、私だっ

 て郁也お兄ちゃんと早く仲良くなりたいもん

 ね〜」

『最初が肝心って言うじゃない!ここでグイッ

 と行くのは定席よ!』


魂胆が丸見えなので、余計に二人っきりには出

来なかった。


「家についたら、まずは部屋に案内しますね!」


「ありがとう、是非ともお願いするよ」


「はーい!郁也お兄ちゃんって今彼女さんいる

 んですか?」


いきなりの質問をぶっ込んでくる妹に、咄嗟に

止めようとしたが、急に手を止めた。


「う〜ん、どうさろう。今はいないかな〜」

『あんまり女遊びばっかしてちゃ母さんに愛想

 つかれそうだしな〜、まぁ適当に流すか……』


「そうなの!そっかぁ〜フリーなんだ〜うふふっ」

『チャンスじゃん、私!よし、完全に胃袋掴むわ

 よ!』


「ちょっと寄り道してから帰るね〜」

『そうよ、あそこのケーキめっちゃうまいし買っ

 て来てあげよっと!』


「あんまり駅の方に行くなよ?それと、無駄使い

 はほどほどにしろよ?」


「そんな事しないもーん!お兄ちゃんの分は無し

 なんだから!」

『歩夢兄のなんか買って来てやらないもーん』


「僕は別に甘いもの好きじゃないし、どーせ美咲

 の事だから駅前のケーキ屋でも行くんだろ?」


「なっ………違うもん!」

『なんで分かったのよ!やっぱり変態?』


失礼な言葉を浮かべていたのだった。

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