表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フッくんの贈り物  作者: とととと
1/6

第1話 丸投 福配雄さん、あなたはもう…

 俺が26奪三振を取ったところで、ライオンズの粟野明(あわのあきら)監督が9番打者で左打のイスマエル・ビルバオを右打のウバルド・カルディナーレに代えた為、ファイターズの堂本栄太(どうもとえいた)監督はタイムを取り、堂本監督と捕手の江頭修(えがしらおさむ)が俺の所に来た。俺と江頭とカルディナーレは身長190㎝超えていて、両チームの監督とこれから名前が出る選手は身長180㎝台だ。


 堂本「もう球数が106だし、代打のカルディナーレはOP戦で福配雄からHR打ってるから、交代した方がいいと思うが」


 福配雄「左手で投げた球数は50やけど、まだまだええわ」


 江頭「福配雄は両投でもDHまでやってるから、残りの155試合RS(レギュラーシーズン)を戦う事を考えると交代した方が…」


 福配雄「こんなんすぐ終るで」


 江頭「分かった」


 堂本はベンチへ戻り、江頭は元の位置につく。


 プレーが再開すると江頭はミットを打者から見てアウトコース高めの位置に移動し、俺はインコース高めギリギリに入る様にシュートを投げる。こう投げる理由はカルディナーレは捕手のミットを一瞬見て投げるコースを特定する為、その対策として投げるコースはミットの位置と左右反転にしている。投げた球はストライクゾーンにギリギリ入るが、カルディナーレは球がぶつかると思ったのか、体を後方に反る。球速が表示された。156km/h。あまりの速さに観客は驚き、カルディナーレは少し笑っている。カウントは0ボール1ストライク。


 次に江頭はミットをアウトコース低めギリギリの位置に移動し、そこに俺は全力でフォーシームを投げる。投げた球は伸びて中段の高さに行くが、カルディナーレはバットを強く振って球に当てた。球は後方に飛んでファール。球速が表示された。166㎞/h。またしても観客は驚き、カルディナーレは笑っている。カウントは0ボール2ストライク。


 次に江頭はミットを中段の高めギリギリに移動し、俺はアウトコース高めを狙ってスプリットを投げた。しかし球はど真ん中に行ってしまいカルディナーレにバットの芯で当てられた。更に運悪く打球が頭めがけて飛んできた。俺は球を捕ろうとしたが追いつかず、打球が前頭部に直撃した。かなり痛いが跳ね返った打球は捕手の江頭の所に向かい、江頭は球を取って一塁に投げ一塁手の不動カイルが球を取り完全試合を達成したが、俺はここで意識を失い倒れる。


 暫くして微かに俺を呼ぶ女の人の声がして、俺は目が覚めた。だがそこはエスコンフィールドのマウンド上で時刻は試合終了から5時間経過した19時50分。すると白い服を着た女性が提灯をもって現れた。身長は恐らく170㎝位だ。


 女「貴方が丸投福配雄さんですね」


 福配雄「えぇ、というかお前誰やねん」


 女「私の名前はキク。私がここにいるのは、福配雄さんにある報告をする事になったからです」


 福配雄「報告ってなんやねん」


 キク「丸投福配雄さんはもう、死んでいます」


 福配雄「わいが死んだんか!?そんなアホなことあらへんやろ!」


 キク「自宅に行けばわかります」


 するとキクは指を鳴らし、周りの景色は俺の自宅の庭に変わった。


 福配雄「速っ!もう家!?あれ?家の明かりついてんやん!」


 俺は自宅の玄関を開けようとしたが、鍵を持ってない事に気づき、


 福配雄「鍵があらへん」


 キク「問題ありません」


 キクはドアの方向へ進みドアをすり抜けて家に入った。


 福配雄「どないなっとんねん」


 キク「福配雄さん、貴方もできます」


 俺もやったら家に入れた。すると和室の方から声が聞こえた為、俺は和室へ向かった。そして俺は事実を知る。


 福配雄「わいが寝とる。え!まさか」


 キク「福配雄さんはもう、死んでます」


 福配雄「なんやてえ!」


 それは俺の遺体だった。ここで、球団オーナーの後藤邦雄(ごとうくにお)が部屋に入ってきた。身長は恐らく175㎝位だ。


 後藤「丸投君、去年のオーナー会議で今季から投手もヘルメット着用のルール追加が大袈裟だと非難する人達のせいで見送りにならなければ、死なずに済んだかもしれない。本当にすまん」


 福配雄「そうやったんや、そんなんオーバーやとか言うた奴ほんま許せへんわ」


 キク「それより福配雄さんの家族の様子は見に行かないのですか?」


 福配雄「見に行くで、それに敬語は使わへんでええ」


 俺は1歳の息子の恵多(けいた)の様子を見に恵多の部屋に行くが、既に寝ている。


 キク「福配雄さん、息子の部屋にいる男の人は誰?」


 福配雄「7年前にライオンズで同僚やった堀江 虎徹(ほりえ こてつ)や。今日は16時~24時の担当らしいで。その年に野球を引退した後保育士の資格をとって今はベビーシッターをしておる。昨日2年ぶりに会ったわ。虎徹が働いておる育児代行会社はファイターズのスポンサーの1つで、この会社は去年からファイターズの子どもがおる選手で嫁が専業主婦やない選手と嫁がおらん選手の子の育児を、利用料すべてを球団が全額支払う形で利用する契約をしておるんや」


 堀江の身長は恐らく180㎝前後。


 キク「福配雄さんの奥さんは家にいないの?」


 第2話へ続く

主人公は大阪弁で話しますが、間違っている言葉がある場合は修正します。


作中のNPBは2032年なので現実のものとは制度がやや違います

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ