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55話 歩夢の気持

文化祭最後を飾るのが告白ターイムと題された

イベントだった。


各クラスで片付けを終えて体育館に集まる。

それでも片付けが終わってない人は参加しない

事もある。


だが、これに命を賭けているような輩は何をお

いても参加しに行った。


もちろん、歩夢は前者だった。

郁也に連れ回されたせいでクラスの片付けを最

初から手伝えなかったからといって、教室に残

ったのだった。


体育館では今、盛り上がりを見せていた。


主に男子からの告白が多く、全校生徒の前で名前

を呼んで舞台に上がって貰う。


マイクを持って盛大に告白するのだ。


恥ずかしながらも、イベント感覚での告白に真剣

に応える人もいれば、笑いながら了解する人もい

た。


その後、長続きするかどうかは別の話だった。


お祭りを盛り上げる為に、カップルが成立すると

クラッカーが鳴って、食堂の無料券が1ヶ月分貰

えるとあってか、結構成立しているカップルが

多いのだった。


もちろん即答で、断る場面もある。

それはそれで、お祭り騒ぎならではの盛り上がり

を見せたのだった。


遠くから、歓声が上がっているのがわかる。


「盛り上がってるな……」


「行けばよかったじゃん?」


「別にいいよ。それより、綾野はよかったのか?」


「まぁ〜、こんなんで彼女できても一瞬だろ?告

 白はもっとムードを大切にしたいからさっ…」


「そっか……」


綾野の意見も最もだった。

こんな勢いで言うものじゃない。


「それよりもさ…水城はさ……男でも付き合える

 のか?」


「えっ……それは……」


郁也の事を聞いているのだろう。

分かってはいるのだ。このままでは行けないと言

う事も。

それでも、まだはっきり決めきれないでいた。


「無理ならはっきり言わないと、あいつ絶対に無

 理って事もりそうじゃん?嫌なんだろ?」


「それは……分からないんだ……」


毎日見ている顔だけど、間近で見ると心臓が高鳴

るほどにドキドキするのだ。

それが恋かと言われると、あまりしっくりこない。


キスする度に、煩く鳴る鼓動にいつも困っていた。

今日、郁也にはっきりどうしたいのかを言われて、

実際戸惑っている。


男同士の絡みがどんなものかを知ってしまったせ

いで、いつものように接するのが恥ずかしいのだ。


「綾野は知ってるのか?……えっと、その……男

 同士の」


「まぁ〜、一応な。高校にもなれば彼女が出来た

 時にって思ってビデオとか借りるだろ?その時

 にな………知ったんだよ」


綾野も知っているのだ。

どうするのかを……。


歩夢は知らなかったのが少し恥ずかしかった。


まだ、女性ともキスすらしたこともない。

なのに、兄とは毎日しているのだ。


こんな事、恥ずかしくて言えなかったのだった。




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