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華と夢28

その日の夜、清爛がいつも通り翠明の部屋に行って見ると翠明はいなかった。

厠にでも行っているのだろうかと思い待っている間、清爛はふと翠明の机の上に目をやった。今まで気にしたことがなかったが、綺麗にしている机の上、筆がきれいに並び小さな小箱が並んでいた。何気なしにそんな箱の一つを開けてみるとそこには薬包紙に『耳』と書かれた薬がいくつか入っていた。それは翠明がここに来た時に白皙が処方した薬で、難聴用の物だった。

清爛は何とも言えない気持ちになった。翠明の耳はその濃い血のせいで生まれながらに聞こえていないことを知ってしまった以上、この薬を飲んでも改善されることがない事はもう明白だった。

翠明と話をしてみたい、耳が聞こえたら話が出来るかもしれない、そんなわずかな期待はもう叶うことはなくなってしまった。

切ない思いをしながらその箱を閉じようとしたとき、奥に違う色の薬包紙を見つけた。何気なくその包みを引き出してみるとその薬包紙には『鎮痛』と書かれていた。

清爛はどういう事だろうかと思った。

そしてそっとその箱の薬を取り出してみると、鎮痛薬の他に『制吐』『気付』と書かれたものがあった。

そんな時戸の方から足音が聞こえ、咄嗟に清爛は薬を元に戻し、箱を片付ける。そして何事もなかったかのように机の方に向かった。

翠明は戸を開けて中に清爛がいることに気が付き、そんな時間だったかと思い頭を下げる。

清爛が翠明の部屋に来ることは毎日の日課だった、なので自分がいない間に清爛が部屋の中にいても翠明は何とも思わなかった。

「勝手に入ってしまって申し訳ない。」

そう言う清爛に、翠明はいつも通りにこやかに首を振った。

翠明の部屋で日々の移り変わりや思った事、気が付いた事、そんなたわいもない会話を毎日少しばかりして、大して長居するわけでもなく同じ時を過ごすだけの二人。進むわけでもなく後退するわけでもないゆっくりとした関係がずっと続いていた。

そんな中で清爛は、翠明の隠し事を知ってしまった気分になった。

意図した訳でもなく見てしまった薬、その薬は比較的新しいと清爛は思った。どこか体の具合でも悪いのだろうか、そんな不安を抱くも、勝手に机を漁ってしまった事に負い目を感じ、清爛はその夜翠明に問いかける事が出来なかった。

今度玉連にこっそりと聞いて見よう、清爛はそんな事を思っていた。

それから数日の日が経ったある日、いつも通り立ち上がった翠明は急にめまいを感じてふらついた。

「翠明様!?」

吏志がそんな翠明に気が付いて声をかけ、その声に清爛が勢いよく顔を上げた。

「どうした!?」

笑顔で首を振る翠明の表情を見て、吏志も清爛も顔色が悪いと感じた。

「お医者様をお呼びしましょうか?」

翠明は首を振って断った。

「今日はもういい、部屋で休んでいろ。」

翠明は申し訳なさそうに小さくうなずいて頭を下げ、部屋に向かった。

「玉連!玉連!!」

「はいはい、」

竈にいる玉連を清爛が大声で呼んだ。そんな声に玉連がやって来る。

「ちょっと翠明の体調が良くないみたいなんだ、看てもらえるか?」

「あら、大変。すぐ伺いましょう。」

玉連はそう言うと足早に翠明の部屋に向かった。

翠明が不調を見せたのは初めてだと清爛と吏志は思った。そして吏志はうろたえている清爛を見て一言、確認を取った。

「清爛様?」

「なんだ?」

「翠明様は、ご懐妊とかではないですか?」

「はぁ!?」

清爛が叫んだ。

「いえ、女性の体調不良となりますとそのくらいしか思いつかないもんで。思い当たるのかと。」

「それはない!」

真っ赤な顔で否定する清爛に、吏志は目を細める。

「ほんとですか?」

「ない!少なからず俺じゃない!」

「・・・本当に?」

「俺はまだ何もしてない!」

「本当にですか!?」

「本当だ!一切触れてない!」

それもそれでそうだのだろうかと吏志は複雑な気分になった。少なからずこれだけ長い事想い合っていて、毎夜毎夜二人きりで過ごしているのに触れたこともないとはどうなのだろうと吏志は悩ましく思った。

そんな会話をしていたとき、清爛はふとあの箱の薬を思い出した。

「吏志、」

「はい、」

「お前、翠明に頼まれて医局に行った事はあるか?」

「医局に?いいえありませんよ。」

「ならやはり玉連か・・・」

「どうかなさいましたか?」

清爛は以前、翠明の部屋でいくつかの不可思議な薬を見たことを告げた。

「それは間違いなく玉連様でしょうね、翠明様お一人で城内を歩く事はないでしょうから・・・」

以前翠明は場内を一人で歩き散々な目に合っている、それ以来一人で歩く事はやめさせていた。

「玉連様にお伺いした方が良さそうですね、本当にどこか具合が悪いのであればきちんと診察を受けさせるべきです。」

「あぁ、そうだな。悪いが吏志、玉連が部屋から出てきたらすぐに呼んできてくれ。」

「わかりました。」

吏志は頭を下げ書斎を出た。

吏志は、玉連が素直に翠明の体調について口にするだろうかと思った。もしも今まで秘密裏に薬を飲み続けていたとするならば玉連はかなり前から翠明の体調が思わしくない事を知っていた事となる。

そしてそうであったにもかかわらず、自分にも清爛にも黙っていたと言う事は翠明に固く口留めをされているのか、言えない様な事なのだろうと思った。

吏志は一瞬、最悪の事態が脳裏に過った。

そんな事を思いながら部屋の前で待っている吏志の前に、玉連はあっさりと出てきた。

「おや、吏志様。」

玉連はいつもと変わらない表情だった。

「翠明様はいかがですか?」

「えぇ、大丈夫ですよ。そうですね、二・三日お休みさせてあげた方が良いかもしれませんね。」

「清爛様がお呼びです、ご説明願えますか?」

玉連はやれやれとこぼした。

「いいでしょう、でも、お二人に理解できますかねぇ。」

そんな玉連の言葉に、吏志は首を傾げた。

玉連は吏志に部屋で待つように伝え、お茶と茶菓子を用意して清爛の部屋へと入った。

落ち着かない清爛とは対照的に、いつも通りのんびりとお茶を出す玉連。そんな二人の温度差を吏志は客観的に見ていた。

「玉連、正直に答えてくれ、翠明はどこか悪いのか?」

「いいえ、どこも悪くはございませんよ。」

「でもさっき、顔色が良くなかった。」

「まぁ、そんなこともあるでしょうねぇ。」

吏志はこの二人の会話を不思議な想いで傍観していた。その会話は少しばかりずれていて、玉連がわざとずらしているようにも感じられた。何かうまくかわして逃げている様な、そんな感じだった。

「玉連、お前は翠明に薬を運んでいるのか?」

「えぇ、お耳の薬を定期的にお渡ししてますよ。」

「それ以外の薬も、頼まれているんじゃないのか・・・?」

その言葉に、玉連はつかつかと清爛に詰め寄った。

「清爛様、」

「なんだ!」

「女性の部屋を勝手に漁りましたね!?」

「・・・・・すまん」

玉連の剣幕に、清爛は素直に謝罪した。

「女性の私物を勝手に見るなど、何て礼儀知らずなのでしょう。」

「・・・・・申し訳ない。」

吏志は自分に火の粉が飛んで来ない様、黙って傍観する事に勤めた。

「・・・まぁ、良いでしょう。翠明様からも承諾を頂きましたのでお話いたします。」

玉連は再び卓に戻った。

「月ものですよ。」

清爛と吏志は固まった。

「翠明様は月ものが重いようです、それでお薬を飲まれる事があるのです。」

月もの自体は清爛も吏志もわかっていた、しかしそれで体調を崩すと言う事が分からなかった。

「・・・重い、とは?」

「人によってはその時に体調を崩します、特に翠明様のように長身で細身な女性はひどいように思います。症状は様々ですが、痛みを訴える者もいれば吐き気を訴える者もいます、めまいを起こす者もいますし様々なんです。ひどくなれば眠れないほどの苦痛を訴える者もいるのです。」

清爛の頭はだいぶ混乱していた。

整理整頓ができない清爛に変わり、博学吏志が疑問を投げかけた。

「ですが、玉連様、月ものは毎月あるはずです。翠明様が毎月体調を崩していた様には思えないのですが・・・」

「翠明様は栄養状態がとても悪かったので長い事月物がなかったようです。ここに来て半年ほどまでぐらいからでしょうか、そのくらいから再び起こるようになりました。体調不良は毎回ではないようです。たまたま今回がひどかったようですよ。」

「それは、病気ではないのですか?」

「病気ではないと思います、妃たちの中にも似たような者はおりますから。」

「そうですか、それならよいのですが・・・」

吏志は自分の思い描いていた最悪の状況じゃなくて、ひとまず安堵した。

「一回でも子を産んでしまえばねぇ、治まるんですけどねぇ。」

ため息交じりにつぶやく玉連に、清爛と吏志が再び固まった。

「子を産むと女は体質が変わりますから、ひどい月ものも治るんですよ。翠明様ももういいお年頃ですし、そんな事があってもいいんですけどねぇ・・・」

何も悪気のない老婆の独り言だと言う事は清爛も吏志もわかっている、しかし何とも気まずいと清爛と吏志は思った。

「お食事やら身の回りの事は私がやりますので、しばらく休ませてやってください。やがて治まりますから。」

「・・・あぁ、よろしく頼む。」

「では、」

そう言って、玉連は部屋を出て行った。

残された男二人は微妙な空気の中にいた。

「とりあえず、御病気ではなさそうで良かったですね。」

「あぁ、そうだな・・・」

「どうなさいます?お見舞いに行かれますか?」

「いや、今はやめておく、ちょっといろいろ片付いていない・・・」

「私もです・・・」

清爛と吏志はうーんとうなる。

「男で良かったのかもしれないな、吏志。」

「えぇ、そうですね・・・。」

二人は書斎に戻った。

翠明はその日の食事を全て部屋で済ませた。

食欲はあまりなく、動くのも怠く、翠明はここまで酷いのはいつぶりだろうかと思った。部屋着を着て布団の上に座り足を抱えてぼーっとしていた。今は余り頭が働かないと翠明は思っていた。

夜、いつもの時間、清爛は思い切って翠明を訪ねた。

行くべきか行かざるべきかいろいろ悩んだ清爛だったが、避けるべき事でもないと思い部屋を訪れてみる。その結果寝ているのならばそれはそれで良いだろうと思っていた。

清爛は何となく、静かに戸を開けた。

翠明は寝床の上で膝を抱えてぼーっとしていた。

そんな様子の翠明を見たのは初めてな気がして、清爛は一瞬戸惑って足を止めてしまう。そしてそんな清爛に気が付いた翠明は立ち上がろうとした。

「いい、そのままで。」

清爛は立ち上がろうとした翠明を呼び止め、静止させる。

翠明は立ち上がるのをやめ、そのままの状態で頭を下げた。

椅子と筆談道具一式を持って、寝床のわきに置き腰を下ろす清爛。翠明はいつもよりも薄く笑った。

「来ない方が良いかとも思ったんだが、顔が見たくて。体調はどうだ?」

【ご迷惑をおかけしました】

翠明は再び頭を下げた。

「気にするな、体調が悪い時は無理をしなくていい。」

【病気ではありません】

「わかってる、玉連から聞いた。」

どこか恥ずかし気に言う清爛に、翠明はくすりと笑う。

【ちょうどこの季節に体調を崩すんです、自分でもわかっている事ですので玉連様にお薬を準備していただいていました。少々侮りました】

「そう、なのか・・・」

【清爛様は覚えていらっしゃらないかもしれませんが、一番初めに洗濯場でお会いした時、ふらついた私を引き留めてくださいました、あの時もそうだったんです】

もちろん清爛はそのことを覚えていた、しかしその時は栄養不良で痩せているがための事だろうぐらいにしか思ってはいなかった。

【私の様な体型の者には多いようです、お気になさらず、お薬もありますのでお仕事は致します】

「いや、しばらく休んでくれ。玉連にそう言われている。」

その言葉に翠明は目を丸くし、そして再び頭を下げた。

【お言葉に甘えさせていただきます】

しばし二人は黙った。その間翠明はじっと清爛を見ていた。清爛は何かを言いたそうな様子で、でも何か言いにくそうな様子だった。翠明はそんな清爛の葛藤が面白く、あえて黙って待った。

「そんなに、辛いのか?」

【そうですね、腕一本落としたぐらいは出ると思いますので】

そんな翠明の大胆な言葉にぎょっとして固まる清爛、そんな清爛の姿を見て翠明は笑った。

「大丈夫なのか・・・」

【大丈夫みたいですね】

「死んだり、しないのか・・・」

【もしこれで死んでいるならばこの世から女はいなくなっているでしょう】

そうかと納得する清爛、そんな清爛を見て翠明はますます笑う。

そんな翠明のいたずらに、あまり女性について知らない清爛の頭の中はパンク寸前だった。一度頭の中を整理して、一息ついて落ち着こうとする清爛。翠明はそんな清爛を面白そうに見ていた。

「玉連が、それは子を産んだら治まると言っていた、そうなのか?」

【さぁ、どうでしょう。そんな経験はないので】

清爛はまたしばし黙って、それから口を開く。

「お前は、子を欲しいと思うか?」

その言葉に翠明はきょとんとする、そしてすらすらと筆を動かし紙を清爛に見せる。

【お世継ぎが必要ですか】

「ちがうちがう!」

相変わらず表情を変えることなくあっさりと書いて見せる翠明に、清爛は焦って否定した。

【私でよろしければご協力致しましょうか】

「違う違う!そう言う事じゃないんだ翠明!」

この淡々とした切り返しは非常に心臓に悪いと清爛は思った。

翠明は首をかしげる。

「いや、子を産めば体質が変わって良くなると玉連が言うし、年齢の事も、言われたし、お前はどう思うのだろうかと・・・」

翠明はそんな清爛を見て、やれやれと言わんばかりに筆を執った。

【自分の体の為に子供を産む気はありません】

「いや、そう言う意味ではないんだ、」

【それに、私は自分の子供の声を聴くことは出来ません】

そんな翠明の言葉に、清爛は心臓を握られた様な気がして、そうだったと思い目を閉じた。

【自分の子の声も聞こえず、泣いている意味すら分からない状況で誰かの助けなしに、子育てなどできません。ましてや生まれてきた子供の耳が私のように聞こえなかった場合、私にはどうしていいのかさえ分かりません】

良くない事を聞いてしまったと、清爛は思った。そして何と返していいか困り果て、言葉を発する事が出来ず黙ってしまう。そんな清爛を見て、翠明もまた申し訳ない事を言ったと思い、筆を動かした。

【あなたが体調を崩し寝込んだ時、熱にうなされているあなたを見ていて、何を言っているのかが分かりませんでした。動く音さえもわからない、耳が聞こえない事など今まで気にもした事がなかったけれど、その時初めて音が聞こえないと言う事がこんなにも不自由なのかと思いました。大切な人に何かあっても気づく事すらできない、とても辛いと思いました。そんな思いは私だけで十分です】

そう書いて微笑む翠明、そこに書かれている言葉は清爛の胸を熱くした。

【清爛様は、お子様が必要ですか】

そんな翠明の言葉に、清爛もまた以前の痛い経験を思い出し、一息ついて話し始めた。

「いや、今まで考えたこともなかった。俺には以前二人の妃が宛がわれていた。だが俺はそもそも妃を取るつもりも、子を作る気もなかった。だから妃と関係を持たなければならなかった時、子が出来ない薬を飲んでいた。俺は今のまま、孫文のままでいられたらいいと、思っていた。」

清爛は翠明と出会ってから今まで、今の生活を非常に心地よいと思って過ごしていた。それは少なからず現状に幸せを感じており、今に満足しているが為、先の事など考えた事もなかった。

【お妃様達は、今は】

「全員手放したよ、国に帰したり、兄に嫁がせたりした。だからもういないんだ。」

清爛は、わかってほしいと言う想いを込めて翠明を見つめる。翠明は静かにうなずいた。

翠明は、とても静かに筆持ち、想いを紡いだ。

【お互いが相手を必要だと思った時に側にいられたのなら、それで良いのではないかと私は思います。相手に求める物は心だったり身体だったり、それは時々様々でしょう。共に過ごすうちに心に変化があった時はその時に分かり合えればいいのではないかと私は思います。少なからず今は今のままを求めるのであればそれでいいのではないかと思うんです。もう、無理をする必要などないのですから】

清爛が孤独を抱えながら必死で生きて来たであろうことに翠明は気が付いていた。だからこそ支えたいと思い、側にいたいと思った。しかしそんな清爛に対して宛てた言葉はまんま自分にも言えるのだろうと思った。自分の孤独を清爛が埋めてくれている、もうこれ以上耐える必要はないのだと思った。

【これからあなたと共に過ごす時間は、とても長いのですから】

翠明はそう書いて、微笑んだ。

「そうだな、」

清爛は翠明の言葉に言いようのない安心感を得ていた。この女はこれからもずっと自分の側にいる、それがとても嬉しく、心強かった。

「翠明、お前はもっとわがままを言っていい、どんな事でもなんでもいい、俺に言ってくれ。そうである程俺はお前の事を知ることが出来る。俺はお前にだいぶわがままを言ってるんだから、同じくらい言っても構わない。」

清爛はそう言うと翠明の手の上にそっと自分の手を添えた。翠明はその手がとても暖かいと思い、心休まる温もりだと感じた。

【ではひとつ、わがままを言ってもよろしいですか】

「あぁ、なんだ。」

【もう少しだけ、お側にいて頂けますか】

その言葉はいつも清爛が翠明に言う言葉だった。微笑む翠明の笑顔は柔らかく儚げで、美しかった。

「あぁ、もちろん。」

何だか今日の翠明は弱々しいと清爛は感じた。いつも見ていた翠明は、伸びた背筋、無駄のない動き、墨を引いたような目、高く結われた黒い髪、それこそが美しい翠明の姿だったが、今の翠明は全く違った。皮肉にも今自分の横にいる翠明はともとても女性らしいと思った。

清爛は立ち上がり翠明が座っている寝床に腰を下ろす。翠明はそんな清爛にもたれる様にして寄り添った。いつも清爛が翠明にしているように、肩にもたれ目を閉じる翠明。

清爛はそっと、そんな翠明の背に手をまわし抱き寄せた。

翠明は心から幸せだと思った。

やがて穏やかに寝付く翠明、清爛はその身体をそっと寝かせ、名残惜しく思いながら静かに部屋を出た。


「吏志」

「はい、」

「月ものとは、腕一本落としたぐらいの量らしい。」

「はいっ!?」

吏志が思わず持っていた茶器を落としそうになった。

さすがの博学吏志も、そんな事は聞いたこともなかった。

「それは、死なないのですか!?」

「そう思うよな、俺もそう聞いた。そしたら、なら女は全滅していると言いわれた。」

「なるほど・・・」

「女とは、すごい生き物だな・・・」

「えぇ、ほんとに・・・」

「男で良かったと、本気で思った・・・」

「来世も男でありたいものですね・・・」

「毎月だぞ?もう、恐怖でしかない・・・」

清爛は全身の力が抜け、机に伏せた。

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