29話 サウナは早い?
湯船に浸かると、まだ洗っている郁也を見た。
男らしい身体付きに、あきらかに大きいアソコ。
女子とはよく関係を持っていたと言うのだから、
やっぱりそれなりの大きさがあった方が満足させ
られるのだろうか?
でも、それよりやっぱり顔なのだろうか?
「やっぱり顔かな………」
「何が顔なんだ?まさかっ!好きな女でもできた
のか?」
「はぁ?別にそんなの居ないし……って言うか、
郁也兄さんは今恋人いないのかよ」
「いないよ?まぁ、好きな子はいるけど…」
『何これ?俺に聞いてくるって事は脈あり?目の
前に可愛い子がいるのに彼女作るわけないじゃ
ん』
「なっ……//////」
「ん?」
いきなりの言葉に絶句すると、郁也は不思議そうに
見てきた。
「どうかしたか?」
「べ…別に……なんでもないし……」
「そうだ、サウナ入ろうぜ!せっかくきたんだし、
入らなきゃ損だろ」
そう言って、郁也は歩夢を引き連れて中にはいった。
人もいなくてガランとしていた。
まるで貸切りのようだ。
「あっつい………はぁ、はぁ……はぁ……」
暑くて息苦しい。
呼吸をするだけでも辛い。
そもそも熱いのは苦手だったし、小さい時はお風呂
で遊んでいるだけで、サウナなど入らなかった。
「熱いか?」
「あ……あたり前だろ……」
「もうちょっと我慢してみろって、出た後が気持ち
いいんだぞ?」
そんな事を言われても、今にもフラフラしてきそう
だった。
「もう出るっ!」
「まぁ、待てって」
勢いよく立ったせいでよろけるところを郁也が掴ん
で自分の方へと引き寄せた。
目の前が回って、押しのけようにも力が入らない。
「大丈夫か?」
『うわっ……これ抱きしめてくれって事か?逃げない
し、逃げる気配もないし、これっていいって事だよ
な?』
いきなりぎゅっと抱きしめられると余計に逃げられ
ない。
「離せって……」
「大丈夫だよ、俺が支えててやるって…」
『柔らかい……男はもっと硬かったはずなのに、
歩夢は違うんだな〜。これじゃまるで女の子
と変わらないんじゃないか?このままおっぱ
い吸ったらどんな声をあげるんだろう』
「やめっ……俺は男だし!おっぱいなんかない
もん!」
「いや、そう言うつもりではなくて……あれ?」
『俺って声に出したっけ?』
「えっ……」
郁也の言葉に、ドキリとする。
一瞬声に出して反応してしまったが、あきらかに
声ではなかった。
「あ……えっと……」
弁明しようとした瞬間腰に巻きつけていたタオル
が落ちる。
「あっ……」
「おっと、拾ってやるから、おとなしく…」
『おっと、ちんこ丸見えじゃん。ちっちゃいけ
どちゃんと生えてるんだな〜。可愛いな〜、
しゃぶってやりて〜』
同時にタオルを取りかけたが、すぐに歩夢は手
を引っ込めると前を手で隠したのだった。
「あれ?なんで?」
『タオルより隠す方が先?』
「もう、無理っ……僕出るからっ……」
そう言ってドアの方へと行こうとしたが足が
もつれて転びそうになった。
目の前が回る。
一瞬天井が見えたと思った瞬間、そのまま倒
れ込んでいたのだった。