第5話「血の教室と、授業の始まり」
天城蒼馬と氷室慧。禍霊により絶対絶命な彼らだったが、
増援の男女2人組「神代刀花」と「問馬鹿之助」の2人に助けられ、一命をとりとめる。
蒼馬は刀花と鹿之介に礼を言うが、慧は不貞腐れた態度で治療と後片付けへ向かった。
それを笑う刀花と鹿之介だったが、蒼馬にはまだ何もわからない状態である。
慧に聞いても教えてくれなかった。聞くなら今しかない。蒼馬は聞いた。
「禍霊ってなんですか?禍断隊とかもよくわかんないし…。」
すると刀花は蒼馬の腕を引っ張り、蒼馬は授業へと連れて行かれるのだった。
「よし。ここならやりやすいやろ!」
刀花がそういって、連れて行った場所は一つの教室の前だった。
「こんな部屋あったんですね。」
「そもそもここ学校やしな。災害とかあった時、みんな学校に避難するやろ。今回の場合もある意味災害や。やからワイらは今この学校におる。ちなみにさっき蒼馬と厨二病男が禍霊と戦ってた部屋は体育館やで。」
すると鹿之介が騒ぐ。
「あそこ体育館なのか!?じゃあ後でドッチボールでもしようぜ!」
「アホ!あそこは今は避難所やぞ!そんなことして一般人にボール当たったらどうすんねん!」
そして刀花は教室の扉を開く。
「お邪魔しまっせ〜。」
しかし教室の扉を少し開くと同時に3人の鼻に異臭が走った。
「くっさ…!なんやこれ!」
「なんだ…!?誰かおならしたか!?」
「いや…そういう匂いちゃう…多分…あれや…開ければわかる。」
そういって刀花は扉を開いた。
やはりそこにあったのは赤一色に染まった教室と理不尽に未来を奪われた学生たちの姿だった。
「やっぱな…匂い的にこれやと思ったわ…。」
「こりゃひでぇ…。」
それを見た蒼馬はあの夜を思い出す。
「うっ…!おぇ…!」
そして蒼馬の胃の中身がまた逆流した。
「おい!蒼馬!大丈夫かいな!?」
「だ、大丈夫です…すみません…」
そして蒼馬はトイレの洗面所で口をゆすいでいた。
「ハァハァ…だめだ…やっぱり死体や禍霊を見ると…トラウマで吐いてしまう…。
クソ…!俺は弱い…。
このままだと…氷室さんや刀花さんや鹿之介さんの足を引っ張ってしまう…。クソ…!クソ…!」
そういいながら蒼馬は拳を壁に打ち付けた。
その時、鹿之介と刀花は死体を処理していた。
「こりゃひどいわ…この学校もすでに襲撃されてたんや。」
「なぁ…刀花…これも禍霊の仕業なんだろ…?」
「そうや…」
「ここ高校だよな…?」
「そうや…」
「じゃあみんな16とか18くらいだったのかよ…」
「………」
刀花は黙り込んだ。悲惨すぎてもはや言葉すらでてこない。
鹿之介は泣きながらいった。
「こんなの…ひでぇよ…この子たちはこれからよぉ…部活いって…友達と遊んで…勉強して…大学いって…いい仕事について…家族と幸せに過ごすはずだったじゃねぇか…。この子らには未来があったじゃねぇか…。なのに…こんな…。この子たちが何をしたってんだ…!?」
怒る鹿之介を刀花が静止する。
「鹿之介…!しゃあないんや…。」
そして2人は血を全てふきとり、亡骸を布にくるんだ。亡骸は体育館の倉庫に保管した。
「おい刀花…ここ体育館の倉庫だろ。こんな薄暗くて寒いところ…この子たちが可哀想じゃねぇか…?」
「しゃあない…ここしか保管できることないんや…。」
刀花は亡骸の顔に布をかぶせていく。
「無念やったやろな…悔しかったろうな…もっと生きたかったはずや…でも大丈夫や…必ず禍霊は狩る。だから…安心して眠るんや…。」
そういうと2人は体育館倉庫を後にした。
「蒼馬…体調大丈夫か…?」
刀花と鹿之介は蒼馬を心配そうにみる。
「はい…大丈夫です…。
あの…俺…この禍霊の襲撃で家族を目の前で禍霊に殺されたんです。
それで右目と家族を失って、殺されそうになって、今は氷室さんのおかげで生きてるけど…。
でも禍霊とか死体とか見ると…あの日のことを思い出して足が動かなくて…吐いちゃって…戦えなくて…。
でも…!俺は戦いたい…!」
2人はそう語る蒼馬を心配そうに見ながら言う。
「蒼馬…無理せんでええ…。戦えんなら戦えんでええんやぞ。」
「そうだぜ…蒼馬…。」
だが蒼馬の意思は固かった。
「でも…俺だって…!」
「ワイはな。お前には死んでほしくないんや。
厳しいこと言うけどできないのに無茶したら死ぬに決まってる。
勿論、ワイらだってできる範囲は蒼馬を守る。それは約束する。
でも…ここいる禍霊ははっきり言ってクソほど強い。
必ず守れるとは言い切れん。だから蒼馬…死に急ぐな…早まるな…頼む…」
心配していたのは鹿之介も同じだった。
「そうだぜ…蒼馬…俺バカだからよくわかんねぇけどよ。みんな蒼馬が死んだら嫌なんだよ。」
蒼馬は拳を握りしめる。
「…………わかりました。」
そして一言。そういった。
「ほんだら教室も片付いたし、禍霊やこの世界について教えたるわ。」
やっと授業が始まった。蒼馬は席に着き、それを聞いた。
「ええか。まず禍霊ってのはな、人が不幸になった“跡”に残るもんや。
例えば、一般人が事故にあって、その事故の憎しみから禍霊が生まれる。こういうのがいい例や。
そして禍断隊っちゅうのはこの禍霊を狩る組織。
ワイらもそれに所属しとる。まあ霊媒師とでも思ってええで。
他に聞きたいことあるか?」
すると鹿之介が「はい!」と叫びながら手をあげる。
「なんや鹿之介。お前は禍断隊なんだから全部わかっとるやろ。まあええわ。どんどん質問しぃ!」
「なんで俺たちは異能力的なのが使えるんだぁ〜?」
「お前、知らんかったんかい。」
「なんか気がついたらバッドから電気でてきたぁ〜ぜぇ〜!」
「ったくこいつはほんま…。
ええか?ワイらや禍霊の能力のエネルギー源は『業』っちゅう負のエネルギーや。
これを生まれたときから体に刻まれた『術式』という能力に応用して使うんや。
勿論やけどエネルギー源の業がなくなったら術式も使えへん。いかに業を節約して戦うかも戦闘の要や。
あと業や術式をまとめて『業術』って呼ぶこともあるで。細かく分けるとややこしいからな。
ワイらみたいな業術を扱う人たちのことは「業術師」。もしくは略して「術師」と言ったりもする。
ほんで、業術を扱う組織や人間の世界をまとめて『業術界』って言うこともあるわ。」
鹿之介は頭をかきむしる。
「やっぱムズいぜぇ…」
「うせやろ?ワイの完璧にわかりやすい説明理解できんのか?ほんまアホすぎるやろ!」
だが蒼馬は理解していた。
「なるほど…。つまり電化製品に例えると『業』は『電気』。『術式』は『電化製品』のようなものということでしょうか…。」
すると刀花はチョークを蒼馬へ向け、大声で言う。
「完璧すぎるたとえや!自分頭いいな!鹿之介と違って!」
鹿之介もハイテンションに「蒼馬頭いいぜぇ〜!」と言った。
「ハハ…そんなことないですよ。」
「えらい謙虚やな。そういう姿勢もいいわ〜。鹿之介!自分、蒼馬を見習いなさい!」
「蒼馬見習うぜぇ〜!」
蒼馬も手をあげる。
「あの…その術式というものは俺にも使うことはできるんでしょうか?」
刀花は頭をかかえる。
「ん〜…はっきりというと難しいやろなぁ。前提として術式っちゅうのは生まれ持ったものやしな。ただ業はあるけどまだ術式の使い方をわかってないだけっちゅう可能性もある。つまりは今後次第っちゅことになるな。」
「あと気になってたのは。氷室さんが『B級がなんとか』とか言ってたんですが…それは何かの等級だったりするんですか?」
「あの厨二病男…それすらも教えないんかい。まあしゃあない。ワイが馬鹿でもわかるように教えたるわ。」
刀花は語り始めた。
「術師や禍霊の強さは一目でわかるように等級で表すんや。
英検とか漢検と同じようなもんやで。
主にS級、A級、B級、C級、D級に分かれる。D級はアリ。C級はゴキブリ。B級はカマキリ。A級は虎。S級は恐竜。コレで分かるやろ。」
「わからねぇぜぇ〜!てかカマキリから虎ってレベル上がりすぎだぁ〜ぜぇ〜!」
「アホにはわからん。でも蒼馬ならわかるはずや。」
「なんとなく理解しました。」
「流石蒼馬や!
ちなみに当たり前やけど上の級に行けば行くほど給料高いで!夢があるなぁ!
まっ、その分任務も危険やから死ぬ確率高いけどな!」
そういって刀花は笑った。
「さっ、ある程度この世界のノウハウは教えたはずや!そしたら体育館戻んで!」
だが次の瞬間…隣の教室から窓が割れる音がひびく。
「ん…?何の音や…!行くで鹿之介!」
「応!」
3人は隣の教室の扉を開ける。
「ニンゲン…ニンゲン…腹減ったぁ…」
そこにいたのは返り血を浴びた禍霊だった。
「ちっ、また禍霊かい。しゃあない。一般人に危害加える前に殺すで!」
「応!」
そういって鹿之介と刀花は獲物をかまえた。
「俺も戦います!」
蒼馬も拳を構えるが、刀花はそれを静止する。
「だめや。さっき話したやろ。『戦えないなら無茶すんな』。何度でも言う。ワイらはお前に死んでほしくない。下行ってあの厨二病男に伝えてこい。『お前が大好きな禍霊やで。偉そうにしたんやからワイらより実績あげてみい』ってな。」
蒼馬は従うしかなかった。
「…はい!」
そして蒼馬は階段を駆け下がった。
「お前…その返り血…。この学校の生徒たちのやつやろ。監視カメラ確認したらお前がこの学校の生徒殺してる映像あったで。」
直後、鹿之介は激怒した。
「子供たちの未来を奪ったオメェは許さねぇ!こい!ぶっ飛ばす!」
「ニンゲン…ニンゲン…」
そして次なる刺客と投下された戦士2人が今ここに火蓋を切る。
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