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22話 サイジェン島合宿Ⅶ - 愛の決着

「いやぁー、マジで助かったっス!」


「ウムゥ! ドロップしたアイテムはほとんどが電気技士向けの素材アイテムのようだし、好きなだけ持って行ってくれィ!!!」


「ネクロンさん、お怪我はありませんこと?」


「あ、はい、おかげさまで……」


「あぁ、あなたが無事で本当に良かったですわ……」



 俺達が駆け付けると、なんとどんぐり達が先に来ており、ネクロンを助けてくれていた。


 なんという巡り合わせか……。



「ありがとうどんぐりクン、ウチのネクロンを助けてくれたようでっ!」


「ヌ? なんと、あのムラマサ殿がネクロン殿の保護者だったかァ!」


「ムラマサ先輩、彼とは知り合いなんですか?」


「知り合いってほどじゃないんだけどね。長くこのゲームをやっているもんで、互いの名を耳にする機会もあったし、挨拶をする機会もあったってくらいさ」


「そ、そうなんですね……」



 そういえばどんぐりは意外と交友の広いユーザーだった。


 クランメンバーくらいしか知り合いの居なかった『Spring*()Bear』と違って、クランの外にも知り合いは多かったっけ。



「あのぅ……ひとつ気になったのですがぁ…………『Spring*Bear』さんは、一緒じゃないんですかぁ?」



 ッ!


 出来ればそこに触れぬまま別れたかったんだがな……。


 しかしそこが気になるのも仕方あるまい、パリナを責めることはできないよな。



「アァ! スプベアは攻略組を引退したのだァ! ガハハハハハッ!」


「アタシ、憧れてたのに……。引退して今は何をやっているの?」


「えーーーーーっと……どんぐりパイセン、言っちゃっても良いんスかね?」


「別に良いんじゃありません? この方々って生産職クランなんでしょう? むしろ縁があれば既に出会っているかもしれませんわ」


「なるほど、おっけおっけ! 実はベアー先輩、セカンドキャラを作って生産職を始めたらしいスよ!」



 あぁ……言うんだ…………別にいいけど…………。


 ま、いくら何でもそのセカンドキャラが『くまさん()』ってとこまでは辿り着けやしないだろう。



「それはびっくりね~、何か目的があってのことなのかしら~~~」


「ウム! 実はアイツ、自分の豪邸を────」


「────おーっともうイイ時間ですよムラマサ先輩! 採取を急がなくちゃ『Initiater』との勝負に負けちゃいますよッ!?」


「あっ、そういえばそうだったっ! すみませんお三方、実はボク達ちょっと急いでましてねっ! ネクロンを助けてくれたお礼はきっとそのうち返しますんでっ!」


「ヌハハッ! 楽しみにしておるわァ!」



 危なかった……。


 生産職で金を稼いで『Spring*Bear』の豪邸を買う、そこまで明かされてはどうしたって『くまさん』=『Spring*Bear』とバレてしまう。


 いや、無理に隠そうとしていたつもりはないんだが、あれだけ初心者であることを盾に先輩方から力を借りまくってきたのだ、それが実は10年来の古参ユーザーでした~なんてバレたら気まずすぎる。


 それにバレたくないというのは、どんぐり達に向けての想いでもある。


 ここでバレてしまっては、優しい彼らは何かと援助を申し出てくるに決まっている。


 彼らと関わるのは、俺が生産職として一流になった時でありたい。


 一流の生産職として、最前線攻略組のサポートを行う。


 それがあるべき関係、あるべき出会いなのである。





               * * *





 雪山エリアを離れ、海岸エリアに向かった。


 が、じっくりと採取を行うだけの時間は残っておらず、目的のアイテムの入手が間に合わないまま集合の時間となった。



「おまたせしましたアリア様っ! お迎えに参りましたーーーーーーっ!!!」


「落ち着くんだミカリヤ、まずは採取物のお披露目からだよ。……まあ、アリアちゃんもムラマサも僕らに降ることにはなるだろうけどね」


「待ってよミステリオ。聞かせられる命令はひとつだけ、その場合はボクかアリアのどちらかを選んでもらうからね」


「というか負けと決まったワケじゃないですよ、ムラマサ先輩。見せてくださいよ、『Initiater』さんが拾ってきたレアアイテムを」


「フッ、良いだろう。……刮目せよ、『Initiater』採取班の実力をね!」



名称:ドラグニティライト

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:59

アディショナルパワー

 ・龍神の祝福


名称:ドラグニティライト

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:57

アディショナルパワー

 ・龍神の祝福


名称:豊穣神の忘れ物

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:79

アディショナルパワー

 ・豊穣神の祝福


名称:エターナルグラス

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:71

アディショナルパワー

 ・回復量増加Lv.2


名称:エターナルグラス

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:67

アディショナルパワー

 ・広域化



「どうだい、この短時間で5つも採取できたのさ。さあ次はそちらの番だよ。1つかな、2つかな、それともまさか……0だったりしてね」


「うふふ~、錬金術士は採取が得意なのよ~」



名称:エターナルグラス

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:82

アディショナルパワー

 ・広域化


名称:月輪草

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:98

アディショナルパワー

 ・月女神の祝福


名称:豊穣神の忘れ物

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:94

アディショナルパワー

 ・豊穣神の祝福


名称:ドラグニティライト

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:68

アディショナルパワー

 ・龍神の祝福


名称:ドラグニティライト

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:97

アディショナルパワー

 ・龍神の祝福

 ・増幅Lv.2



 こちらも5つ……引き分けか。


 この場合はどうするんだ?


 品質とかで勝敗を決めるか?


 そのあたりのルールは決めてなかったらしく、ムラマサもミステリオも悩んでいた。



「あ、みんなに言うの忘れてた。史跡でロボからさ、こんなのドロップしたんだよね」



 と、ネクロンがアイテムを1つ提出してきた。



名称:コア - 機械神の従僕

レアリティ:☆☆☆☆☆☆★

品質:99

アディショナルパワー

 ・なし



 ネクロンが見せてきたそれは、こぶし大の光る石だった。


 石の内側には電気信号のような光の線が等間隔に走っている……まるで心臓の鼓動のように。



「おおっ! すごいよネクロンっ! これもレアリティ6じゃないかっ!」


「でかしたわネクロン! これでアタシ達の勝ちねっ!」


「よかったですぅ……アリアさんの生脚もムラマサさんのおっぱいも守り通せましたぁ‥…!」


「いぇい」



 これで6対5、俺達の勝ちだ。


 ……と思っていたら、ミステリオが恥ずかしげもなくいちゃもんを付けてきた。


 けっ、見苦しいぞこのおっぱい星人め!



「それは史跡エリアで採れるアイテムだよね? 史跡はマップ全域でランダム発生するエリアだ、つまりそこで採れたアイテムは「サイジェン島でのみ採取できるレアアイテム」というムラマサの定めたルールによればカウントされない。違うかな?」



 やべえ、正論だ……。


 おっぱい星人のくせに……。



「だったら勝敗はどうなるのさ?」


「悔しいが引き分────」


「────あら~、おかしいわね~?」



 ミロルーティが言葉を挟んだ。


 そういえばさっきから黙りこくって『Initiater』が提出したアイテムを観察していたようだったが……何か気付いたことでもあるのだろうか。



「今日の乱数テーブルではね~、品質60以下の“ドラグニティライト”は採れないのよね~」


「なっ! 待て待つんだミロルーティ、何が言いたい? 僕達は集合直前に採取数3つじゃ負けそうだからマーケットで買い足したりなんかしていないからなっ!」


「ああ~、その手があったわね~」


「ゆゆゆっ、誘導尋問ですっ! 卑怯なりくま畜生っ!」


「なんで俺なんだよ。ほらお前ら、さっさとマーケットの取引履歴を見せてみやがれ」



 ミステリオ達のマーケット取引履歴を確認すると、やはりマーケットで“ドラグニティライト”を購入していた。


 いくらなんでもそんな方法で手に入れた分は無効だろうということで……。


 結果は5対3、『クラフターズメイト』の勝利となった。



「覚えてなさいくま畜生めっ!」


「此度は見逃してやっただけ、次こそ────君に裁きが下るだろう!」


「うわぁ、典型的な小悪党の捨て台詞ですね」



 ちなみに勝者である俺達から敗者であるミステリオ達への命令だが、一旦保留ということになった。


 ムラマサ曰く「それにふさわしいタイミングがあるんだよねっ!」とのことである。



「いやぁ、今日はミロロに助けられっぱなしだったねっ!」


「ホントよね。ミロロが居なくちゃあんなにレアリティ6アイテムを採取できてたはずが無いし」


「むしろぉ……それもなしに3つも採取してきた『Initiater』の皆さん、すごいと思いますぅ…………」


「うふふ~、ほんとよね~。最後のアレだって、カマを掛けただけだし~」


「えっ、どういう意味ですか?」


「えっとね、品質60以下の“ドラグニティライト”、採れるのよね~」


「うわぁ、ミロロギャンブラーすぎでしょ」


「でもちゃんと選んだのよ~? あの“ドラグニティライト”を採るにはどちらも4桁回数掘らなくちゃいけないもの~。それに対して残りのは採取必要回数的にも現実的だったから、ズルをしてるとしたら“ドラグニティライト”の方かな~って思ったのよ~」


「じゃあもし彼らが根性ある真面目クン達だったら、危なかったってコトかなっ!?」


「そうね~、今日ばかりは不真面目で助かったわね~」


「もう怖いコトしないでよミロロ~っ!」


「いいじゃない~、勝ちは勝ちなんだもの~」



 かくして、ムラマサとアリアの貞操を賭けた採取バトルは幕を閉じた。


 この後はサイジェン島リゾートエリアのホテルに宿泊することになった俺達だが……この夜、俺はまたしても衝撃の出会いをしてしまう。


 ったく……なんてサプライズに満ちた合宿なんだか!



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