表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の娘バニーガールは 最強の魔法使いで 学校で男だけのハーレムを築きます。  作者: 江保場狂壱
第十章 ドゴランは ワイトより トラブルメーカー
71/113

第七十話 本の材質の秘密が明かされた

「うーむ、こいつはえらいことになりましたよ……」


 教会の地下室にある図書館で、イターリ・ヤコンマンは叡智の石板エメラルド タブレットとにらめっこしていた。マジッサ王国の国教、ドボチョン教団の司祭の服を着ている。

 金髪碧眼の美少女に見えるが、実際は男だ。知らない人間ならイターリに愛を囁いてもおかしくない。

 光を一切差さない、湿った黴臭い部屋の中で、テーブルの前で唸っていた。


「ヤコンマン台下、ここにおりましたか」


 一人の女性が入ってきた。助手のオッボネだ。


「うん。ちょいとヤバ目の情報が手に入ってね。魔力を遮断するこの部屋で確認していたんだ」


「ヤコンマン台下がふざけてないということは、よほど重要な情報なのでしょうね」


「まぁね」


 イターリはまったく気にも留めていない。彼が真剣な時は茶化されても反応が薄い。


「それでどのような情報なのでしょうか」


「ドボチョン・ロックブマータとコブラツイスターズの本さ。カハワギ王立アカデミーの検査結果が判明したんだよ」


「ドボロクがですか? あの内容を検査したのでしょうか?」


 オッボネが訊ねた。彼女もあの本を読んだが特に面白いとは思えなかった。文学的にも価値があるとは思えない。だがイターリは首を横に振った。


「違うよ。本の内容じゃなくて、本自体を調べてもらったのさ。結論から言えばあれは相当な魔術書だと判明したんだよ」


「魔術書……。魔法が使えない人でも、読むだけで魔法が使えるというあれですか?」


「その通り。世間では魔法使いの説明書みたいなものと思われているけど、実際は違うんだよね」


 そう言ってイターリは一冊の本を取り出した。ドボチョン・ロックブマータの原書である。


「まずこの本の紙はマジッサ王国で採れた木から作られているね。この国の樹木は他国と比べて邪気を含んでいる。魔術書を作るのに最適なんだよね」


「それは私も聞きました。ですがこの国で作られたのなら、不自然ではないのでは?」


 オッボネが訊ねると、イターリは首を横に振る。


「材質は問題じゃないんだよ。大事なのはこの本に使われているインクだね。こいつは人間の血で書かれているんだよ。それも成人男性の血液丸ごとね」


「―――!? それでは一冊ごとに人の命が使われているということですか!!」


 オッボネが驚愕すると、イターリは不快そうな顔で首を縦に振った。あまりの非道さにイターリも胸糞が悪くなっているのだ。


「この本には三種類の魔法がかけられている。ひとつは印刷魔法カトスリ。術者の考えていることが文字になるんだ。

 次に共有魔法マイジキだね。この本で例えるなら一冊で印刷魔法を使えばすべての本に影響されるんだ。どれもひとつひとつは大したことはないけど、込められた魔力はけた外れだよ」


「それは恐ろしいですね。最後の魔法は何でしょうか」


「……保存魔法コクレションだよ」


 イターリがぼそりとつぶやいた。


「実はねぇ……、これが一番の問題なのさ。他の二つの魔法より厄介なんだよ」


「厄介……、ですか?」


 イターリの顔が暗くなっている。よほど重い事実なのだろう。普段は飄々としている上司だが、ここまで深刻な面持ちは初めてであった。


「本にかけられた保存魔法は50年間保存されるようになっている。一度かければ解呪しない限り、50年間劣化することはないんだ」


「50年ですか……。この計画は50年も昔に立てられていたのですね」


「違うよ。その魔法は最低でも39回はかけられているのが判明したんだよ」


 39回。保存魔法50年とすれば、1950年もの年月が過ぎているということだ。

 さすがのオッボネも驚愕している。


「ちなみに王立アカデミーの検査では、25冊の本を調べたけど、どれもかけられた保存魔法がバラバラなんだ。最低でも1回、最高で39回、同じ回数の本は一冊もないんだ」


「それは……、最低でも39人の人間が本の為に命を落としたということですか? それも1950年も昔から……」


「そうなんだよね……。そもそもこの国自体が異常なんだよね。50年の感覚で王族が殺され、同じことを39回も繰り返す。スキスノ聖国でさえ法皇が暗殺されたり、内乱が起きたり色々あったよ。あと、とある筋からの報告だけど、ドボチョン・ロックブマータのモデルは、ドゴラン王国の若き王がモデルらしいね。それにコブラツイスターズの祭りも元々カウゲス族の儀式だって話さ」


 それを聞いてオッボネは首を傾げた。少なくともマジッサ王国ではコブラツイスターの儀式は建国以来のもののはずだ。


「それも嘘さ。ドボチョン教の記録を検索したけど、コブラツイスターの儀式は7年前から始まっている。つまり国民自体騙されていたんだよ」


「騙せるって……、いったいどうやって」


「簡単だよ。自己暗示魔法を使えばいい。コブラツイスター祭りは建国以来の儀式と思わせればいいんだ。商人辺りにかけておけば後は自然に広まるんだよ。単純な命令ならあっさりかかるのさ」


 イターリはなんでもないように答える。だが事態は深刻だ。少なくとも1950年以上の年月をかけられた計画だと思われる。


 すると協会が騒がしくなった。いったい何事だろうと、オッボネが扉を開こうとしたが、突如黒い鎧を着た兵士たちが部屋の中にどかどかと入ってきた。


 兵士たちは手に持った槍をイターリに向ける。あまりの出来事にオッボネは唖然としているが、イターリは平然としていた。


「おやぁ、ドボチョン教団の司祭である僕に、なんて狼藉かな?」


「黙れ!! 貴様がこの国の人間でないことは判明しているのだ!! 国を腐られるよそ者め、貴様を逮捕する!!」


 イターリは兵士たちに拘束された。あまりの出来事にイターリはほくそ笑む。ようやく相手が行動を起こしてくれたことに、心の中で感謝していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] さすがはイターリという感じですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ