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フッくんの贈り物  作者: とととと
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第6話 第十六天国区

 すると、職員の男はこう言った。


 職員の男「最初の区が第十六天国区になってしまった人は、細かい説明なしで金だけ持った状態で第十六天国区に放り出すので、自ら住人に声をかけて区役所支部まで行かなければいけないんです。区役所支部に来て最初にする事は、入冥届に名を書いて提出して戸籍登録をします。戸籍登録が完了すると翻訳剤が支給され、区役所支部にある新住人一時宿泊所を仮の住居にして、新しい住居探しを貴方自身で行います。新居が決まって住所登録が完了すれば労働ができる様になります」


 福配雄「じゃあ入冥届を下さい」


 職員の男「はい、どうぞ」


 福配雄「ありがとうございます」


 俺は入冥届を受け取った。右手首を見ると昇区評価点数は1になっている。


 福配雄「よし、点数増えたで」


 入冥届に記入を開始した。まずは1つ目の項目の姓と名を記入。次に2つ目の項目のふりがなを記入。だが最後の項目は意外な項目だった。


 福配雄「転生したい動物!?これどういう事や?人間は無いんか?」


 職員の男「動物には人間も含まれてます。どんな動物に転生する場合でも、前世と冥界の記憶を消された状態で転生します。ただ人間は人気がありすぎて人間への転生は120年以上待つ事になります」


 福配雄「120年!?そんなかかるんか?でも人間になれるなら120年待ってもええか。あ、人間以外を選んだ場合はどうなるんや?」


 職員の男「人気のない動物ならすぐに転生できます。人間以外の動物は死んでも悪霊化しない限り地獄に行く事はありません」


 福配雄「早く人間に転生出来る裏技みたいなのは無いんか?」


 職員の男「実はあるんですよ。但しこの方法はあまりお勧め出来る方法ではありません。それでも知りたいですか?」


 福配雄「もちろんや!教えてくれ!」


 職員の男「特別区で年4回開催される冥界祭で行われる格闘技大会で優勝した後、冥帝陛下との格闘技対決での勝利と特殊な条件が達成出来れば、貴方の希望する年齢・性別・身長・居住地が近い植物状態の人間に貴方の幽体が前世の記憶と冥界の記憶を持ったまま移植されて、植物状態から脳が回復し復活できます」


 福配雄「冥界祭をする時期と大会に出る方法は?」


 職員の男「春分冥界祭は啓蟄末日の翌日から清明初日の前日まで、夏至冥界祭は芒種末日の翌日から小暑初日の前日まで、秋分冥界祭は白露末日の翌日から寒露初日の前日まで、冬至冥界祭は大雪末日の翌日から小寒初日の前日までです。格闘技大会に出るには住所登録完了させてから、区役所支部で参加志望届を受け取って記入して提出すれば出られます。夏至冥界祭の格闘技大会各区予選の参加申し込み期限は過ぎたので、今からだと秋分冥界祭の格闘技大会各区予選へ参加になります。ですがこの大会は負けると大変な事になります」


 福配雄「大変な事って何や?」


 職員の男「まず格闘技のルールですが、各区予選は高さ10mの透明な壁に囲まれた1㎞四方のフィールドに参加者全てを入れて行う方式で、フィールド内にある幅1m長さ1㎞で時速4㎞でフィールドの左右の端を往復する落し穴に、選手を落として最後まで落ちなかった人が予選通過になります。落ちた選手は第十六地獄区送りになります」


 福配雄「俺は時速166キロの球投げた男や!各区予選通過する自信はあるで」


 職員の男「そして本大会は32人のトーナメント戦で、半球型の金網の中にある直径100mの円形のリングで試合をし、対戦相手を気絶させたら勝ちです。冥帝陛下との対決も同じルールです。しかし本大会で負けた選手は幽体ごと消されます」


 福配雄「俺は早く生界で野球やりたいから参加志望届もお願いします」


 職員の男「それは入冥届の最後の項目を書いて住居探しを終えて、住所登録を完了しないとだめです」


 俺は最後の項目に人間と記入して入冥届の提出を完了し、翻訳剤の服用も終えた。


 福配雄「これから家探してくる」


 職員の男「待ってください!今の時刻だと不動産屋は数分後に営業時間終了するので、明日にしましょう」


 ここで俺の腹が鳴った。


 職員の男「区役所支部には食堂もあります。冥界に来て24時間以内の者は無料で利用できます。あと新住人一時宿泊所は無料で使える期間は冥界に来て24時間以内までです」


 俺は食堂へ向かった。食堂に着くと早速メニュー表を見たが、聞いた事が無い食材や料理の名前ばかりだった。すると犬が走ってきて前脚をテーブルに乗せてきて、


 犬「俺が教えてやるぜ」


 福配雄「い…犬が喋った!」


 犬「翻訳剤飲んだから聞き取れるようになっただけだ。死んで冥界に戻った者はどんな動物も人と同じ知能になるんだ。後俺の名はソリオ」


 福配雄「で、お勧めのメニューは?」


 ソリオ「お前はまだ無料期間だから、高くて美味いやつ頼め。お勧めは悪霊天ぷら尽くしだ。揚げる前に塩を振って除霊してるから安全だ」


 俺はソリオが言った悪霊天ぷら尽くしを注文した。


 第7話へ続く。

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