第九話 お勉強
前回の後書きで早めに更新するとキッパリ言ったばかりなのに……
スマンありゃウソだった
でもまあ一月経つ前に更新できたんだから良しとするって事でさ……
ごめんなさい
お楽しみいただけましたら幸いです。
今日はルースに勉強を教えてほしいと頼まれた。
お菓子を買った時の計算の話をルースが両親に話したのが原因らしい。
……婚約者とはいえ、自分の息子が同い年の、しかも身分の低い娘から勉強を教わる事に疑問はないのだろうか。
「う〜ん……。1/3×2/3ってどういう事〜?」
「ルース様、まず丸いケーキを用意します」
悩むルースに私は丸を描いて見せる。
「ここに三人の子どもが来たので三つに分けます。1/3ですね」
「うんうん〜」
私が丸の横に人の絵を三つ描き、丸を三分割するのを、ルースはじっと見つめている。
私は更にその子どもの上に二人の人間を描く。
「子どもはもらった1/3のケーキを、お家に持って帰ってお父様、お母様と分ける事にしました。つまり1/3のケーキを更に三人で分けるのです」
「うんうん! みんなで食べた方が美味しいもんね〜」
味は今関係ない。
とにかく説明を続けよう。
「この時お父様とお母様が食べたケーキは、1/3にしたケーキを更に三人で分けたうちの二つになります。つまり2/3です」
「うん、そうだね〜」
「ではそれは全体のうちのいくつでしょうか」
「え? えっと〜、最初三人で分けたのをまた三人で分けたから〜、六分の……、二〜? あれ〜? それじゃあ1/3になっちゃう〜。……ケーキ増えた〜?」
増える訳ないだろ。
そんな簡単に増えたら、作ったケーキ屋涙目だぞ。
「ルース様、他の子も同じようにお父様とお母様とで分けたとお考えください」
「あ、そうだよね〜。みんな仲良しだもんね〜」
うちは違うけどな。
この状況になっても親父には分けない。
……どうせ分けるなら、ルースやスラック夫妻と……。
ご、ご機嫌取りに必要だからな!
「全員が同じように分けると、ケーキはいくつになりましたか」
「えっと、あ、九個だ〜」
「はい、そのうちの二つですから」
「答えは2/9〜?」
「はい、正解です」
「やった〜!」
一問解いただけでこの喜びよう……。
あと何問あるんだっけ……。
「そしてこの答えは、分母同士と分子同士を掛け算しても同じ答えになります」
「わ! 本当だ〜! シビーラちゃんすご〜い!」
わぷ。
近い近い近い!
至近距離でそのキラキラ目は心臓に悪い!
「……次の問題に参りましょう」
「うん! シビーラちゃんと一緒なら、何でも解けそうだな〜」
……騙そうとしてる人間に何言ってるんだ。
ぶり返した胸の痛みを押し殺して、私は次のページを開いた。
読了ありがとうございます。
しばらくはこちらを完結に向けて、力を入れていきたいと思っています。
次話もよろしくお願いいたします。