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第四十七話 カモネチ王国とマジッサ王国の関係

「ふぅ怒られてしまいました」


「まったくでござるな!! しかし拙者たちも悪いでござるぞ!!」


 ワイトとパルホは職員室を出た。先ほど教師のネトブリに説教されていたのだ。男子生徒に腹痛呪文ゲバリラをかけ、漏らさせたことを注意されたのである。

 食堂の中で悪臭を漂わせたのは問題だが、生徒の公衆の面前で侮辱したのだ。二人は厳重に注意された。

 本来はパルホは無関係だが、ワイトと連帯責任にされてしまったのだ。もっとも彼女は気にしていない。


「そうですね。もう少しやりようがあったかもしれません」


「しかしあの男は何なのでござるかな。キウノンやソヘタクとは違う気がしたでござるよ」


 問題を起こしたのはキョワナ・カモネチであった。彼はやたらとワイトに対して理想の行動を取るように命じた。それを注意したら切れたのである。


「おいワイト、無事だったか!!」


 後ろから声がした。振り向くとそこに犬耳の少年が立っている。パルホの執事、ケダンだ。その横にはワイトのメイドで犬耳のナイメヌもいる。


「あらケダン。従者は滅多に校舎に入ってはいけませんよ」


「うるせぇ! お前が教師共に理不尽な扱いをされたと聞いて、駆け付けたんだよ!!」


「理不尽ではありません。私の行動が原因なのです。勝手に怒ることは許しません」


 いきり立つケダンに対して、ワイトは目を見て叱った。その目は身体を鎖で縛りつけられたようになる。

 獣人の本能を感じたのか、ケダンはおとなしくなった。


「ふっ、ふん!! 俺はお前を守るのが仕事だ!! おっ、お前がそういうなら許してやるよ!!」


「まったく素直ではありませんね。我が弟は。双子なのに落ち着きのなさは誰に似たのやら」


 そっぽ向くケダンに対して、姉のナイメヌは微笑ましく見ていた。


「そうそう、実はキョワナ様のことを調べておきました。あの方は現ナッキョ・カモネチ国王陛下の第3王子で、次期国王の座を約束されております」


 ナイメヌが言った。恐らく主たちが叱られる原因となったキョワナのことを調べたのだ。


「第三王子で次期国王……。兄二人に何か問題があるでござるか?」


 パルホが訊ねた。


「はい。上の王子は側室の子で、キョワナ様は正室の子なのです」


 単純な理由であった。基本的に正室の男子が後継ぎとなる。側室が先に男子を産んでも順位は下がるのだ。

 

「兄たちの年齢は親子ほど離れています。自分たちが後継ぎになりたいのですが、国王が認めません。なぜなら兄二人はマジッサ王国と従属同盟を結びたいからです」


「従属同盟ですって? マジッサ王国の奴隷になりたいということですか?」


 ワイトが訊ねると、ナイメヌが首を縦に振った。


「なんだよそりゃ、カモネチがマジッサの従属になって何の意味があるんだよ」


 ケダンが疑問を口にした。カモネチ王国はキャコタ王国の技術提供により豊かになっている。

 東の岩山に救う鉱石竜ミネラルドラゴンを退治することで、鉱石の代用品にしていた。鉱石竜はモグラの様に土屋岩を掘り、銅や鉄などの鉱石を食べる。そのため身体は鉱石のようになるのだ。

 カモネチ王国では鉱石竜を倒すことは出来ても、解体はできないし、売ることもできなかった。


 キャコタ王国と同盟を結んでからは水力で動く鉄道が開通し、鉱石竜の解体も容易となった。

 海外の安い穀物を輸入し腹を満たせた。さらにマジッサ王国から大量の土や木なども運送することが出来るようになったのだ。


 対してマジッサ王国は未だ鎖国中だ。外国人が入国することはないが、外国の品物は輸入されているという。それでも国民は貧しい生活をしているそうだ。国王だけが空気を読まず、魔女の子孫を殺しに行こうと戦力増強に勤しんでいるらしい。


「元々カモネチ王国はマジッサ王国から分裂したのですよ」


「はぁ、お前は何を言っているんだ?」


「ケダン、あなたは歴史に興味がなさすぎです。ちょうどいい機会なので復習しましょう」


 ナイメヌが説明してくれた。カモネチ王国は1900年前、マジッサ王国の王弟、カモネチが南方に脱出したのが始まりらしい。

 当時の南部は野蛮人の集まりだった。狩猟と採集が主な産業だった。後は集落を襲撃して略奪を行っていたという。

 それをカモネチが集落をひとつずつ襲撃しては、敗者と同化していった。千年前にすべての集落を制圧し、国を作ったそうである。


 だがマジッサ王国はカモネチを認めなかった。マジッサの血筋だから王家に領土を寄越せと王家に言われたがカモネチは無視したのだ。

 それ以降カモネチとマジッサは表面上は断交していたという。


「今でもマジッサ王国に国を渡したい貴族はいるのですよ。中にはキャコタ王国の同盟を破棄し、すべての文化を否定するべきだと主張しているのです。カモネチ王国に行ったときにお父様たちから習ったはずですがね」


「しっ、仕方ないだろう!! あの時はカモネチの奴らがものすごくむかつくことを言いやがったんだ!! あいつらのことなんか知ったことか!!」


 ナイメヌに言われてケダンは激怒した。余程嫌な思いをしたのだろう。


「それでキョワナさんの立場はどうなのでしょうか?」


「次期国王の立場ではありますが、母方の実家の力は弱いですね。何しろ祖母はマジッサ王国の亡命貴族ですから。従属同盟には反対の立場です。まあ、こちらは今のキョワナ様とは関係ないですね」


 ワイトの質問にナイメヌが答えた。


「今のキョワナ様はドボチョン・ロックブマータに、はまっています。自分がロックブマータで、ワイト様を自分を支えるヒロインと思い込んでいるみたいなのですよ。そしてワイト様と二人で世界を守りたいと願っているそうです」


 ナイメヌの言葉にワイトたちは絶句した。

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