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第十四話 新しいバニースーツ

「これが因幡尼いなばにの衣装……」


 ワイトたちはハボラテで一泊してサマドゾ王都に戻ると、すぐに手に入れた念道布で因幡尼の衣装、バニースーツの作成することになった。

 作るのは荷庫梅歩にく ばいぶだ。豪快そうな彼女は細かい作業など無縁に見えるが、意外にも手先は器用だという。

 完成されたバニースーツはワイトの体にぴったりであった。パルホも同じである。

 ワイトは赤く、パルホの場合は白い。


 ワイトは胸の部分はぶかぶかだが、腰がきゅっと引き締まっており、尻もむっちりして大きい。男とは思えないほど色気がある。さらにすらっと長い脚も網タイツのおかげで映えていた。

 赤いうさ耳もゆらゆら揺れている。まるで女神のようだ。


「梅歩の裁縫の腕は使熊荷しぐまに1でございますのよ」


「あのペドルびら級の冒険者であるシフンド3兄弟が自分たちのふんどしを依頼したほどですから」


 姉である小芥子こけし弁樹べんきが褒めたたえた。シフンド3姉弟はサマドゾより北にあるスキスノ聖国の漁村出身の冒険者だ。念道布で作られたふんどしで、ふんどし魔人を生み出す力を持っている。かといって褌を頼っているわけではなく普通に強い。スキスノの荒れ狂う冬の荒海で蟹を獲りに行く実力があるのだ。下手な漁師では死んでもおかしくないという。

 

 ワイトたちは過去に王都の南方にあるタコイメでシフンド三兄弟と共に修行をしたことがあった。

 タコイメの海は浅瀬が多く、大型の船は通行できない。キャコタの商船は立ち寄れないのだ。

 精々漁船で二時間ほどで行けるポンチ島程度である。


 海には海に棲む海ラミアや人魚にスキュラのモンスター娘がいる。砂浜には赤貝やあわびの魔獣やワカメ娘というモンスター娘がおり、双子はそれらを倒す訓練をしていた。


「俺のおふくろから裁縫を習ったのさ。確かバガニル様の衣装もおふくろが縫ったものなのさ」


 梅歩が照れ臭そうに言った。ワイトとパルホも驚いている。親子で二世のバニースーツを縫ってくれたことに運命を感じた。


「これがお母様と同じバニースーツ……。身が引き締まる思いです」


「君の場合は股間も引き締まっているだろうがね。しかし君の尻は素晴らしいな、女の俺でも撫でたくなるぜ」


 ワイトが身に付けたバニースーツに感心していると、梅歩が笑いながらワイトの尻を撫でた。網タイツ越しだがとても柔らかい。まるで赤ちゃんの肌のようだ。ワイトは思わず頬が紅くなった。乙女のように恥じらっている。


「もう……、男の尻なんて触っても面白くないでしょうに……」


 ワイトの恥じらう姿に梅歩の心臓の音が高く鳴った。目の前にいるのは思春期を迎えたばかりの少年だ。それなのに本物の女性のように錯覚するのは不思議である。


「拙者はどうでござろうか!! 梅分殿なら胸や尻を好きに撫でても一向に構わんでござるよ!!」


 パルホは胸を張った。確かに彼女は本物の女性だ。胸もかなり大きく、スタイルは良い。日焼けした肌は健康的である。白いバニースーツも映えていた。


 しかしなぜか色気がない。恥じらいがないのだ。彼女は胸を隠さず、両手を腰に当てている。仁王立ちというものだ。まるで男のようである。もちろん美少年で通じるが、白い歯を剥き出しにして笑うと豪快な印象を受ける。


「……男子のような雰囲気がありますね」


「ワイト様の方が乙女に見えるのが不思議でございます」


 姉たちは双子を見比べた。ワイトは胸がないが誰が見ても女性と見間違うだろう。なのにパルホは胸があるのに男に見える。女性らしさが皆無であった。


「けど、ワイトは胸の方を何とかしたいな。念道布は余っているし、燕尾服を作るか」


 そう言って梅歩はあっという間に赤い燕尾服えんびふくを作る。後ろが燕の尾に見えるから燕尾服だ。それをワイトに着せる。


「これで胸のなさを誤魔化せるだろう」


「私は男なので、胸の事はどうでもよいのですが……」


 燕尾服を着たことで多少は胸の大きさを誤魔化すことが出来た。ワイトは女の格好に抵抗はある。しかし敬愛するバガニルと同じ服を着れる喜びを嚙みしめていた。今の彼は恥じらいよりも喜びの方が大きかった。ワイトはマザコンなのだ。


「念道布で作られた衣装は着ている人の魔力に応じて、サイズを変えられるよ。それに汚れも気にしなくていい。あとは小便をある程度我慢できるぜ。こいつの難点はすぐ脱げないことだからな」


「梅歩!! もう少し言葉を選びなさい!!」


 梅歩のあけすけな表現に小芥子が苦言を呈した。


「それはありがたいでござるな!! 森の中で花を摘むのはさすがに遠慮したいでござる!! なにしろ尻を出した隙に魔物の角が尻穴に突っ込まれる危険性があるでござるからな!!」


 パルホも梅歩と同じ思考であった。


「パルホ……。女の子が品のないことを言ってはダメよ」


 ワイトは双子の妹の品のなさに真っ赤になった。これではどちらが女性なのかわからない。

 ワイトは胸のない美少女で、パルホは股間に棍棒を持つイケメンであった。


「そういえばなぜお母様はこの衣装を私たちにくださったのでしょうか?」


「これは戦闘服として着るものです。キャコタ王国の王立学園では生徒は冒険者の登録が必須なのですよ。冒険者の衣装には制限はありません。着慣れた物を使うのが基本ですね」


 ワイトの疑問に弁樹が答えた。因幡尼の衣装は見た目は奇抜だが、魔力の元である邪気を吸収する性質があり、魔法使いの衣装としては最適なのだ。


「あとはこの衣装を着替コプスレえ呪文で記憶することです。そうすればいざ非常事態が起きても、早着替えが出来ますからね」


 小芥子が言うと、彼女は指を弾いた。すると彼女は巫女装束から白いドレス姿になる。これが着替え呪文の力だ。ただし記憶させた衣装が燃えたりして無くなった場合は発動しなくなる。


「お母様たちも冒険者として活躍していました。私たちもお母様と同じように活躍したいですね」


「当然でござろう!! 拙者とワイトがいれば千人力でござる!! 父上と同じように振る舞うでござるよ!!」


 パルホもワイトと同じくファザコンであった。それを見て荷庫三姉妹たちは微笑ましくなるのだった。

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[一言] 服が出来ましたね。
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