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27話 銭湯に行こう

隣の部屋で悶々とされても困る。


図書館から帰って来てから郁也の様子がおかしい

気もする。

それは歩夢にもわかってはいた。

だが、何が原因かは分からない。


いつも可愛い、だの言われ続け、今更好きだと言

われても何も思わない。


心の中で聞こえる声は本心とも限らないし、実際

に言われたわけでもないので、どうとも思わない

事にしている。


もし、下手に返事をしたら、きっと気持ち悪いが

られるに決まっているからだった。


そんな素振りも見せないように、気をつけている

つもりだった。


考えるのが面倒になってベッドに横になった。


自然と眠気が来る。

が、完全には眠れなかった。


その原因が隣の部屋にいる郁也だった。


心の動揺が手に取るようにわかるので、それがモ

ロに伝わって来るのだ。


ただじっとしていると、いきなり部屋に入って来

たl。


『あ、鍵閉めてないっ!!』


今更起きるのもおかしいと思うと寝たふりをした。


郁也が勝手に話出すと、息がかかる所まで近くに

来ていた。


ちゅっと額にキスを落とすと帰っていった。


バタンッとドアが閉まる音がして、やっと目を開

けた。


「なんなんだよ…………」


いきなりの告白に、キス?

どうして?


分かりたくないのに、理解し難い事なのに…。

それなのに………どうにもこれは………。

唐突にだが、分かった事がある。


それは、郁也が歩夢に対して抱いている感情が恋

愛感情であるのではないかと言う事だった。


だが、ここで問題が生じる。


恋愛における男同士ではどうにもならないと言う

事だった。

一緒に触り合うとか?


もしくは……口でとか?//////


自分で考えただけでも顔が熱くなる。


自分でも綺麗だとは思えない場所を人に触らせた

くないし、ましてや口になど含むのは断じて論外

だった。


そうなると、完全に諦めてもらう他ない。


それとも、歩夢を男として見れていないのだろう

か?

弟と言いながらも女として見ているパターンだ。


これなら頷ける。

それなら早く誤解を解かねばならないだろう。


歩夢はスッと立ち上がると一階へと降りる。

風呂をつけると再び上がってくる。


コンコンッ。


「郁也兄さん?いる?」


慌てて中から出てくる郁也に笑うと、普通に話か

けた。


「一緒にお風呂入らない?ほら、男同士だし?背

 中流してあげるよ?」


「お、お風呂っ!そうだな、入ろうか?」

『お、お風呂だとぉーー!!とうとう歩夢と裸の

 付き合いかぁやっぱり脱ぐんだよな?裸を見て

 もいいのか!いいんだな!これは抱いてもいい

 と言うお誘いなのか?いや、待てよ……本当に

 いいのか?なんかの罠なのか?』


一斉に流れ込んで来る声に一瞬、眩暈がした。


「あ、いやなら別に……」


少し後悔した気がする。

本当に言ってよかったのだろうか?


もし、時間を戻せるのなら、さっきの言葉を言

う前に戻して欲しかった。


やっぱり、誘ったのは間違いだったかもしれな

いと考え始めていた。




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