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51話 舞台上の彼女?

薄暗くなった中で舞台の上だけにライトが当たる。


薄汚れたスカートに長い黒髪。

その子を虐め抜く継母と姉達。


父親は妾の子など家に置いているだけで感謝され

るべきだと主張した。


劇の中では俯く彼女が健気で心が震えた。


「あれ?声が……」


さっき入口に置いてあったパンフを手に取る。

スマホで照らしてして読むと、男女逆転ストーリー

と書かれていた。


いわゆる配役が、逆の性別の人が演じているのだ。


よくみると継母役は歩夢の友人に似ている。


では、歩夢はどこに?


台本があるから、セリフを言う役柄なのだろうが…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


母と姉に置いていかれるシンデレラ…魔法使いの老

婆に会って0時の鐘が鳴り終わるまでに帰って来る

約束でドレスや、ガラスの靴、そして馬車など魔法

で出してもらった。


0時の鐘は一回目が10分前に、その次に5分前に最

後は、0時ちょうどに鳴るのだった。


遅れて会場に着くと、すでに音楽が鳴り響き、城で

は男女が綺麗なドレスを来て踊っていた。


そこに現れたシンデレラ。

彼女(?)は王子の目に留まるとダンスに誘われる。


控えめな動作で王子の手を取り踊り出す。


そして時間は無惨にも過ぎて行き、一回目の鐘が

鳴る。

シンデレラは慌てて王子の手を振り払うと駆け出

していた。


靴が脱げても、そのまま馬車の停めてある場所へ

と走った。


二度目の鐘が鳴るころには馬車へと乗り込む。

後を追って来た王子に止められるも、名前さえも

告げる事なく馬車を出したのだった。


勢いよく走り出すと、馬車は跡形もなく消えてい

た。


最後の0時を告げる鐘の音が鳴った瞬間。


シンデレラは自分の家の前に座り込んでいるのに

気づいた。


靴は片方しか履いておらず、ドレスは魔法が解け

て元のボロボロの服に変わっていた。


暗転した瞬間に着替えたのだろう。


実にテンポのいいタイミングだった。


舞台上に見えるシンデレラの顔に、見覚えがあっ

た。


「歩夢…?」


化粧のせいで確証は持てないが、それでも郁也に

は歩夢に見えたのだった。


あれだけ見せたくなさそうにしていた理由。

それは、ドレス姿を見られるのが嫌だと思ったか

らだったのだろう。

そう思うと、可愛いらしく思えた。


「歩夢の奴……可愛い格好してくれてんじゃん」


スマホのカメラを構えると、舞台上へと構えた。

今日きていることは内緒にしている。


だから、のびのびと演技しているのが印象的だ

った。


じっと舞台が終わるまで、眺めると微笑ましく

笑みが溢れたのだった。

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