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第五話 会計

ときめきなんかとは無縁だったシビーラを、無意識で無邪気なルースの笑顔が襲う!

やさぐれ令嬢は果たして耐え切れるのか!

耐え切れなかったら幸せな結婚をしてしまう!

頑張るなシビーラ! 負けとけシビーラ!


今日もお楽しみいただけましたらありがたいです。

「えっ〜と、あれと〜、これと〜、これもくださ〜い」


 ルースの買い物はまだ終わらない。

 他にも日持ちのする菓子を選んでいる。

 あれもおそらくはお土産。家族以外にも配るのだろう。

 関係性のための先行投資にあれだけの金を使えるなんてな。

 子どもらしさで許されるうちにと手作りの品をあちこちに送っていたが、ルースやスラック家には仕かけない方が良さそうだ。


「これで全部〜」

「はい、ではお会計いたしますね」


 ……高級菓子十個に飴が三袋、焼き菓子が三種類、それぞれ五袋。

 しめて1ドルゴ96バルシ50パッカか。

 菓子だけで2ドルゴ近く買っておいて平然としてるとか、一般家庭が三、四日食える額を何だと思ってるんだ。


「合計1ドルゴ90バルシ50パッカになります」

「えっ、6バルシ少ないですよ」

「え?」

「このお菓子が12バルシですから十個で1ドルゴ20バルシ、飴が3バルシ50パッカ三袋で10バルシ50パッカ、焼き菓子が4バルシ40パッカで三種類五袋ずつで十五袋、66バルシですから、合計は1ドルゴ96バルシ50パッカだと思いますが……」

「しょ、少々お待ちください」

「おそらく焼き菓子の単価を4バルシで計算されていると思います」

「あ! 本当! あ、ありがとうございます! では1ドルゴ96バルシ50パッカになります」

「……シビーラちゃん……?」


 呆然としたルースの声に我に返る。

 しまった、つい金の計算となると妥協ができない。

 親父から『商人の顔を出すな。可愛げがなくなる』って言われてたのに……。

 そうでなくても、黙っていれば6バルシもうけたのに、って思うよなぁ。


「すっごーい! シビーラちゃん、頭いいんだね〜!」


 ぺぐ。

 すごいキラキラした目で見てくるなお前!

 手品や軽業を見る子どもの目!

 そんな目で見るな! こんなのすごくも何とも……!


「2ドルゴいただきましたので、3バルシ50パッカのお返しです」

「は〜い。あ! これで飴もう一袋買える〜?」

「もちろんです! ありがとうございます!」


 店員、助かった!

 普段なら端数も大事にしろよと思うところだが、今はあのキラキラ目から離れられただけで良い!


「はいこれ〜」


 差し出される飴。

 私、に……?


「……よろしいのですか?」

「うん! さっきのシビーラちゃん、素敵だったから〜」


 ぷぎゅ。

 やめろそういうの!


「ありがとうございます。大切にいただきますわ」

「うん!」


 ……これは何か対策を講じないといけない。

 現状ご機嫌取られてるの、私の方だからな。

 帰り道、お茶の席、ルースが帰る前に何か打開策を見つける……!

読了ありがとうございます。


お金の単位はシビーラの計算力を表現するためにややこしくしてますが、そう見せてるだけです。


1ドルゴ(金貨)=一万円

1バルシ(銀貨)=百円

1パッカ(銅貨)=一円


つまり高級菓子1200円

飴350円

焼き菓子440円


ラストに飴買ってちょうど2ドルゴにするために、久しぶりに連立方程式使いましたよ……。


さて今回は二回も心臓が跳ねたシビーラですが、耐えるための策を講じようとしているようです。

なぜもがき生きるのか……。

キュン死すれば助かるのに……。

今しばらくシビーラの悪あがきをお楽しみください。

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― 新着の感想 ―
[一言] >なぜもがき生きるのか……。 >キュン死すれば助かるのに……。 さあ ルースの腕の中でいきたえるがよい……
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