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エピソード7 俺たちの 戦いは これからだ!!

「さぁ皆さん。おひさしぶりです。授業を始めましょう!!」


 ワイトが数か月ぶりに教壇に立った。だが教室は静かである。人はいるのだが誰も声を出さない。

 みんな表情が曇っていた。


「あれれ? 皆さん元気がないですね~? 私が帰ってきたのは不快ですか~?」


 ワイトは心配になりおどけた口調で言った。そこに岩のように背が高い男子生徒が立ち上がる。

 バデカス王国の王子キウノンだ。入学式前にワイトに決闘を申し込みあっさり負けた男である。

 

「ワイト先生。今は授業をしている状況ではないのです」


 昔は頭が悪そうな脳筋だったが、現在は知的な雰囲気がある真面目な生徒になった。

 そんなキウノンは真剣な目でワイトを見ている。


「キウノンさんの言う通りですわ。現在の我々、木組ウッドクラスは学園どころか、世界各国の注目の的なのです」


 次に立ち上がったのは金髪縦ロールで吊り目の少女だ。ソヘタク・ズゥコといい、ズゥコ王国の王女である。

 彼女もまたヒステリーでパルホに喧嘩を売った少女だ。

 今はキウノンと同じように真っ当な人間になっている。


「世界各国ですか? 随分大げさですね。さっぱりわかりません」


 ワイトはとぼけるが、実際は理解していた。多分自分が世界を復元したから、その教え子である彼等にも影響が出ているのだろう。


「ワイト先生は世界最強の魔女なのです。そんな教え子の僕たちは最強の弟子として扱われているのです。もう世界各国の大使たちが僕たちにまとわりついているのです」


 次に立ち上がったのは禿げ頭で眉が太く、背が小さい鼻水を垂らした少年だ。

 マルデ・ダ・メナコといい、メナコ王国の王子である。


「そうでしたか。ですが私が教えたのは基本中の基本です。素っ裸でジャングルや大海原に放り出されても生き残れる術を教えただけです。それに休職中は皆さんに宿題を渡しましたよね? きちんとできましたか?」


 ワイトがにっこりと尋ねるが、教室はさらに重い空気になった。


「……ワイト先生が残した宿題はすごいです。我々は百の呪文をさらさら覚えることが出来ました」


「キャコタ王国では宮廷魔術師になれるレベルだそうですよ。このクラスでは全員がそうです」


「そして僕らの母国では僕らを王座に着けるために運動が起きているそうです。下手をすれば革命が起こりそうです」


 キウノンたちの言葉にワイトは重たい気分になった。ワイトにとって基礎の内容でも、他の人間にとっては宮廷魔術師になってもおかしくない知識量であった。

 それらを落ちこぼれの集まりである木組が全員成し遂げたのだ。彼等の母国ではキウノンたちが問題を起こし、王位継承権をはく奪するネタにするつもりだった。

 ところが蓋を開ければエリート魔術師を生まれ変わった。各王家は大騒ぎになっているだろう。


「あと魔女を嫌う国が懸命にワイト先生たちを殺せと訴えているそうです。そのおかげでバデカス王国は戦争状態になりました。もっとも私が直接出向いて敵対勢力を炎の魔法一発で解決できましたけどね」


「あらあら、私が教えた瞬間移動呪文を習得できたのですね。おめでとうございます!!」


 ワイトはパチパチと拍手するが誰も無反応である。

 ワイトはいたたまれなくなった。


「で、皆さんは私をどう思っていますか? 私を憎んでいますか?」


「いいえ、先生には感謝しております。確かにやらかした部分は多いですが、生まれ変わった自分に感動していますね」


「そうですわ!! 問題はワイト先生を忌み嫌う連中です!! 私たちは決して負けませんわ!!」


「僕たちが先生を守って見せます」


 キウノンたちが力強く誓った。それを見てワイトは感動の涙を流した。

 だがなぜ彼等の空気が重いのだろうか。それがわからなかった。


「……実は本国では先生の側室になれと言われました」


 キウノンを始めとして、他の生徒達も告白した。

 彼等は本国からワイトの側室になれと命じられたのだろう。そりゃあ気が重くなるわけだ。


「あと新しく転入生が来るそうです。全員先生目当てだと思いますね」


「しかも相手は男だけですわ。わたくしはパルホ先生をモノにしろと言われましたもの」


 マルデとソヘタクが言った。正直ワイトは気が重くなる。

 だが負けるわけにはいかない。自分は魔女バガニルの息子なのだから。


「私たちの戦いはこれからです!!」


 ワイトはそう宣言した。

 今回で最終回です。読んでいただきありがとうございました。

元旦の0時から下ネタファンタジーを再開します。

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― 新着の感想 ―
[一言] これからも苦労は続きそうですね。 でもこのメンバーなら乗り越えられそうです。
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