表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/113

第七十三話 王名鵬柳と 田土歪夫 登場

「合計100人がワイトさんとパルホさんを推薦しましたね」


 受付嬢のオコボが説明した。背後の生徒達は驚いていた。直接の面識はないが、名前だけは知っている冒険者の名前を聞いたからだ。それにしても100人。数がけた外れである。


「うむ、エスロギ姉上も推薦しているな。まあ、当然と言えるだろう。お前が将来世界を背負う冒険者になると見越してのことであろうな」


 ドゴランが褒めた。ワイトはどこか照れ臭そうである。


「なっ、なっ、なー--っ!!」


 大声を上げたのはキョワナだ。彼はなぜか怒っている。


「なんなんですか!! ワイトさんはなんで有名人と知り合いなのですか!! 意味が分かりません!!」


「そうでござるな。実を言うと先ほど名を挙げられた冒険者殿たちは、拙者たちが幼少時の頃からの知り合いでござる。よくサマドゾ王国で稽古をつけてもらったでござるな!!」


 パルホが説明した。ちなみに全員バガニルの知り合いである。ただし最初から仲良しではなく敵対していた者が多かった。

 数々の死闘を繰り広げて、バガニルは冒険者たちと友情をはぐくんだのである。そんな彼女の双子の子供に冒険者たちが興味を抱くのも不思議ではない。


「皆さんはとても厳しかったですね。桔尾けつお様の修行は精神を異次元に放り出されて自力で戻るよう指示されました」


「拙者も炉守師匠に刀一本で亀の魔獣を一刀両断しろと言われたでござる。それが出来なければ拙者を真っ二つにすると脅されていたでござるな!!」


 ワイトとパルホは懐かしい、幼少時の他愛ない思い出話に花を咲かせていた。

 だが実際は冒険者たちの厳しいというより虐待に近い稽古をつけさせられたという話であった。

 生徒たちのほとんどが真っ青になっている。あまりのひどさに絶句していた。


「ふん。俺でも折れそうな内容だな。だがそれを乗り越えるとはさすが将来の伴侶だ」


「ふむ。拙者と一緒にもらう予定はないでござるか?」


「お前はいらない。必要ないからだ」


 パルホの問いにドゴランはきっぱりと否定した。パルホはやれやれと手を振る。あまり残念そうに見えない。どこか余裕があるようだ。


「そんなことはどうでもいいんです!! 問題はあなたが最初から有名人と顔見知りと言うことです!! 困ったことがあればその人たちを頼ればいいじゃないですか!! 人のふんどしで相撲を取るなんて恥ずかしいと思わないんですか!!」


 キョワナが叫んだ。だが彼の問いは頓珍漢と言える。そもそもワイトとパルホは冒険者たちの名前を出すつもりはない。困ったことがあれば頼るだろうし、必要となれば協力を要請することもある。

 

「キョワナさん。あなたは何を言っているのですか? それに推薦してくれた人々を最初から利用するみたいな発言は許容できませんよ?」


「そうでござるな。拙者たちはあくまで拙者たちでござる。まあ状況によっては頼ることもあるでござるな。そもそも花級や花びら級は有名でござるが、冒険のベテランでござる。一緒に戦って自身の勉強にも繋がるでござるよ」


「ええい!! そんなことを言っているわけではないのです!! 最初から有名人の知り合いだとわかれば、全世界の冒険者たちは、あなたたちの実力とは思わないんです、他の冒険者の力だと思い込むんです!! 僕はそれが悲しくて悔しいんです!!」


 ワイトとパルホが説明しても、キョワナは聞く耳持たない。キウノンやソヘタクですら、彼の言葉は理解不能であった。こいつは何を言っているんだ?


 キョワナは興奮しきっている。目は血走り、額には血管が浮き出ていた。歯を食いしばり、両手を握っている。

 今にも爆発しかねない。そこでドゴランが前に出ようとした。しかし。


「うっ、動かな―――」


 キョワナはいきなり金縛りにあった。身体が全く身動き取れない。いったいなぜだろうか。それはキョワナの背後にあった。


「やあ」


 後ろには筋肉ムキムキの男が立っていた。顔は黒い覆面に覆われているが、目がはっきり出ている。

 履いている者はふんどしだけで、しかもふんどしの裾は肩まで伸びている。Vの字になっており、股間と尻に食い込んでいた。草鞋は履いている。

 そいつはキョワナの影を踏んでいた。キョワナは無理やり動こうとするが、石のように動かない。


「あっ!! 田土だつち様!!」


 ワイトが親しげに声をかけた。志熊荷王国の冒険者、田土歪夫だつち わいふである。

 

「おう、先ほどから懐かしい声が聴こえてのう!! まさかお前さん方がキャコタに来ていたとは驚きじゃい!!」


 今度は豪快な声が聴こえてきた。入ってきたのは田土より巨体の男であった。まるで大岩が歩いているように思える。

 着ているのは白と水色に波の形をあしらった着物だ。目は鯛のように丸くて大きく、黒髪にちょんまげを結っていた。鼻は低く、唇はナマズのように分厚い。首は太すぎて見えない。

 知らない人間が見れば熊が歩いているようだ。


「おおっ!! 王名おうな殿!! ご無沙汰しておるでござる!!」


 ワイトが嬉しそうに言った。男の名前は田土と同じ出身国で、王名鵬柳おうな ほうりゅう

 花びら級の冒険者であり、志熊荷王国の第5王子であった。

 今回王名鵬柳と田土歪夫を出すことが出来ました。

 どんな能力を持つかはお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 幼少時からの鍛えようが違うと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ