始まり 2
俺はその後小一時間ほど少女から情報を根掘り葉掘り聞きだした。結果驚愕の事実を知ることとなった。
まず、この世界が俺のもといた世界であるということ。
しずく
次にこの少女の名前は「東条 雫」で勇者の使命で俺が現れるまで魔王と死闘をえんじていた。
そしておそらくだが、俺の妹であるということ。
最後に俺が八歳の時に起きた事故からまだ約7年ほどしかたっていないということ。
「嬢ちゃん!嘘はついていないんだな!?」
「嘘なんかついてどうすんのよ!!あと嬢ちゃん嬢ちゃん呼ぶのやめなさいよ!あんただって私より一つか二つくらいしか歳は変わらないじゃない!!」
「見てくれなんてものにだけ目が行くのは三流の証拠だぞ?勇者さん?」
「!!!!!!」
雫は顔を真っ赤にして反論しているが、俺にはそんなことよりも今得た情報への整理が付きかけていた。
俺の体は表の世界と裏の世界の間に起きる何らかの時間の差によって飛ばされた年からそのまま成長した姿だということ。
また、裏の世界で負った傷はそっくりそのまま表の世界でも反映されているということ。
「聞いてんの!?」
「ん?すまん、聞いてなかった。
まぁ、でも今からなら約束だし嬢ちゃんからの質問に答えるぜ?」
「結局その呼び方は直さないつもりね、、、。でも、分かったは私の質問にはきちっとこたえてね。」
「応」
「まず、あなたの名前は?」
「そうか、まだ言っていなかったな春樹だ。」
「分かったわ、春樹ね。春樹はどうして私を助けたの?」
「いや、あれは助けんじゃなくてたまたまだ、偶然、奇跡、そんな言葉の似合う現象の結果お前を助ける形になった。」
「そう、、、、。でも、助けられたのは感謝するはありがとう。」
「うむ」
「最後にあなたのその纏っている尋常じゃないほどの魔力は何?」
雫は今までの会話の中で見せたことのない本気の目で俺に聞いてきた。おそらく、敵に回った時のことを考えているのだろう。
「おいおい、その魔力ってのは何だ?俺はそんなもの垂れ流してなんかないぞ?」
「!!、、、まさか、あなた自分の魔力を認知できてないの?
それならこれは?」
雫は言い終わるか否かで俺に手を向けた。
「なんだ、手品でもみせてくれ!!!!!」
瞬間俺はとっさに雫の手から放たれた見えない何かをつかんだ。
「なんだこれは、つかめたが目に見えない。」
「あなたほんとに見えていなのは確かなようだけれど、まさかつかむなんて、規格外にも程があるでしょ。」
「なんだ?これは普通は目に見えるが、つかめないものなのか?」
「そうよ、今私がやったのは魔力の塊を直接ぶつけるという混じりけのない純粋な魔力テストよ。
本当は私の手に魔力が集中し始めれば気づくはずだけど、それにあなたは気づかなかったその時点であなたの魔力の見えているの有無ははっきりしていたわ、でも本来は魔力はつかむことのできないものなの。
つかもうとすると自身の魔力と反発してしまうからよ、でも、あなたのはまるで圧倒的な力で無理やりつかんでるみたい。」
「ふぅん、それはすごいことなのか?」
「ええ、普通の人があなたみたいな魔力の使い方をしたら間違いなく腕が吹き飛ぶでしょうね、もっとも、普通の人はそんな魔力は保持していないでしょうけど」
「おいおい、そんなに褒めるなよ携帯食料しか出ないぞ?」
「褒めてないわよ!、、、でも携帯食料は頂戴。」
「意外と食い意地が張ってるんだな。」
「うるさいわね!!緊張の反動でおなかがすいてきたのよ!」
俺はそんな弁解を言っている雫を横目にもう一つ聞かなければいけないことがあるのに気づき、携帯食料を食べている雫に喋りかけた。
「そういえば、なんで魔王となんか戦ってたんだ?」
「はぁ!?あんたほんとにこの世界の住人?それは「それは私から話します。」
そういって俺たちの会話に入ってきたのは先ほどまで吹き飛ばされ気絶していた雫の仲間と思われる、金髪のこれまた美少女だった。