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殺人病棟  作者: 死蘭
殺人病棟 Ⅰ
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(1)

ゴーン、ゴーン、ゴーン・・・

病院のロビーにある大きくて古い振り子時計が12時の鐘を鳴らす。

あたりは入院している患者達の規則正しい寝息が聞こえるだけである。

私もこの病院の患者のうちの一人だ。毎日退屈な日常を送っている。しかし、1ヶ月後には念願の退院が待っているのだ。そう考えると気持ちがとても軽くなったように感じる。こうも嬉しく感じるのはいつ以来だろうか・・・


数年前に両親を交通事故で亡くしてから孤児院で育った私はいつの間にか笑うことも泣くことも忘れてしまっていた。そのせいか周りからは腫れ物に触るような扱いだった。だからこそなのだろう。私が謎の病気にかかったと知った時、すぐさまこの病院に入院することとなり、入院した後は全て病院に任せてどこかへと消えてしまった。それも仕方のないことなのだろうが、まさか孤児院ごとどこかに行くとは思ってなかったのでそれを知った時はかなり驚いたし、自分はそんなに嫌われていたのかとも思った。

今思い返すと、不幸な人生を歩んでいたんだなあ、私。


孤児院がなくなってしまったので、退院した後は里子に出すらしい。私も一度会って話したが、とても心優しい人たちだった。あんな人達と一緒に暮らせるなんて今までの私なら思いもしなかっただろう。だから私は今とても嬉しい。

こんなことを思っているのだから、病院での生活はかなり辛かったんだろうねと思う人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。もちろん最初は泣きそうになる程辛かったが、今はそんなことなどこれっぽっちも感じてない。初めての友人もできたわけだし。


こうして私はこれからの生活がいい方向に向くことを願いながら喜びに浸っていた。

それなのに・・・

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