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プロローグ
「なまら好きです!付き合ってほしいべさ。」
「めっちゃ好きさ!」
「好いとーよ。」
「す、好きだっちゃ…」
「好きやねん。付きおうてくれへんやろか。」
「好きじゃけ、付き合ってほしいんじゃけど。」
「むっちゃ好きやねん!付き合ってほしいんや!」
元始、『方言』は多様であった。
地方の民は自分の方言に誇りを持ち、都会の民は様々な方言に憧れを持った。
しかし21世紀以降、それらの方言は衰退の一途を辿ることになる。
地方の若者は標準語に憧れ、方言使用者は急激に減少した。
国も方言に文化的価値を見出し、『方言活性化プロジェクト』を打ち立てた。
そして2030年春、そんな世情の煽りを受けてここ、都立氷巡高校に新たな部活動が誕生する。
ーー『方言復興部』通称『方言部』ーー
つまりは俺が入部することになる部活であり、さらには活動内容不明の緩い団体だった。