人生に一度のワープ
人生に一度、どこにでもワープ出来たらどこに行くだろう。
俺、赤坂翔は、【幸せな世界】へワープした。
この地球に生まれた俺たち、人間。
その人間一人ひとりに、人生に一度【どこでもワープ】が出来たら、人間はどこに行くだろう?
一人。
皆勤賞がかかっているが、起きるのが遅くて遅刻してしまいそう。
ワープをすれば、皆勤賞が取れる。
一人。
恋人が出来た。だが、ネット内で付き合ったからまだ顔も写真でしか見たことがない。片道分のお金はある。貯めたいが今すぐにでも会いに行きたい。
ワープをすれば、片道だけのお金で済むし、今すぐにでも会いに行ける。
一人。
海外に住みたい。海外に魅力を感じる。だが飛行機代がない。
ワープをすれば、お金なしで海外に行ける。
一人。
犯罪を起こした。背後には警察官が複数人。
ワープをすれば、現状を免れる。
そして一人。
俺は幸せが欲しかった。ただそれだけ。
「幸せな世界に行きたい」
唱えると、俺は見覚えのある家の庭にいた。
ガラガラと家の玄関が開く。
出てきた人も見覚えがある。
「翔、おかえり。さっきまで部屋にいなかった?どうしたの?」
また一人出てくる。
「お兄ちゃんおかえり―。なにしてるの?そんなところに一人でいて」
また一人。
「翔どうした。まぁいい。夕飯は出来てる冷める前に食べちまうぞ」
会話は続く。
「ちょっとお父さん。作ったのはわたしですよ」
「俺も手伝っただろうが」
「優もてつだった!」
その会話に、混ざらずに聞いていた俺は、ふっ、と笑みが零れる。
「「「?」」」
玄関にいる女性、男性、女子は俺を見て疑問符を浮かべる。
そりゃ疑問に思うだろう。
部屋にいたはずの【息子】が今は庭にいて、【家族】の様子を見て一人で笑うのだから。
だが、俺は気にしない。
そのまま笑って、俺は言う。
「ただいまっ」
心の底では家族に感謝していた俺にとって【幸せな世界】。
それは・・・いままで一緒に過ごしてきた【家】だった。
短すぎる気もしますが、僕には難しかったようで、一晩考えてこれでした。
文字数に限りがあると、難易度上がるんですねー・・・
ありがとうございました。