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第四十一話 ガベリンの秘密

「てめぇ、今ワイトにチューをしようとしやがったな!! 調子こいてんじゃねぇぞ!!」


 犬耳執事の少年、ケダンは怒っていた。大切な主人が男に言い寄られているのだ。それ以上にワイトの想いがあふれ出ている。怒りで頭がやかんのように煮立っていた。


「なんだ、パルホの従者ではないか。主人を放置して何をしておるのだ?」


 ドゴランはどこ吹く風だ。悪びれもせずケダンを窘める始末である。


「うるせぇ!! 男のワイトにチューするなんて、てめぇは変態かよ!! 許せねぇ!! ぶん殴ってやる!!」


「落ち着きなさいケダン!!」


 ケダンは頭に血が上っており、ワイトの言葉は届かない。ケダンはドゴランに飛び掛かった。ケダンの拳が流星のように襲い掛かる。だがドゴランは右手だけで対処していた。


「うむ、なかなかの拳だな。さすがはサリョド・サマドゾの息子、フラワー級の冒険者だ。大魔獣でも相手にできるだろう。だが相手が悪すぎたな」


 ドゴランは冷静である。不意にケダンの右拳を掴むと、ぽいっと地面に叩き付けた。

 ケダンは何をされたのか理解できなかった。なんで自分が投げ飛ばされたのか追いつかない。


「まったく狂犬だな。黄金獣であったアルジサマ殿とは大違いだ。もう少し冷静さを身に付けることだ」


 ドゴランが諭すとケダンは歯を食いしばる。徐々に怒りが沸き上がった。ケダンは寝たまま、バァンと音を立てると、天高く飛んだ。


「だまれぇぇぇぇ!! ワイトに言い寄る奴はすべて殺してやるぅぅぅぅぅ!!」


 ケダンは怒りを爆発させた。それを見たドゴランはやれやれとため息をついた。ドゴランは右腕を突き出すと、構えを取った。どうやら本気でケダンをやりあうつもりである。


「お前がいるとワイトが手に入らん。悪いが消えてもらうぞ」


「消せるものなら消してみろ!!」


「え、なんで二人が私の為に争うの?」


 ワイトはあまりの展開についていけなかった。殺気をみなぎらせる二人を止めることが出来ない。

 ここは魔法を使って二人を無力化するしかない。そう思ってワイトは足を踏み出そうとした。


「待ちたまえ」

 

 突如後ろから声がした。ハスキーボイスであった。


 ケダンは魔法でドゴラン目掛けて飛んできている。まるで台風のようだ。

 ドゴランの目つきは鋭い。ケダンを本気で殺すつもりであった。


 二人の真ん中に一人の男が割って入った。

 眼鏡をかけた七三分けの男子生徒である。

 ケダンとドゴランの拳を片手で止めてしまった。二人の勢いは一瞬で削がれた。


「二人ともやめたまえ。入学初日に停学処分なんてつまらないだろう?」


「なんだてめぇは!! 邪魔すんじゃねぇ!!」


「君はパルホの従者だろう? 主人を放置して生徒に危害を加えるつもりかね。従者の罪は主人の罪だ。君のせいでパルホはもちろんだがワイトにも迷惑がかかることを自覚したまえ」


 ケダンは渋々拳を下ろした。納得はしてないが落ち着かせる。ドゴランは冷静を取り戻したようだ。


「ガベリン・ヤソクウ。確か生徒会長だったな。そしてワイト・サマドゾの婚約者でもある」


「なっ、なんだと!!」


 ドゴランの言葉にケダンが反応した。


「てめぇワイトは男だぞ!! お前頭がおかしいんじゃないのか!!」


 ケダンに噛みつかれて、ガベリンは呆気にとられた。こいつは何を言っているんだと首を傾げている。


「お前は何を言っているんだ? こいつは―――」


 ドゴランが何か言おうとしたが、ガベリンが遮った。


「私は可愛い物が好きだ。ワイトのように可愛らしい男は見たことがない。男なんて関係ないのさ」


 それを聞いてケダンの顔は赤くなる。ワイトを侮辱されたと思い込んだのだ。


「ケダン落ち着いて!! お姉さまもケダンをからかわないでください!!」


 ワイトがケダンに抱きついて叫んだ。ケダンはワイトの言葉を理解できなかった。お姉さまだって?


「ガベリン・ヤソクウ第一王女だったな。女の子が好きで男装するようになったと聞いたが、ここまでとはな」


 ドゴランが言った。どうやらガベリンの事を知っていたようだ。


「むぅ、せっかく面白そうだったのに。ワイトは口が軽すぎるな」


「なっ、こいつが女だって? くんくん、確かに女の匂いがするが……」


「君はワイトが好きすぎるな。そのせいで狼の血を引いているのに、私の匂いに気づかないとはね」


 ガベリンは呆れていた。普段のケダンなら匂いで相手を理解できたはずだ。気づかなかったのはワイトと関わっていたためだろう。


「ドゴラン君、ワイトは私の婚約者だ。勝手に君の正室にされては困る」


「もう俺はワイトを正室にすると決めたんだ。なんならお前も側室として迎え入れるぞ」


「私はワイトと違って色気はないぞ。パルホ以上に男っぽいがいいのかね?」


 ガベリンがドゴランを窘めたが、ドゴランは平然とガベリンを側室に迎えるという。見た目は男だが中身は女なので問題はない。


「……なんなんだよ。貴族や王族は変態だらけなのか?」


「……」


「ちっ、違うぞ!! 俺はワイトを馬鹿になんかしていない!! お前は変態なんかじゃないぞ!!」


 ケダンは慌てて取り繕った。別にワイトは傷ついていないが、ケダンだけ焦っている。

 それを見てガベリンはほくそ笑んだ。


「なかなか面白いな。残りの学園生活を楽しく過ごせそうだ」

 いつもならマジッサ王国の話になりますが、今回は変更しました。

 ガベリンの正体は女性と決めておりましたが、今回で明かしました。

 あくまでワイトの相手は男であり、女性のガベリンはあまり関わらせない方がいいと思いました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ワイトモテモテですね。
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