表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/31

n.01 はつゆき

アクア

「お気に入り登録者が35人になりましたね。

 今後とも、この作品をよろしくお願いします」

『有限でなければ、儚さも美しさも微かなものになる。

 限りがあって、終わりがって、だからこそ儚く美しい。

 終わる間際まで、その儚さも美しさも、変わりはない。

 それに貴方が気付けたら、また会いましょう』










 過去の記憶。

 だけどその内容は思い出せない。

 記憶を見ていたということしか覚えていない。

 思い出しても、現実に戻ればまた忘れる。

 私は、何も覚えてなんかいない。

 …でも、涙が止まらない。

 何故か心を埋め尽くすほどの大きな『虚しさ』。

 私は、空っぽだ。

「…泣いてるの?」

 声が聞こえる。

 今の私は、何処にいるのだろう。

「ミレニア…」

 …私は

「ミレニア!」

 優しく、力強い声で誰かが呼んでいる。

 …温かい何かが、私を包んでいる。。

「ごめんなさい。泣かないで」

「ラ…ル…?」

 私の肩に顔をうずめて泣く、一人の少女がいた。

 …そうか、私はこの子を見て、思い出したのか。

 思い出した…とは言えないか。忘却したはずの記憶が、断片的に見えるだけだ。

「ミレニアが泣くと、私も何故か悲しい。だから泣かないで」

「分かってはいるんだよ。泣いちゃだめだって。でも…でもね…」

 涙が溢れだして止まらない。

 心が空っぽで、満たされない。

 辛くも苦しくも悲しくもない。ただ、虚しいだけだ。

 失った。何を失ったのかは分からないのに、何かを失ってしまった喪失感。

「ミレニア…」

 温かい何かが、私の身体を包み込む。

 私の心を、満たしていく。

「ん…」

「…ふ?」

 目を開くと、滲む視界に誰かの顔が映る。

 唇に触れる、優しさが私を温める。

「ふぇ!?」

「ん…動かないで」

「ふぁ!?」

 ラルが、私の頭を押さえて唇を合わせてくる。

 頭の中が混乱する。しかしただ、口づけは深くなる。

 力が抜けていく。いや、力が入らない。

「ぷは…ん。ごちそうさま」

「ふぁ……」

「力が入らないのは一時的なもの。すぐ戻る」

「にゃ…にゃんで…」

「気になるから。それに、ミレニアならいいかなって」

 呂律が回らない。頭もうまく機能しない。

 考えられないというか、考えても空回りする。

 何があったのかは理解してるけど自分でも不思議なぐらい冷静だ。

「私は望む。この者を主とし、全ての力を授けることを」

『私は問う。貴方のその選択に悔いを残さぬか』

「私は答える。私のこの選択に一切の悔いはないと」

『承諾する。その者、汝の主として」

 身体の中に、何かが満ちていく。

 力、感情、意志。

 これは、ラル自身。

「ふぁ…?」

「これで私は貴方のもの。逃げられないし逃がさない」

「なっ!?」

「主従契約。主、何なりとご命令を」

 …追いつけないなぁ…。

「取り敢えず時間をちょうだい…整理したいから」

「承知した」


 というわけで


 大体1時間ぐらい経っただろうか。

 おおよそ状況を整理して落ちついたらこのぐらいになった。

 主従契約とは、一方が主でもう一方が従者という関係を結ぶ契約。

 姫や領主とメイドや執事と思ってくれて構わない。

 主となった者は従者に対してある程度の権限を持ち、従者はそれに従わなければならない(限度はあるけど)。

 この契約によるメリットはそれぞれ異なる。

 主のメリットとしては、前述の通りにある程度自由にできる人が手に入るのが大きい。これはプレイヤー限定だけど、従者の持つアイテムを合意の上で使ったり取り出したりできる。

 従者としてはステータスが若干上方修正されるためやりやすくなる。またスキルレベルの上昇も少し早くなり、成長速度が速くなるのがいいところだ。

 両者ともに、パートナー契約と同様に経験値が通常より多くもらえるようにもなる。

 また、従者から主にできるのは一人だけど、主が従者に出来る数はレベルが上がることで増えていく。人数には制限があるけど他に制限はない。

 召喚職として有名な召喚者(サモンナー)は自分より低レベルのものしか召喚できないし、調教師(テイマー)は同レベルから調教の難易度が跳ね上がるという特性があり、それらよりも利便性が高い。

「ちなみに解約はできないの?」

「本来は主が一方的に解約が可能」

 という感じで、主が解約することが可能だ。

 本来は、と言ったのは今回の契約は特殊だからである。

「この契約を解消するには両者の同意が必要になる。一方的に解約は不可能」

 このように、特別な主従契約をすると両者の同意が必要になる。

 尚、解約すると従者のステータスが本来の値に戻るので若干弱くなる。契約中に稼いだスキルの経験値とキャラクターの経験値は引き継がれるが成長速度も元に戻る。

 ちなみに解約してもまた契約することは可能である。再契約にはメリットもデメリットもない。

「なんで契約なんかしたの?」

「ミレニアが可愛かったから」

「そ、それは理由になるの?」

 面と向かって真剣に言われて、顔を赤くしながら言う。

 恥ずかしいのよ。

「貴方が強かったから。あと放っておけなかったから」

「私は子供か…」

「そう言う意味じゃない。放っておいたら消えちゃいそうで怖かった」

「そう…?」

「ミレニアは自覚が足りない。自分の魅力をもっと知って。安心できないから」

 そうは言われても、何を自覚すればいいんだろう?

 なにを知ればいいんだろう?

 別に嫌われようが構わないんだけど。

「…まあいいよ。ミレニア、私も今度から一緒に行くからね」

「まあ味方は多いほうがいいけど…」

「じゃあ決定。名前、決めて」

 …うん?

「名前って?」

「私の名前。この名前は都合が悪いから」

「そうなの?」

「私はあまり好かれてないから。だから名前」

 ラミアについて知らない人に解説すると、元々はギリシャ神話の登場人物の一人だ。

 ベーロスとリビュエーの間に生まれた、元々は普通の女の子だ。

 その美貌からゼウスに見染められたのだが、ゼウスの妻であったへーラーの怒りを買ってしまいゼウスとの間に生まれた子供を全て殺され怪物へと姿を変えられたと言われている。

 この怪物というのが、よく語られるラミアの姿である『女性の上半身と蛇の下半身』というものになる。なお作品によって描かれ方が変わるためこの限りではないが。

 一般的には『蛇+人の女性』という印象が強く、そう言ったものの総称としてラミアという名前を使われることが多い。

 この作品もその例に当てはまり、HORのラミアとは『人の女性』を元に一部が『蛇化』したものである。

 例えば前述の女性の上半身と蛇の下半身を持つのもラミアの一種だ。

 ただ真祖となると、その身体は人と全く同じ構造をしていて、身体の一部が蛇のような表皮になっているという感じだ。

 尚、前者のラミアは一部を除いて武器より魔法を扱うことを得意としている。後者は武器も魔法も両方扱うことができる。

 そしてラミアは魔族としては分類されない。『龍』として数えられるからね。

 …だけど、そんな簡単に龍とコンタクトを取れるわけじゃない。魔族からしてもイレギュラーなため、あまり好かれるわけじゃないんだよね。天使はそもそも無関心、精霊もこれと言って警戒はしない。

「名前か…はー…」

「……」

 そんな期待した目で見ないでください。

「は…ハツユキ?」

「…ハツユキ?」

「ハツユキソウ(初雪草)っていう植物があって、その花言葉が『好奇心』だったと思うんだよ。だからそれで」

「ん。わかった。私の名前はハツユキ」

 ちなみに日本の作った駆逐艦のなかにそういう名前のもあるがそれは関係ない。

 ハツユキソウの花期は7~8月で、色は白い。葉が白く縁取られていて、その様子を初雪に見たてて初雪草となったらしい。詳しくは別途お調べください。

 ちなみに、ハツユキが色白なのもこの名前にした理由の一つである。

「なんで主従契約なのかなぁ…まあ私もうパートナーはいるけどさ」

「隷属の方がよかった?」

「それはもっと嫌だよ。ほんとやめてね」

「冗談」

 …まさかラミアまで仲間になるなんて思ってなかったな。

 まあただでさえプレイヤーを敵にしなきゃいけないから味方は多いほうがいいけど。仮にも真祖のラミアだし、戦力としてもかなり強い。

 …それに、あった時と違って明るい印象になったと思う。やっぱり女の子はこうだよね。

「それで、この後はどうするの?」

「私がやったことに収集をつけてくる。すぐに終わらせるから」

「まあ、これは自業自得だね。頑張って」

「わかってる」

 ハツユキは、私から離れてその手に.45ACP弾を生成する。

 何故に弾丸…?

 .45は.38が当時使われていた時代、より打撃力を求めた結果として用いられた弾丸である。

 38から45、7インチの違いであるがそれでもハンドガン用の弾丸であるため違いは大きい。尚、代償として銃本体の大きさや反動の大きさが問題となり、携帯性や精密性が下がるという短所もある。

 ちなみに初速が亜音速のためにサプレッサーとの相性がいい(9×19mmパラぺラムなどは初速が超音速である)という。ただし防弾アーマーへの打撃力は9×19mmなどの方が勝る。

 どちらが強いかは一概には言えないが、私は打撃力の高さを優先するため.45の方が好きだ。

 そんな関係でミリタリー関連も多少は詳しい。

「まず覆う」

 銃弾が上空に飛ばされる。

「次に拡散する」

 多数の光が星のように空を覆う。

「そして弾ける」

 弾丸が無数に割れる。

「最後に落とす」

 そして、無数の弾丸が森全域に落ちてくる。

 準詠唱型魔法の一つだろうか。プレイヤーが普通に使っている魔法の詠唱は魔法を唱えてから発動までの余熱みたいなものだが、このタイプの魔法は本当に詠唱が必要になる。

 今ハツユキの使った魔法は、上空に挙げた約10発の弾丸を『割って』200ぐらいまで増やし、一つ一つを『魔力で覆い』『大地に振らせる』というものだ。

 小さな金属片に魔力を纏わせるため難易度が高い。しかもそれを200という単位で精密に操作するのだからどれだけ難しいことか…。

 さながら掃射という感じだろうか。しかも森のほぼ全域だ。時間差で落ちてくるからガトリングに似てるかな。

 ちなみに元々の金蔵編は小さいけど、落ちてくる弾丸の大きさはRPG弾ほどの大きさになる。

 つまり物理ダメージではなく魔法ダメージだ。

「これで、暴走していたエネミーは全て排除した。他の人には被害が出ないようにしたから、問題ないと思う」

 エフェクトが綺麗だ。見方によっては雪のようだな。

 …ハツユキって名前によく合うかもしれない。

キャラクターの見た目ですか?

ご想像にお任せします。

何故って、そりゃ…

読む人が想像して、それぞれの中に人物像が作れるのがいいと思うんです。

公式設定なんてないんです。

全て貴方の想像のままに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ