e.04 顔合わせと精霊さん
後書きに書き忘れていたことを追記。(6/3)
後書きの一部修正。(6/6)
「熾天使様、朝食の準備が整いました」
と、扉の外から声が聞こえる。
…もう、まだ全然練習できてないのに。
「分かりました」
防音設定は、外から中への防音と、中から外への防音の二つがあり、私が設定していたのは中から外への防音だけだ。だから、外からの声や音は聞こえてくる。
…しかし、さすがに喜びすぎだろ、天使のみんな。まあ174年も熾天使が不在だったから、色々と不安だったということか。私はまがい物だけどね。
防音を解除して返事をして、さっさと用意して部屋を出る。そこにいるのはシャルさんだ。
「シャルさんでしたか。昨日は助かりました」
「熾天使様を守るのは、我らにとっては何よりも大切なことです故」
「そうですか。仕事熱心なのはいいのですが、無茶をして体調を崩すようなことがあれば本末転倒です。お気をつけください」
「ありがたいお言葉です」
シャルに先導されてついていく。私はまだ、ここの生活に慣れるのには時間がかかるだろう。
「カリスさんとフェノさんの様子は如何ですか?」
無言は少し気まずいので、話題を振ってみる。実は結構気がかりだったのだ。
「カリスはもう元気ですよ。フェノは、過労の影響もあってか著しく」
「そうですか…後ほど、フェノさんに会わせていただけますか?」
「はっ。そちらはお任せください」
朝食後すぐに会えるように時間を合わせてもらった。
まあ、私もこれでも天使(まがい物だけど)。仲間を見捨てるのは無理な話さ。
特に敵が多いのだから。これで天使のみんなが敵になったら、私はどうすればいいのさ…。
「熾天使様…一つよろしいでしょうか?」
「何でしょう?」
「その…熾天使様の衣装についてなのですが…」
おお、ようやく触れてくれたか。私も無視され続けてもしかして見えてないの?とか思ってた頃だ。
時としては、怒ってくれたりしたほうが気が楽になることもあるってわけさ。
「スキルの効果ですよ。私の意図したものではありません」
「そうでしたか…失礼しました」
「お気になさらず。して、どうしてそのような質問を?」
おそらく、シャルさんはAPCだろう。私の認識では、間違っていない。
できれば答えてほしいものだが…まあ期待しないでおくよ。元々そう簡単に出てくるとは思ってないし。
「貴方ほどの実力であれば、お気づきでしょう。一番の理由としては、余りにも似合いすぎていたから、ですけどね」
「成程。あまり深くは詮索しない方がよろしいですかね」
しかし答えてくれた。間接的に、自分が開発運営側で、同じ立場としてプレイしていると言ってくれたわけだ。ただし私ほどの能力は持っていないらしい。
まあ、同じ立場のプレイヤーがいてくれるのはちょっとありがたいかも。
「さて、では歓迎会といたしましょう」
目的地に到着したらしい。大きな食堂のような場所だ。ダンスホールとしても使えそうな感じの。
そこには、結構な数の天使さんが集まっていた。
見たところ、みんな智天使と座天使みたいだ。私も含めて、上位の天使が全てここに集まっている。にしても、やっぱり私のこの格好は浮くわー。
「熾天使様をお連れしました」
「熾天使様、ご足労感謝いたします」
…ほう。
「智天使のカナミさんですね。このような場に、私は不相応だと思われるのですが」
「何を仰います、熾天使様。貴方が無くして、天使は生きながらえないのです」
「持ちあげすぎですよ。私は、魔法も武器も殆ど扱えません。期待通りの戦果は出せませんよ」
正直、私が今使えるのは六属性の初期魔法とその初級魔法だけだから役に立つとは思えない。威力はけた違いだけど。
ウェアウルフだったら、一発で三体は貫くね。ダメージは耐性とかで変わるけど、十割のダメージで今の火力は1500。ウェアウルフのLPが450って話だから、多分行けると思う。
ま、私が戦う機会ってそんなないと思うけど。実戦はいつか、ね。
「熾天使様は謙虚なお方ですな。しかしあのファイアの威力には、目を見張るものがありましたよ」
「おや、貴方は、ニィルさんでしたか」
「名を覚えていただき光栄です」
シャルさんたちと一緒に来ていた、ニィルさんだ。この人は座天使か。
あまり見れてないけれど、この人の槍の扱いは凄い。まさか魔法を突きで四散させるという技を使うなんてね。矢とかも落とせるらしい。
ソースはヘッドギアから送られてきた情報です。あとこの人も黒だね。
「あれは偶然の産物ですから。偶然魔力が高くて、偶然詠唱に成功し、偶然それが当たっただけです」
「はっはっは、熾天使殿の話は聞いていて面白いですな」
「そうですわね」
そして今度は二人の天使、片方は老人でもう片方は私と同じく女の子か。
老人の方はニツカ。智天使で、勉学においての最高責任者でもある。戦闘は不得意であるが、昔は巨大な剣を持って戦場を走っていたという。
女の子はリザベル。こちらは座天使で、知略の姫と呼ばれているらしい。陣頭指揮は彼女に任せれば安心安全。それはすごい。
ちなみに二人は同じ血筋だ。リザべルはニツカの孫になるのかな。
「ニツカさんとリザべルさん、初めまして」
「熾天使殿に生きているうちに相見えて、私はもう満足じゃ」
「ニツカ様はまだ現役でしょう。熾天使様、お初にお目にかかります」
リザべルも私に敬語使ってくるのか…まあ一応目上って扱いだし、それが普通なのだろうけど。
でも多分同い年ぐらいだから、できればラフに?というか軽く話しかけてほしい。
この子はまだ若いし、ちょっとぐらいならいいだろう。
「リザべルさんは将来有望ですね。それと、私に敬語は不要ですよ」
「し、熾天使様にそのようなことは…」
「私は身分など気にしませんよ。もしも他の誰かが貴方に何か言うのであれば、私が貴方を守りましょう。セラフィムの名にかけて」
本心を言うと、堅苦しい人達ばかりで面倒というか、苦しくなってきたんだよね。
私は上に立つタイプじゃない。だからこうして熾天使としてこの場所にいるのは、私の本意ではない。おそらく他の熾天使もいると思うから、できれば早く戻ってきてほしい。
「分かり…ました。じゃなくて、わかった」
「じゃあ私も敬語はいいかな。よろしくね、リザ」
そうして夜は…まだ朝だね。陽が昇っていく。
さて、そろそろ動かないとね。
【フィールド:ライナーフォレスト】
フェノさんに会ってから、自分の部屋に戻り…正午を過ぎたころだろうか。何かが、私のスキルに引っかかった
誰かの叫び声…悲鳴だ。
それがどのスキルに引っかかったのかは分からない。だけど、それを感じてしまったので私はその元凶を探している。元凶ってのは違うか…被害者だろうし。
なので、無理を言って私は一人抜け出してきた。後で謝ればいいさ。
「痛い…痛い…痛いよぉ…」
見つけてしまった。
…精霊か。本来ならば精霊は自分の守る場所にいるはずなんんだけど、確か一部の精霊は各地で連絡を取り合う役割をしているという。
おそらく、この精霊もそのタイプだろう。怪我をしているってことは、誰かに襲われたんだな。
「私の力を、彼女に与えて。ヒーリング・ファイ」
近寄りながら、回復魔法をかける。カーソルのゲージが回復したから、おそらくはこれでいいだろう。
しかし、突然の訪問者に精霊の方も身構える。怪我をしているんだから、安静にしてほしい。ほら、傷口押えて痛そうにしてるじゃないの。
「安心して…というのは無理かもしれないけど、私は貴方と敵対したくはないわ。とにかく、こっちへ」
近くに感知できる反応はない。だけどここにいるのは得策じゃないだろう。少しでも安全なところに逃げたほうがいい。
「行きましょう」
「う…うん」
状況が状況なだけに、おとなしくついてきてくれる。
取り敢えずどこまで行くか、考えないと。ここからじゃ天使の町は遠い。いや、行けないわけじゃないけど、この子の様子からしてそこまで持つかはわからない。
近場に安全な場所があればいいんだけど…探知系のスキルがあればよかったなぁ…。
「ねえ、この辺りで安全な場所ってないかな?」
「安全な場所…自然精霊のみなさんが、この辺りで暮らしてると聞いてます…」
「自然精霊の方たちか…それ、何処か分かる?」
「はい…こっちです」
先導してもらって、精霊のところに案内してもらう。
ここは森林だから、おそらく自然精霊のタイプ純粋か。
この子は、自然精霊のタイプ衛星だろう。珍しいね。
で、案内してもらってそこに到着した。
【フィールド:精霊都市 世界樹】
レミリア 熾天使 女王
Lv:1(100)
LP:740 (3000) 1L/+7
MP:1640 (3000) 1L/+7 装備補正+410
EP:830 (3000) 1L/+7
ATK:5 (2000) 1L/+2
DEF:570 (2000) 1L/+4 装備補正+20
MAG:1160 (2000) 1L/+5 装備補正+260
RES:790 (2000) 1L/+5 装備補正+80
LUC:930 (2000) 1L/+4
SPE:870 (2000) 1L/+6 スキル補正+200
SEN:700 (2000) 1L/+5
WEI:30 (1000) 5L/+2
メインスキル 使用8 空き2
〔天使の翼(特殊)〕L1 〔熾天使(特殊)〕L1 〔対毒耐性(特殊)〕L1 〔対闇耐性(特殊)〕L1 〔魔力吸収(特殊)〕L1 〔自在戦技(戦技)〕L1 〔天使魔法(魔法)〕L1 〔ランナー(特殊)〕L1
サブスキル 使用9 空き6
〔指揮者(特殊)〕L1 〔反射魔法(魔法)〕L1 〔バリスタ(戦技)〕L1 〔防御姿勢(特殊)〕L1 〔脚術(戦技)〕L1 〔受け流し(戦技)〕L1 〔パーフェクト(特殊)〕L1 〔無属性魔法(魔法)〕L1 〔射撃魔法(魔法)〕L1
スタイル 使用1 空き9
〔槍斧戦技(戦技)〕L1
マジック 使用2 空き8
〔六属性魔法(魔法)〕L1 〔音属性魔法〕 L1
特殊
〔少女の力Ⅰ〕L1 〔武器自動修復(弱)Ⅰ〕L1 〔砕く者Ⅰ〕L1 〔精霊使役Ⅰ〕
クラス
メインクラス:天使
光属性威力+20% 耐性+20%
聖属性威力+20% 耐性+20%
サブクラス:舞踊師
特殊スキル ステップ
装備
首:熾天使の証 MPリヴァイブ+100
左腕:月光の腕輪 DEF+10 MAG+100 RES+20
右腕:月光の腕輪 DEF+10 MAG+100 RES+20
左手薬指:陽光の指輪 MAG+30 RES+20
右手薬指:陽光の指輪 MAG+30 RES+20