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プロローグ
最強という二文字。
男なら、誰もが一度は夢見る名誉の称号である。
人類の歴史は戦いの歴史であり、強さを認めることはごく自然なこと。
しかし、多くの者はその夢を諦めてしまい、平凡な日常に落ち着いてしまう。
戦いの世界は厳しい。
必ず己を上回る強者や壁に直面し、そこで挫折してしまうからだ。
それでも、ごく一部の、ほんの一握りは、夢を諦めづに己を鍛え続ける。
たとえ、全てを飲み込まれた地獄の中でも同じであった。
そこで地獄を見た一人の少年もまた、無意識のうちに強さを求めていた──。