3 夢オチ…だったらよかった。
ピピッ…ピピピッ……ピピピピピピピッ!!!!!
「…ぅるさい」
起床時刻だと知らせてくる目覚ましを布団から、
右腕だけ出して乱暴にとめる。
俺に何があろうが世界は変わりなく朝を迎えるようだ。
窓から差し込む朝日が恨めしい。
「はぁ…学校行きたくないなぁ」
小学生のような文句をいいながら、のそのそとベッドから身を起こす。
いきたくないとは言っても、授業にはでなければいけない。
寝巻き代わりのTシャツと半パンを脱ぎ、
ハンガーに掛けていた制服を羽織る。
しっかりとネクタイを締めて鏡で自分の姿を確認する。
「俺のどこに転校生は惚れたんだ…?」
鏡には冴えない死んだ目の男が映っているだけ。
黒髪にぬぼっとした平凡顔の俺は、
別に性格が良いと言われるわけでもなく
明るくクラスのムードメーカーというわけでもない。
俺よりも数百倍に顔の良い奴等に好かれている転校生が、
なぜ惚れたのかまったく分からない。
「…もしかして、昨日のあれは夢だったのか?」
現実逃避のために言った言葉だが、
むしろそっちのほうが可能性が高い。
「…きっとそうだ!!
俺は疲れていて、それであんな夢を見たに違いない!!」
夢とはいえ男に告白され、自分の秘密を暴露し、同室者と関わりを
もつなんてものをみるなんて、それはそれで俺の頭を疑うが…
この際それはどうでもいい。
今の俺にとっては、アレが現実ではないことの方が重要だ。
「あーよかった! 」
意気揚々とリビングにつながるドアを開ける。
これから、朝食の用意をしなければいけないからだ。
浮き立つ心のまま鼻歌を歌いながら台所へと向かう。
「ふーんふふ、ふんふふっ…!!?」
「お、起きたのか。もうすぐ飯ができるから、顔でも洗ってこいよ」
…んん?おかしい。
銀髪ピアスの一匹狼様がエプロンをして
朝飯をつくっているのが見える。
「お前が朝はパン派なのか、米派なのか分かんなかったから
とりあえず今日は米にしといたぞ」
「くそったれ!!やっぱり夢じゃなかったか!!」
「は?朝から元気だな、お前」
ブックマーク、評価等々してくださった方々ありがとうございます!
久しぶりにのぞいてみたら、見てくださっている人がいてびっくりしました。
今回は短いですが、話の区切りを考えて次話と分けました。
相変わらずなかなか進みませんが、生ぬるい目で読んでいただけたら幸いです。