1
2作目です。
最初で、至らぬ点もあると思いますがよろしくお願いします。
――2105年。
世界では、多く紛争や反抗が起こった。世界は混沌とした。日本もまた、政治に耐え切れなくなった一部の国民が反抗デモを起こし、その解決に追われていた。
そして、政府は政策を発表した。『非国民政策』政府に反抗した者は非国民として扱い国からの援助等は一切受けられなくなるという政策だ。誰もがこの政策に「あり得ない」という表情を浮かべ、今の日本政府への怒りを見せた。反抗は全国に広まり日本国民の7割は反抗に参加しているという状態になった。
そして、2107年。『非国民政策』が発布され2年が経ち日本は変わった。言わば、戦国時代の「下剋上」という状態になったのだ。各地方で反抗軍がその地方の支配権を握って日本政府に対抗勢力を挙げ日本から独立した。
日本全土で出来た勢力は10。北海道全土を支配下とする「東滅」。青森県、岩手県、秋田県を支配下とする「飛燕」。新潟県、福島県を支配する「緋鶯」。静岡県を支配する「獅子風神」。山梨県を支配する「楚」。愛知県を支配する「倒東」。近畿地方北部を支配する「安土」。中国地方のほぼ半分(山口、島根、広島)を支配する「終焉」。四国地方東部を支配する「眞田」。鹿児島県を支配する「島津」。
これらは互いに協力関係にあり、共同で日本政府を倒そうと言う同盟を組んでいる。
各地に点在する日本政府の都市を、武力を持って攻撃していた。
日本政府は、最初は話し合いによる解決を求めたが、それに応じなかったため勢力に対し武力を持って鎮圧することを日本国民に宣言した。
勢力と政府の戦いは長期化の一途を辿った。
館内に響く銃声。さっきの銃声は1階からだろう、と言うことは既に1階に突入されたということになる。予想以上に早い突入に敷島楓華は動揺していた。
分隊長である楓華は、勢力「獅子風神」の軍総司令官からこの小さな館を守るよう命令された。ここは山の奥深くで防衛戦になりえない場所である。そんな所を守らされているのはきっと自分の隊がろくに戦績も挙げずにいたからであろう。こういうことを時々するのがあの軍総司令官だ。数人じゃ守りきれない場所に任命し、そこで戦争が起きると援軍は送らず見殺しにする、正直うんざりだった。
館は2階建てで現在は日本政府軍と戦闘中だ。敵の数はおよそ30。味方は7。既に1階は占領され2階への突入の機会を伺っているだろう、そう予感できる。
楓華は愛銃の「H&K XM8」の残弾を確認した。予備弾倉が1個、銃に20発つまり残弾は50発。
階下からは微かに突撃準備を急げという声が聞こえてくる。
「どうすればいいのよ……!」
まだ死にたくない……。まだ女としてやり残したことがたくさんありすぎる……。こんな軍服じゃなくてもっとオシャレがしたい。恋愛もしてみたい。出来れば結婚も……。 誰か……助けて……。
その時、階下から突入の合図が聞こえてきた。
「精一杯守るわよ! 階段の方向へ一斉射撃用意!」
階段を駆け上がる音が聞こえる。そして敵が見えた時
「一斉射撃開始!」
愛銃を敵に向かって連射した。他の隊員も同じように銃を連射した。だが、それは空しくも防弾盾に阻まれていた。現代の盾は銃弾をかなり受けられるように進化している。
敵は防弾盾の窓から拳銃を出しそして隊員に向かって放った。
「グアァァッ!」
その叫び声の後にさらに何回かの銃声が聞こえ近くの仲間が倒れる。階段で一斉射撃を行っていた仲間は楓華以外は死んだ。
咄嗟に楓華は来た通路を戻り少し後ろにあるバリケードに隠れていた。
敵が2階に侵入してくる。そしてバリケードに向かって銃を一斉射撃してくる。バリケードに隠れていた仲間が頭を打たれ死んだ。
そして……。
「ウッ!!」
腹に激痛が走り銃を地面に落とした。腹を撃たれたのだ。腹は赤々と染まりその赤みは徐々に増していく。傷口からは血があふれ出している。
「あ……あ……」
嗚咽が咽喉から漏れる。嫌だ……。死にたくない……。まだ死にたくない……。
――その時。
1階から銃声と悲鳴が聞こえてきた。階段からも悲鳴が聞こえてくる。何のだろうか……。思考が停止しているのだろうか……何も考えられない。
その銃声は2階へと広がり、楓華の前方にいた敵が悲鳴を上げた。バリケードのように張ってあった防弾盾が倒し崩され楓華の元へと誰かが駆け寄ってくる。
「大丈夫か……!?」
男の声――。しかも若い……少年の声。この様子だと援軍らしい。
「大丈…夫じゃ…ないに……決まってる…でしょ……!」
「そうだよな。腹撃たれてるんだし」
少年はクスッと笑い、強引に服を脱がし傷跡の手当てをした。
そこで楓華は意識を失っていた。
「《楚》の分隊除去だったようだな」
低い声で言うのは「獅子風神」の軍総司令官だ。
「あぁ。1人死にかけの女がいたから助けてやったよ」
黒いコートを身に纏い黒いゴーグルと手袋をした少年真田和人は言った。
楚は要らない分隊があれば容赦なく切り捨てそして排除する。それを救うのが和人だ。別に軍から任命された仕事ではない。ただ単に殺すのは忍びないと思っているからだ。
そして今日和人はまた分隊を救出した。辺鄙な山奥の館の防衛を任せられていたその分隊は、和人が急行したときにはほぼ壊滅状態であった。何とか救うことが出来たが分隊長は瀕死の状態であった。楚の許可も得て分隊長は静岡の病院で預からせてもらうことにした。
「どうせ、捨てた分隊だ。貰ってはどうだ?」
和人は低い声でそう問いかける。
「おや? 珍しいね。君が捨てられた分隊を気にいるなんて。その女に惚れたかい?」
司令官は笑いながら和人の肩を叩き耳元でこう言った。
「採用試験次第だ」
和人はコクッと頷き机に置いてあった、2丁のベレッタをホルスターに入れて司令部の部屋から出て行った。
誤字脱字、感想、お気に入り登録よろしくお願いします。