お前の名前は…
ドラゴンが家に来て、1日目。
眠い目をこすりながら起きた俺は、
俺のベッドで寝ていたドラゴンの様子を見に来た。
真っ白な鱗を持ち。
赤い目をしていて。
身体に濃い青いラインが何本か渡っていた。
「あっれ?色変わってねぇか?」
そう。昨日の夜と色が違う。
身体にある模様の色は変わらず変わっていないが。
この子の色は白い皮膚の鱗を持っていた。
形状は変わってはいないが、はっきりと色が変わっている。
ちなみに現在午前10時。
ドラゴンはゆっくりと目を覚まし。
俺の顔を見て、安堵しながら、俺の肩に乗った。
可愛らしいね。君。ほんとに。
とりあえず、身体の色は調子が悪いとかでは無いみたいので、一旦朝食の時間だ。
寝る前に色々と参考文献を調べた。
大体昔見たアニメや漫画やゲームだが。
某ゲームでは、リンゴが大好物だったり。
肉を食っていたり。雑食なイメージを持っていたが。
魔物の餌とか無いもんなぁ。
霜降り肉とかは、俺が破産するしなぁ。
なんかこう。手頃なご飯が必要なのかなぁ?
食事を、用意する?難しいなぁ。
今まで自分のご飯で精一杯だもんなぁ。
ドッグフードとかダメかなぁ。
とりあえず、家にあるもの口の前に持っていって食べるか試すか…
リビングには、親父がいた。
親父の名前は、上杉 冬馬
大体身長は178cm。競馬が趣味の元サラリーマン。
年齢はたしか、56歳。
今は、フリーターみたいなものって言っていたが、
最近は、俺の契約しているサブスクを見て、家の家事をしていたり。
しょっちゅう出かけては、競馬場で馬を眺めているらしい。
「辰。おはよう。龍の子は?」
「おはよう。ここにいるよ。」
「ギャアー」
「色が違う!!!わかんない!!!なんだそれ!!カメレオンか!!!?」
「俺だって、分かんないよ……」
「ギャアー?」
親父は、パニックになると大声を上げてしまう。
「とにかく、飯でも食べようと思って。」
パニックになってる親父を遮って、飯の話をしようとした。
「それもそうだな…、それで。その子。名前は?」
「名前?」
そういえば。このドラゴン。名前を付けていない。
そもそも名前を名付けないといけないのか。
そうか……
俺、ネーミングセンスが中学二年生から変わってないからなぁ。
ドラゴンをまじまじ見ると……四足歩行で翼が生えてて。
爪は鋭く、鉤爪で。
指は4本。三本が先端に分かれていて、1本は後ろ向きに。
鳥のように逆関節の脚なんだな。二本足でも立ちそう。
立派なツノが身体側に流れて生えてるねぇ。2本も。
こいつ…何ドラゴンなんだよ。
種族とか属性とかあんのかな…
夜と朝で色が違うし。
ブレスとか撃てんのかな……
ブレスオブフ〇イアとか、レジ〇ンズとか、ああいうドラゴンなのかな……
こいつ昨日は、いつでも大きくなれるって感じだったし。
ちゃんとかっこいい名前とかの方が良いよなぁ。
「辰。分かりやすく自分の世界に入らないでくれるかい?」
おおっと。名前を決めていないのが簡単にバレてしまった。
「お父さんは、心配だよ。色々と。」
「ごめん。ペット飼うの始めてだから……」
「ペット……?ペットの枠組みかい???」
「とりあえず、名前だよなぁ。」
パニくる直前の親父は一旦置いておこう。
「なんかない?」
雑に親父に聞いてみる。
「うーん。イメージでは、この子は、黒い状態と白い状態の2種類の形態があるんだよね。」
「おおよそ…そうじゃないかな。」
「まるで、夜空と大空みたいじゃないか?」
「親父……天才じゃん。こいつスカイドラゴンなのか?ドラ〇エにいたよな?」
「あくまでもイメージだよ。辰。まだ、空が関係あるかわからないからね。」
「いや。親父。どうやら合ってるみたいだ。」
ドラゴンは、羽でホバリングしながら、俺たちの話を聞いて理解していたみたいだ。
ドラゴンは、窓の外を指さしながら、笑顔で頷いている。
ほっこりしてしまった。
「そしたら、この子は、空に関する種族ってことなんだね。」
「そうみたいだ。安直にスカイとかでいいか?」
「あ。この子……オスかメスか…わかるかい?」
わかるわけがない。チラリとドラゴンに顔を向けると。
特に気にしていない様子だった。
ドラゴンはそういうのは関係なさそうだ。
「いや。わからない。そういうのはなさそうだ。」
「そうか……まぁ、辰に任せるよ。」
「そう言われるとどう決めっかな……」
アトモスフィアとか
セレスティアルとか
ヌトとかホルスとか
空に関する神やら言葉やらを駆け巡ったが。
シンプルなのがいいか。
スカイより、名前みたいなこっちに決めた。
「よし。お前の名前は……」
「『シエル』これがお前の名前だ。」
「キュアーウ!」
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
こうして、ドラゴンの名前は『シエル』に決まった。
日月星辰と言った言葉から、モチーフを考えております。