第5話 冥界へ
キク「これから冥界へ行きますが、最後にサンディーに会いに行きますか?」
福配雄「もちろんや!」
そして牛車は動き出した。
キク「この牛と車は空を飛行したり壁をすり抜けたりできます。牛車にしたのは最後に大事な人に会ったり、ゆっくりと街の景色を眺めたりして、死者が生界に悔いを残さずに冥界へ行けるようにする為です。まずはサンディーの所へ直行します」
牛車はサンディーの病室へ最短距離で空中を進み、そしてサンディーが病室に戻って数分後に牛車ごと病室にすり抜けて入った。するとサンディーとの面会にきた70代の老齢男性がいたのだが、俺達の存在に気づいて話しかけてきた。
老齢男性「君、ひょっとして、謝花キクさんだよね?」
キク「もしかして、小6の時に担任の先生だった、古波蔵進先生?」
古波蔵「思い出したか」
福配雄「牛車がすり抜けてて丸投福配雄までいるのに驚かないんかい!」
古波蔵「私は幼い頃から霊感が強いから死んだ人の霊が見えるんだ。私のような老人ではなく、君達のような素晴らしい才能を持つ若者達が死んでいくのは残念だ。福配雄さんは冥界へ行く前にシ…サンディーに言いたいことがあったからここに来たんだよね?キクとも話したかったけど、死者を冥界へ連れていく仕事の途中だから、次に会った時に話すさ」
福配雄「ああ、サンディー、次は盆で会いに行くからその日迄は生きててくれよ!」
サンディー「フッくん、私も死なないように頑張るから安心して。もし死んでしまった場合は冥界でもフッくんを探し出して会いに行くから」
福配雄「じゃあ行ってくるで」
牛車は空へ向かって進み出す。
福配雄「冥界にはどうやって入るんや?」
キク「冥道という冥界へ繋がる穴を開けて冥界へ入ります。ただ冥道は生界のあらゆる物質を引き込む性質があるので、航空機も飛んでいないような高い高度まで上昇してから、冥道を最小限の時間だけ開けて冥界に入ります。冥道の出口は冥港内にある入冥確認所に繋がっている」
福配雄「だから上に向かってるんや」
そして高度20000mあたりに来たところで、キクは白装束を重ね着して牛車の前に降りて空中に浮遊している。
キク「では冥道をあけます」
キクは刀を出した後、円を描くように刀を振ると、冥道が開いた。俺とキクと牛車は冥道に入る。冥道を抜けると、
冥港職員の男「ようきなはった!冥界へ!まずはこの箱から封筒を1つ取って開けるんや」
俺は封筒を取って開けた、封筒に入っていたのは、
貴方の受ける人生検査が行われる人生検査場は冥界第42780番人生検査場です。という通知だった。
キク「福配雄さん、この人生検査場は遠いので馬車に乗り換えます」
早速俺は馬車に乗って冥界第42780番人生検査場へ向かった。
人生検査場に到着すると、
キク「私はここまでです。では人生検査場へ入って下さい」
俺は人生検査場へ入った。中は真っ暗な部屋だった。しかし入って数秒後、照明がついた。すると男が立っていて、
男「私はセイン・リー、人生検査の開始の号令を出す号令官だ。では、人生検査、開始!」
数分後、俺が住む区は第十六天国区に決まった。
セイン「生活費10000ペクを支給する。所持金額は君の左手首に表示される。あと君の右手首を見ろ。それが君の今の昇区評価点数だ。もっと上の天国に住みたいなら点数を稼げ。人生検査場の出口は君が住む第十六天国区へ繋がってる。さあ行け」
俺は出口を進んで外に出た。外に出るとそこは街で人が歩いてる。俺は冥界のルールをよく知らん。だから近くを歩いてた男の人に聞いてみた。
福配雄「すいません、今冥界に来たばかりで、冥界の事よく知らんから、説明してくれる人がおるとこまで案内してくれへん?」
近くを歩いていた男の人「じゃあ1番近い区役所支部まで連れてってあげるよ」
俺はその人に連れられて区役所支部に向かった。到着すると、
男「ここが第十六天国区役所第4649支部だ」
福配雄「俺は初日から運がいいな」
男「1つ残念な情報がある。君が今感謝の言葉をいってたら君の昇区評価点数は1つ増えていた」
福配雄「え!そうなんか?ありがとう」
しかし右手首を見ると、俺の昇区評価点数は増えてない。
福配雄「あれ?増えてへんで」
男「僕にその事を指摘される前に言わないと無効だよ。じゃ」
男はその場を後にし、俺は区役所支部に入る。俺は早速区役所の職員に、これから何をすればいいか聞いた。
福配雄「すいません、俺人生検査終って第十六天国区に来たばかりでここの事何も知らんから、これから何をしたらいいか教えてくれへん?」
職員の男「初日でよくここ迄まで来ましたね」
福配雄「初日でよくここ迄まで来ましたねって、ここ迄来るのって大変なんか?」
第6話へ続く