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男の娘バニーガールは 最強の魔法使いで 学校で男だけのハーレムを築きます。  作者: 江保場狂壱
第十章 ドゴランは ワイトより トラブルメーカー
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第六六話 生霊

「それでどうしたの?」


 ここは生活指導室。ワイトとパルホ、ドゴランがいた。ちなみに指導員の教師は病院に連れていかれており、留守である。

 ワイトとパルホは机の前に座っており、ドゴランは椅子に座っていた。


「どうしたかだと? お前は何を言いたいのだ。何も起きていないではないか」


「いやいや、食堂でお主が殺されかけたと聞いたでござるぞ!!」


「ああ、あれか。俺ではなく相手の方だな。些細なことだ」


 パルホが怒ってもドゴランは平然としている。彼にとって殺し屋に狙われるのは日常茶飯事なのだろうが。

 ワイトはため息をつきながらも、ドゴランに質問した。


箆血翁へらちおうと名乗っていたようですが。心当たりはありますか?」


「ある。モコロシ王国の暗殺者だった男だ。俺を殺しに来たが返り討ちにしたのでな。いつでも来いと言ったら、そのまま部下になったのだ」


 ドゴランはあっさりと答えた。自分の命を狙う相手を一蹴するのはわかるが、部下にする胆力が常人を超えている。


「で、あなたを襲った人はその箆血翁本人なのですか?」


 ワイトが続けて質問をすると、ドゴランはワイトの腰に腕を回した。顔がキス寸前まで近づいている。


「そんなことより、俺は寂しかった。お前がいないだけでこんなにむなしいとは思わなかったぞ。お前は俺のものだ。誰にも渡さん。ここ最近はキョワナという軟弱者を相手にマンツーマンで教育しているそうじゃないか。まったく羨ましいことだ」


「マンツーマンといいますか……。キョワナさんは割と生活関係の呪文に対して執着しているようなんです。料理がとても上手なんですよ」


「料理など料理人に任せればよいではないか。カモネチ王国の次期国王ともあろう男が嘆かわしい。お前の手を煩わせるほどではあるまい」


 ドゴランが言いきった。彼は強者故に弱者の気持ちがわからないのだ。もっとも自分が強者故に弱者の要望を限りなく答えるのが王の使命だと思っている。

 川がなければ川を作り、畑がなければ畑を作る。それも1時間もかけないで。なんでも一人で出来てしまう男が、ワイトという他人に興味を持つこと自体奇跡なのだ。


「ああ、教師として活躍するお前はますます美しくなったな。これで俺のお抱えの職人たちにお前の襦袢を作らせて着せたらどれだけのものになるか……。よし、今ここで寝るか。お前を俺だけのものにしたくなった」


「……ここのは女の拙者もいるでござるよ。それなのに男のワイトを相手にするでござるか?」


 パルホは頬杖をついて呆れていた。美少年に見えるがパルホは立派な女性だ。ドゴランはゲイだろうかと疑う。


「俺はワイトだから愛したいんだ。お前は俺の傍にいるのは相応しくないが、友人としては認めよう。俺が友と認めるのはお前が初めてだ。喜ぶがいいぞ」


 ドゴランは上から目線で答えた。確かにドゴランが気さくに話をするのはワイトかパルホだけだ。それにパルホたちは周囲の生徒達から警戒されている。魔女の子として敬遠されているのだ。木組ウッドクラスの生徒達は全員ワイトたちに心酔している。かつてワイトに対して理不尽な決闘を申し込んだキウノン・バデカスや、パルホに喧嘩を売ったソヘタク・ズゥコですらワイトたちの信者と化したのだ。


「いやいや、友人なのはいいが、ここでワイトとにゃんにゃんすることは許さんでござるぞ!! ここは学園でござる、不順異性交遊は卒業後にするがよいでござろう!!」


 パルホは立ち上がると、机をバンと叩いた。こういうところは真面目なのである。


「ふん。男女と交わるのが問題なのだろう? だがワイトは男だ。男同士で愛し合っても不純異性交遊にはなるまい」


「なるに決まっとるだろうが、このオオタワケ!!」


 突如ドアが開かれて、ドゴランの頭が吹っ飛んだ。何者かが蹴りを入れたのだ。

 一体誰だろうと、煙が収まるのを待つと、そこには二十代後半のすらっとした長身に滑らかな黒髪をお団子でまとめており人形のような美女であった。紫色の太ももに切れ目が入ったドレスを着ている。

 ドゴランの姉、エスロギだ。花級の冒険者であり、モコロシ王国の臨時大使でもあった。


「マッタク、話を聞いてみれば、お前は問題バカリ。少しは姉の苦労を、思い知るが、イイデス」


「まあ、エスロギ様。なぜこちらに?」


 ワイトが訊ねた。ドゴランは吹き飛ばされたがすぐに起き上がった。首の骨が折れたような嫌な音がしたにもかかわらず、ドゴランはピンピンとしている。


「姉上。これから俺はワイトに自分の証を記したいんだ。邪魔しないでもらえるかな?」


 するとエスロギの正拳がドゴランの顔を貫いた。


「お前は黙ってイルネ。今回は弟の不祥事の謝罪と共に、ドゴランを襲った相手の情報を持ってきたヨ」


「ふん。そんなものはいらない。持って帰ってくれ」


 エスロギがぎろりと睨むと、さすがのドゴランも口をつぐんだ。


「……ドゴランを襲撃した輩の情報でござるか。興味深いでござるな」


「結果から言えば、襲撃者は全員操られてイタネ。それもドゴランと縁の深い暗殺者ばかりヨ。それも全員ドゴラン王国にいたからアリバイがあるネ」


「そうなのか? 俺は本人だと思ったぞ。森を一瞬で破壊する泥鎌嵐デイ カマラン、双子の男女で合体殺法を得意とする六九ろく きゅう。俺を殺しに来た奴らはみんなそいつらの気を発していたぞ」


 ドゴランが答えた。そもそも箆血翁の場合、顔が違うのに本人扱いしていた。ドゴランは人の顔を覚えないのだろうか。


「イイエ。ドゴランは間違ってナイ。なぜなら全員、同時刻、意識を失ったと報告がアッタネ」


 エスロギが言った。


「相手はドゴランの暗殺者たちの生霊いきりょうを利用しているネ」


 生霊とはなんであろうか。ワイトは初めて聞く単語に胸をワクワクさせていた。

 ドゴランが倒した暗殺者の名前は遠回しの下ネタです。

 シリアスな世界観ですが、下ネタの名前のキャラで中和している感じですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] ドゴランを止められる姉がいたんですね。
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