第四話 おねだり
キャンドルドルチェでの続きになります。
いよいよお菓子を買う段になりました。
今度こそシビーラは毅然とした態度でいられるのか(フラグ)。
どうぞお楽しみください。
試食を終えたルースは、ちょろちょろ動き回りながら菓子を選んでいる。
「これも美味しそうだし〜、こっちも可愛いし〜、迷っちゃうね〜」
「そうですわね」
女子か。
迷ってる私可愛いでしょアピールの女子か。
こっちはさっきの「あ〜ん」でにやにやしてる周りの視線がきついんだよ早く決めろ。
「シビーラちゃんはどれがいい〜?」
「えっと、迷ってしまいますわ」
私に振るな。とっとと決めろ。
私に任せるなら一番高いのにするぞ。
親父がケチだから高級品に飢えてるんだ。
「まぁ! これなんか素敵ですわね」
とはいえここで浪費家の烙印を押されたらたまらない。
一度高い物を選んで、反応を見て本命の値段を決めよう。
「じゃあこれを〜、十個くださ〜い!」
じゅっ……!?
バカかこいつ! 金持ちアピールはよそでやれ!
食べきれもしないものを買うのは、裕福じゃなくてただの無駄だ!
「あ、あのルース様。そんなに買ってどうなさるおつもりですか?」
「シビーラちゃんのお父様やお母様にお土産と〜、僕のお父様とお母様にも食べてもらいたいし〜、一緒に来てくれたスチュワートとサーバンにも食べさせたいから〜」
……それなら別に一番高いのにしなくたっていいだろうに。
「シビーラちゃんが選んでくれたのを、みんなで食べたいんだ〜」
みぎゃ。
そういう事言うな!
いやむしろ選ぶ前に言え!
そうしたらもうちょっと選びようってものがさぁ!
「みんな喜んでくれるといいなぁ」
「そうですわね」
この底なしのお人好し、どうにかしないとな。
貴族でこれじゃ先が思いやられる……。
読了ありがとうございます。
お土産の気遣いに加えて、選んでもらった事に価値があるという態度。
これは効きますわ(ただしイケメンに限る)。
次話もよろしくお願いいたします。