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 内部は、薄明るい。

 壁に何か発光物が埋め込んであるのだろうと言われているが、事実は定かではない。だが、これまでの経験で、進んでいく先によっては視界が利かないところがあるのも確認している。

 五人は経験に従い万全の用意を備えており、ゆっくりと、だが確実に、上の階へと上っていった。


「今日はあまり・・・、出会いませんね」

 隊列の中ほど。言葉に含みを持たせた言い方をする癖があるのはリーヴ。

「そうだな。静かすぎる」

 ふんっと鼻を鳴らして、最前列のゲルハルトが答えた。気に入らない、そう口調と表情が語っている。

「まあ、そう脅かすな。今日は五階の探索が主な目的だ」

 最後尾。一見気楽そうな口調のギルバート。だがこんな口調の時ほど、背後に気を配っていることは承知の事実。

「けど、カセギが少ないのもネ」

 リーヴの隣、アケミが唇に指を当て悪戯っぽくつぶやく。

「大物に当たって逃げ帰る羽目にならなきゃ良いがな。

 って、ほらよ」

 悪い予感が当たった、そう言いたげな口調で、ギルバートは眼で前方を見やる。そこには、いつもは一人で30フィートほど潜行しているアレースの姿があった。ちょうど曲がり角のところで仲間を待っていた彼は、声を潜め、左前方、進むべき方角を顎でしゃくる。

「ちょっと・・・おい。

 あれ」

 あれ――アレースが指した、その先にある二つのモノ。

 それは前方にわだかまる人影だった。だが、距離があるにもかかわらず、ここにいる仲間達と変わらない大きさ。明らかに通常の人間より大きい体は、未だ五人を認識してはいないだろうが、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。

「・・・あれ、は、オーガ」

 リーヴが掠れた声を漏らした。両手で、ぐいっと確かめるようにスタッフを握りしめる。

「迂回路は、無え。殺るしなないな」

 角からちらりと前方を確認し、ギルバートが言った。無造作に抜きはなった片手剣が鈍色の光を放つ。

「アケミ、お嬢、下がってろ」

 一動作でクロスボウを充填し、ゲルハルトが言った。

「後ろは任せなさいナ。だから前は、お願い」

 アケミの腰に下がったモーニングスターががちゃりと音を立てた。

「じゃ、まずは」

 アレースが片手に充填の終わったクロスボウを、片手にコインを握りしめ、ギルバートとゲルハルトに目配せをする。

「3、2、・・」

 アレースの右手から光が・・・。

 ゲルハルトの両手から弾丸が・・・。

 それを縫うようにギルバートが肉薄し・・・。



 戦いの火蓋が、切って落とされた。



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