e.03 少女の力(特殊)
一部の文章を、都合により修正(6/6)
朝が来た。現実では10分ぐらいだろうけど、こっちでは8時間だ。
起きてみると身体が軽い。やはり、このサンクチュアリの効果はすごい。
「さてと…エンプレスの涙、一つ飲んでみようかな」
瓶を一つ取り出して、蓋をあける。
…あれぇ…なんか頭がボーっとする…ってこれお酒じゃん!
しかも…度数が高い…私には飲めたもんじゃないよ…。
でもぉ、開けてしまったものはしょうがないのだー…飲むしかない…よねぇ…。
「んっ…ぷはぁ…」
味は…何だろう、お酒ってこういう味なのかな?
オレンジジュースみたいだけど、なんかしゅわーってなって…ちょっと苦くてぇ…。
「うぅ…お姉ひゃんのばかぁ…」
選択肢がぁ…うーん…見えない…。
眠くなってきたよ…うう…。
起きたら酔いは治ってました。
あれからこの世界で10分も経っていない。これもサンクチュアリの効果だ。
「で…選択肢は…うわぁ」
レベル上限解放 Ⅰ
ステータス上限解放 Ⅰ
アイテム所持上限解放 Ⅰ
装備重量上限解放 Ⅰ
スキルキャパシティ上限解放 Ⅰ
特殊スキル制限解放 Ⅰ
種族スキル制限解放 Ⅰ
魔法親和性制限解放 Ⅰ
戦技親和性制限解放 Ⅰ
侍従限界制限解放 Ⅰ
侍従数量制限解放 Ⅰ
「多いよ…」
これ以外にも、様々なものがある。けどまあ、全部読んでたら時間がかかる。
侍従とは…指揮官とか召喚者以外でもできるのかな?って、天使は結構万能なクラスだったっけ。侍従も含まれてるのかな。
「ふむ…一番気になるのは種族スキルだけど…」
おそらく、天使特有の色んなスキルがあるんだろう。ちなみにグングニルは神様の使ってた槍だから天使にはないのかな?
私は地味に槍は好きだ。特にハルバードが。
「ま、それは置いといて…本当にどれを取ろうか、迷うんだよね」
無難なものは、やはりレベル上限だろう。レベルが高くなければ、ステータスとかスキルも生かしきれない。
でも、私は気になっているものがある。
なんでも、変装というスキルがあるらしい。それが、もしかしたら特殊スキルかもしれないのだ。
変装…まんまの意味で、他の何かの姿を真似ることができる。私は今、みなさんが思い描くと思われる天使の格好をしている。二対四つの羽が背中に生えている。このゲームでの熾天使の証、クラウンが描かれた紋章を首から下げている。
これがないと熾天使として認められないということ。ちなみに装備している必要はないが、効果が凄いので装備したままにしている。(MPリヴァイブ+100)
そんなわけで、天使の姿なんてしてたらどうなるか分かったもんじゃない。情報収集もしたしし、やっぱり他のプレイヤーと一緒に行動したほうが便利なわけ。
そこで、この変装があれば普通のプレイヤーのような姿を真似ることができる。私が天使、しかも熾天使なんて知れたら、ランナーになるのは目に見えてる。あの時はまだよかったけど、本気のプレイヤーが束になってきたら私には勝てないと思う。
というわけで、変装がほしい。情報網が掲示板だけというのは心もとない。だから、信頼できる人を見つけに行きたいという目的がある。装備とかも一応見ておきたい。それに私の敵となるであろうプレイヤーが、どんな人達なのかも見ておかないとね。敵を知り己を知れば、百戦危うからず。
「というわけで、特殊スキルかな」
特殊スキル制限解放 Ⅰを選択する。
…ⅡとかⅢとかあるのだろう。
【特殊スキル制限が一段階解放されました】
以下のスキルを獲得しました
少女の力 Ⅰ(特殊)
武器自動修復(弱) Ⅰ(特殊)
音属性魔法 Ⅰ(魔法)
槍斧戦技 Ⅰ(戦技)
砕く者 Ⅰ(特殊)
精霊使役 Ⅰ(特殊)
「…喜ぶべきか、否か…」
武器自動修復はありがたいだろう。私だって世界樹の武器だけで戦い続けるわけじゃない。回復量は低そうだけどね。
音属性魔法は極めてレアだ。これは普通に嬉しい。
槍斧…つまりハルバードの技能だ。私の好みから選ばれたのか…?それとも偶然?
砕く者…どうやら、相手の防具や盾やアクセサリーへの攻撃時、耐久力を大幅に低下させられるらしい。これは対人では有効だろうな。持って置いて損はない。
精霊使役は、精霊と契約して力を借りることができる。精霊と天使なら親和性が高いから問題ないどころかむしろメリットばかりらしい。デメリットもほとんどないという。
私をどこまでチートに押し上げるのですか?いや、選んだのは私だけど…。
「それで…なに、このスキル」
スキル:少女の力 Ⅰ(特殊)
少女にして、誰よりも強く力を持つ者に与えられるスキル。
装備・アバターの外見が変化し、有用な永続的ステータス変化を受ける。
ヘイトの上昇率が20%上昇し、被付加効果の効果減少。
…うん、ここまではいい。
問題はこの後だ。
プレイスタイルに寄って戦乙女か魔法少女寄りに変化する。
お前か!ある小説で話題になったスキルはお前か!
製作、お前らあの小説読んだな!?そしてそのスキルをパクッタな!?
…あ、まだ説明の続きがある。
このスキルは特殊スキルです。修得しているとセットしていなくても効果が発動します。
「ちょっ、ふざけんなぁ!」
光に包まれて、衣装が変わってしまった。
…思うんだけど、こういうのってなんでわざわざ可愛く、いわゆるゴスロリっぽくなるわけ?
ピンクは私の趣味じゃないんだけど…全体的にこう、可愛さを押し出す感じ…むずむずするわ。恥ずかしいわ。
「…で、これは魔法少女?いや、戦乙女にも見えるか…」
おそらく、これからの戦いで変わっていくことだろう。まだ実戦は殆ど経験してないから、この段階では変わることができないということか。
…なら両方バランスよく使い続けたらどうなるんだ?と思っていたら、システムから補足が入った。
…結論から言うと、魔法剣士とか魔法騎士になるってさ。騎士や剣士ほどの重装ではないけれど、魔術師のような軽装ではない中間の職。
まあ、私には物理は無理な話さ。ATKは…多分他のプレイヤーも驚愕の5だからね。
差がありすぎだよ…クイーンからナイトとかに変わればその分ステータスが変わるらしいけど。
まあ、もう諦めるよ。クイーンとして生きていくって決めたから。
「魔法少女ねぇ…憧れもないわけじゃないけど、さすがにこの格好はいただけないわ」
どうやら色とかは設定できるらしい。ただし染料があれば、か。染料を使って染色した後は、もう一度その色に戻すのに手数料はいらないと…ちなみに、デフォルトのピンクにはいつでも戻せる。
あと、どうやら少しなら形も調整できるらしい。こっちは裁縫…私には縁のないスキルだから無理だね。まあ無理ではないにしても、どれだけのレベルがいるか分からないし、あまり現実的じゃない。
ゲームに現実味を求めるのも、私のRPの一環だ。気にしないでほしい。実際、私は敵が多いから無駄なことはできればしたくない。今は生き残るのが優先だ。
「スキルの枠は…魔法は〔六属性魔法 Ⅰ〕があるだけで、他は何もないわけね…戦技は、使うか分からないけど一応槍斧を登録しておこっと。で、音属性を魔法にセットして…特殊は全部持ってるだけで効果あるからこのまま放置か」
さて、どうやら予定とは(かなり)違ったけど、目的は達成した。少女の力で、天使の姿が消えてしまった為だ。
…喜んでいいのかなぁ…まあ別に、飛行魔法のフライトとかは問題なく使えてるし、いいか。ただこの姿で天使のみなさんと接するのはどうなのだろうか…。
「ま、愚痴ってもしょうがないか。まずは魔法の練習だね」
というわけで、当初の目的をようやく始める。
…武器についてはまだ保留か。まあ、必要になってからでも遅くはないさ。
このゲームのスキルは、メインに10、サブに15、スタイルとマジックに10で合計45のスキルが登録可能です。
特殊スキルは例外で、殆どが登録しなくても効果を発動するパッシブスキルです。けど特殊スキルのレベルが上昇するのは凄く遅い!
そして主人公はやっと練習を開始。そのシーンはばっさりカットします。