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リア充との戦争に踏み切った非リア軍の話

作者: 永風

 戦争を望む人間は確かに少数派である。だが現実は残酷で戦争は終わらない。

実際、許せないことがある事も、戦争するしかない事も仕方ないことなのかもしれない。




 「潜入捜査班A、現状報告、オーバー」


 隊長の聞きなれたはずの声が焦りを伴い、周りの者に緊張感を与える。


 「……敵勢力、可視範囲にて推測、1000小隊以上、オーバー」


 伝達係の心の乱れが動揺となって周りの者に伝わる。事実、兵力や力の面を考慮しても勝利を得ることはない、無謀とも自暴自棄ともいえるかもしれない。

だが隊長自らが『敗北』を公言する訳にはいかない、絶体絶命の時こそ堂々と前を向き士気を上げる、それが人の上に立つ者のあるべき姿だ。


 「全軍に告ぐ、我々は今から死地へ行軍することになるだろう。だがこの日この時ばかりは引く訳にはいかない。全兵力で本陣へ攻め入る、最前線には俺自ら行く。

一対1万になることがあるかもしれない、それでも奴らを許し、諦め、降伏することは出来ない。爆破してでも、一切の意味を為さなくとも、この戦を挑むことは我ら同士の生きる希望である。生き恥を晒すぐらいなら戦場で笑いながら死にいこう!!!」


 「「「「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉ!!!!!」」」」」


 鬨の声を上げ同士1000兵もの猛者が暗闇を切り裂き敵軍本陣へなだれ込む。その勇士はさながら桶狭間の戦での信長軍を彷彿とさせる。しかし現実では容赦の無き集中砲火に身を焼かれ、蔑んだ目で射抜かれ、女子に忌み嫌われ、時には静かな応援を受けつつも無残な晒し首へと変わっていく。

 10分もすると我が軍の陣形は崩壊し、敵勢力に少しばかりの被害を与えた程度で敗北は決まっていた。それでも一兵の離脱もなく最期のときまで我が軍の咆哮の鳴りやむことはない。それこそが我々の強みである、絶対に諦める訳にはいかない漢として最期を迎えるそんな同士の集い。


「我らの聖地に攻め入って、我がもの顔で闊歩する、貴様ら今日が命日だ」

 「暗闇に、慣れて親しむこの俺は、百戦錬磨の剣豪よ」

 「生まれも育ちも片田舎、それでも死に場所この聖地、一片の悔いも残さず死に絶える」

 声はとうに枯れ満身創痍になりながらそれでも体に鞭打って叫び続ける者。

 「我々は永遠に貴様ら愚民共を根絶やしにし続ける!終わりなどない!永久に分かりあうことなく!」

 我が軍の軍旗を翻し宣戦布告し続ける者。

 

 咆哮の音を止める者はなくとも晒し首になる者は累乗的に増え続ける。これ以上の抵抗は無意味だと隊長は判断し決断を下す。


 「全軍撤退!動けぬ者には肩を貸し、全速力で戦場から逃亡せよ!今度の戦はここまで!!」


 「「「「「御意!!!リア充共よあえて言おう、クズであると!!!!」」」」」


 隊長の一言に決まった返しをした軍は一切の乱れなく撤退を開始する。未練ある者、遺恨の残る者、暴れたりない者、その全てが隊長に従い速やかな撤退は為された。総勢1000の軍隊によるゲリラ作戦は一時間をもって敗北を喫したのである。


 これが俗に言う、『秋葉原クリスマスの乱』と呼ばれる毎年恒例の『反リア充デモ』である。


 毎年このデモに参戦する者を「猛者」と呼び、その様子はSNSで晒され注目の的となる。

発端当初は、『クリスマスに我ら非リアの聖地に足を踏み入れる愚かなるリア充共を駆逐及び爆破し我ら非リア軍に勝利を』だったのだが最近のSNSによりその活動はただの祭りと化していく。

結果としてリア充のクリスマスデートにおける彼氏を際立たせる道具として非リア軍は利用されることになっていき、最近ではリア充までもが騒ぎ出しただの迷惑行為である。


 だが、私はあえて言おう、リア充はクズであると!!!




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