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第九十二話 これからヤソクウ王国へ行きます

「ではチームを組みましょう。私とパルホ、叔父様とエスロギ様、そしてドゴランさんとキョワナさんの12名ですね」


 豊かな白い髪をなびかせる、美少女に見える美少年、ワイトが言った。


 ここはキャコタ王立学園の食堂だ。ワイトはテーブルの前に座っている。左には双子の妹パルホが座っていた。日焼けした肌が映える美少年に見えるが女である。


「それが妥当ね。私とアルジサマ、ナイメヌとケダンならサバイバルは可能だしね」


 筋肉隆々で真っ黒に日焼けした大男で、女性口調のサリョド・サマドゾが答えた。サリョドはワイトたちの叔父に当たる冒険者だ。


「ドゴランも一緒デスカ。ならワタクシの出番というわけデスネ」


 黒髪が美しい、紫陽花の刺繍が施された紫色のドレスを着た二十代の美女が答えた。

 モコロシ王国の冒険者エスロギだ。彼女はモロコシ王国の王女で、ドゴランの姉だ。


「おいおい、ワイト。なんでドゴランを連れて行くんだよ。こんな奴はいらないだろう?」


 銀髪で犬耳の執事服を着た少年が答えた。パルホの執事であり、サリョドの息子であるケダンだ。まっすぐな瞳を持つが一直線すぎて融通が利かない性格に見える。


「ドゴランさんは必須です。そもそも私たちチームはヤソクウ王国を目指すのですから」


「ヤソクウ王国ですか? なぜそこへ向かうのでしょう?」


 銀髪で犬耳のメイド少女が訊ねた。ケダンの双子の姉、ナイメヌだ。賢そうな美少女だがどこか意地悪そうに見える。

 ワイトはそれを聞くとにっこりと答えた。


「ヤソクウ王国にはドゴラン王国へ一直線の転移門があります。ドゴランさんが取り付けたのです」


 ワイトの発言に全員が呆気にとられた。冷静なのはドゴランだけである。


「転移門だって? なんでそんなものがヤソクウにあるんだよ!?」


「俺が作った。ワイトとガベリン王女を一緒にもらうためだ」


 ケダンの疑問をドゴランが答えた。まるで日曜大工で犬小屋を作ったみたいな気軽さだ。

 ガベリンはヤソクウ王国の王女で、王立学園では生徒会長を務めている。さらにワイトの婚約者でもあった。ドゴランはワイトを手に入れるため、ガベリンを側室に迎え入れるつもりだ。そのためヤソクウ王国に婚約破棄の代償としてドゴランが作った転移門を贈呈したのである。

 サリョドとエスロギは知っていたが、ワイトには伝えていないはずだ。だがワイトはしっかり知っていた。


「てめぇ!! ワイトだけでなくガベリンまでもらうつもりかよ!! てめぇはどこまで貪欲なんだ!!」


「どこまでもだ。この世で俺にできないことなど何もないからだ」


 ケダンは怒りを爆発させたが、ドゴランはそよ風に吹かれたような感じである。

 そこにパルホがケダンを窘めた。


「ケダン、落ち着くでござるよ。お主がしゃべっていると話が進まぬでござる」


「黙れ!! 俺は怒っているんだ!! ガベリンはどうでもいいけど、ワイトとセットにするなんてけだものだ!! 俺はお前みたいな欲張りは大っ嫌いなんだ!!」


「だから黙れと言っているでござる」


 いきり立つケダンに対して、パルホは右の脇腹に人差し指を突き刺す。するとケダンは腰が抜けて、尻もちをついた。パクパクと口を動かすが声が出ない。


「さすがですパルホ様。私が愚弟をおしおきする手間が省けました」


「では話を続けますね。ヤソクウ王国に転移門がありますが、それは決められた王族にしか許可が下りません。当然ですね、誰でも使える様になったら世界が混乱しますから。私の場合はまだガベリンお姉さまと結婚していないので使うことは出来ません。ですがドゴランさんがいれば無条件で許可が下りるのです。そこからドゴラン王国に転移し、サゴンク王国経由でマジッサ王国へ向かうのです」


 ワイトが説明した。ドゴランに関しては認めてはいないが、利用する気満々のようだ。

 ドゴランもそれを承知している。むしろ自分を利用するワイトに対して好意をますます高めていた。


「ふむ、それはいい考えですね。ですが、よろしいのですか? こちらにはキョワナ王子がいます。恐らくマジッサ王国の宰相ヒアルドンに筒抜けだと思いますが」


 銀髪のすらりとした知的の男性が質問した。彼はアルジサマでサリョドの夫でもある。サリョドと結ばれてケダンとナイメヌを産ませたのだ。

 人間の姿をしているが実際は銀狼の魔獣である。


「どうせばれても何もできませんよ。例え何が起きてもサリョド叔父様とエスロギ様なら何とかしてくれます」


 ワイトたちはスキスノ聖国のイターリ・ヤコンマン台下から、ヒアルドンの情報を得ている。

 ヒアルドンは世界中に散らばった自分の血縁を利用している。彼は血縁の目と耳を使って情報を集めているのだ。

 確かに情報収集力は高いかもしれないが、ヒアルドンの戦力は大したことはない。彼が使える戦力はごくわずかだ。

 無論、冒険者たちを利用して妨害工作を仕掛けてくるだろう。


 それとヒアルドンはすぐに行動を起こせない。マジッサ王国に溜まりに溜まった邪気をすぐに解放できないのだ。

 邪気がもっとも高まる日までヒアルドンは手足が出ない。それがイターリの見解であった。


「この作戦は時間が命です。他の冒険者たちは囮になってもらいます」


 他のメンバーはキャコタ王国から船に乗り、カモネチ王国へ向かう。道中で敵が出るかもしれないが、冒険者たちなら何とかしてくれると信じているからだ。


「花びらパドルクラス花級フラワークラスの冒険者が百人もいるのです。負ける理由はありませんね」


 ワイトは自信たっぷりに言った。

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[一言] オールスターでしょうか。
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